ブラック大学・阪大が「非常勤講師5年で雇止め」の就業規則制定を強行 年収150万円講師が刑事告訴へ
4月30日、ジュネーブの国連社会権規約委員会に非常勤講師の差別的待遇を訴えるレポートを提出した新屋敷健・関西圏大学非常勤講師組合委員長(阪大非常勤講師) |
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- 年収150万円の阪大非常勤講師が大学を刑事告訴予定
- 阪大は一律1時間6700円
- 身分制社会の固定化が最大の目的
- 厚労省「法律で禁じてはいないが5年上限は好ましくない」
- 労働基準法第90条違反
- 労働契約法10条を見越したアリバイ文書
- 05年は外国語学部で過半数代表選実施
- 外国語学部4年で24%非常勤講師経費削減
年収150万円の阪大非常勤講師が大学を刑事告訴予定
「ジュネーブの国連社会権委員会に行き、帰ってきたところです。私が講師を務めている大阪大学などで、非常勤講師を最長5年で雇止めにしようとしている、と批判した文書を提出してきたのです。手違いからスピーチはできませんでしたが、担当者に文書を渡すことができました」
大阪大学などで英語を教える非常勤講師の新屋敷健氏は、関西圏大学非常勤講師組合の委員長として、大学側と交渉を続けてきた人物である。
国連社会権規約委員会は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」を締結した国々に対し、規約を履行しているかどうか締結国政府に報告書提出を義務付け、それに対抗する非政府組織のカウンターレポートも受け付けている。
新屋敷氏がレポートを提出した4月30日は、同委員会が、「日本政府第3回報告書」の審査を行なった日である。すでに関西圏大学非常勤講師組合が社会権規約NGOレポート連絡会議のカウンターレポートに、改正労働契約法に関する記述を追加する形でこの問題を提起しているが、今回の新屋敷氏の提出文書には、無期転換阻止のため偽装選挙を実施した早稲田大学が刑事告発されたことや、自身も大阪大学学長らに対し刑事告訴を予定していることを明記している。
そうした政府・NGOからのレポートを受けて、国連の同委員会は、日本政府への総括所見を発表した(ホームページで発表されたのは5月21日)。
《同一価値労働について平等な報酬を確保する締約国の義務を参照しながら》次の点を求めている。
《・・委員会は、有期雇用労働者の契約が不公正に更新されないことを防止するため、労働契約法の執行を強化しかつ監視することを締結国(筆者注:日本政府)に対して求める》
この勧告文を読めば、大阪大学の非常勤講師5年雇止めは、ただちに中止しなければならないことになる。それにしても、大阪大学の一非常勤講師である新屋敷氏が、なぜジュネーブまで行かねばならなかったか。詳しく事情を聞いた。
阪大は一律1時間6700円
(上)2010年に示した非常勤講師削減案。 (下)新屋敷氏と大阪大学の契約書。 |
「私は大阪外国語大学で英語を教えていましたが、2007年に大阪大学と統合されたため、現在は同大の外国語学部になっています。
阪大で2コマ、ほかの大学で2コマ教えていまして、合計4コマ。他の人に比べてコマ数は少ないです。20コマ入れて、体を壊した人もいます。専任でも阪大は12コマ(早稲田は5コマが普通)担当している人もいるので、けっこうきついと思います。
阪大の非常勤講師の報酬は、一律1時間あたり6685円。一コマ(一授業)90分ですが、準備などもあるので一コマ2時間として計算し、一コマ1万3370円ですね。
それでも関西では一番高く、1時間5千円代のところもあり、経験年数によりランク分けされる大学もあります。
私立大学は月額制ですが、国公立大学は回数制なので前の月に実施した授業回数によって報酬が決まり、次の月に支払われる方式です。
たとえば阪大は、9月には授業がないので、10月にはまったく支払いがないことになります。私立はもともと回数制だったので、年間総額を12等分して月額でならしたみたいです。
年間30週ですから、6685円×2時間×30週で、一コマあたりの年間報酬が決まります。私などは4コマですから、年収は150万円でワーキングプアーです。非常勤職員の人たちはもっとひどくて、
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通算5年で非常勤講師を雇止めにするため新たに制定された大阪大学の就業規則(抜粋)。4月1日から強行されている。
首都圏大学非常勤講師組合と関西圏大学非常勤講師組合に宛てた阪大からの回答書。大阪大学は、ある局面では講師を準委任契約としながらも、雇用された労働者とみなされる可能性はゼロでない、などと“オリジナリティ”あふれる解釈をしている。
05年に実施された旧大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)の過半数代表選挙関連の文書。かつては非常勤講師にも投票(不信任票)を求めたことがある。
(上)新屋敷氏が国連社会権規約委員会に提出したレポート。日本政府第三回報告が審査された当日に提出した。(中)5月17日採択され5月21日にホームページで公開された日本政府報告書への同委員会の最終所見。(下)日本語訳
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大阪大学は正反対に、非常勤講師を最長5年で雇止めする新しい就業規則の制定を1月下旬に決定し、4月1日から施行した。>無茶苦茶でしょ。
ブラック大学・阪大が「非常勤講師5年で雇止め」の就業規則制定を強行 年収150万円講師が刑事告訴へ:MyNewsJapan
「ブラック大学・阪大が「非常勤講師5年で雇止め」の就業規則制定を強行 年収150万円講師が刑事告訴へ」
イケダハヤトさんを見習っていただきたい
学内の労働法に関わる常勤の専門家の意見を聞いてみたい。
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http://t.co/TpyfGtBNb6大阪で関連イベン・トシンポジウム:「大学の変質――法人化10年の闇を暴く」http://t.co/c8ObEMfccF
阪大とか早稲田でブラックなら定員割れしている私大は無法地帯なのかもしれんな。
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