三井住友トラスト・アセットマネジメントの契約社員雇い止め 一審で社員側全面勝訴、解雇権濫用法理を非正規にも類推適用
三井住友トラスト・アセットマネジメントの親会社・三井住友トラスト・ホールディングス現トップの2人(同社HPより)。右が会長の常陰均氏(在任期間11年4月1日~。同氏は08年1月4日以降、中核会社の住友信託銀行(現三井住友信託銀行)社長兼任)。左が社長の北村邦太郎氏(12年4月1日~) |
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- 部長、副部長の“ケジメなき馴れ合い関係”
- 上司のことを「寄生虫」「賞味期限の切れた食品」
- 社長に伝えた率直な批判が部長、副部長に筒抜けに…
- 雇い止め通知→ロックアウト→地位確認求め提訴
- 一審で原告の全面勝訴判決下る
- 「コメントは差し控える」三井住友アセット社
部長、副部長の“ケジメなき馴れ合い関係”
判決文や証人尋問などの裁判資料によると、原告の住田信雄氏(仮名、50代前半)は、都内の大学を卒業後、Y火災海上保険、Nアセットマネジメント、外資D証券など計5社で、年金運用部のファンドマネージャー、債券本部のバイス・フレジデントなどを担当し、06年8月から、住信アセットマネジメント(12年4月から中央三井アセットマネジメントと合併して、三井住友トラスト・アセットマネジメントに社名変更。以下「三井住友アセット」)に入社した。
三井住友アセットでの雇用形態は、期間1年間(更新制)の「専門社員」と呼ばれる契約社員だった。
報酬は1年目が基本報酬として年額1100万円(各月91万7千円)。2年目以降は、年額1140万円(各月額95万円)。ほかに賞与として、毎年100~150万円程度が支給された。
住田氏の所属部署は投信業務部、役職は次長だった。同部には、専門スタッフとして、部長の本蔵克郎氏と、次長の住田氏の2人。そして、庶務業務の一般職2人が所属していた。
専門スタッフの仕事内容は、投資信託の法定開示書類(有価証券届出書、目論見書、運用報告書等)の作成、チェックだった。
住田氏入社から4か月経過した06年12月、人事異動があり、本蔵部長が退社し、翌07年1月、橋詰廣志氏が入社して部長になった。橋詰氏は00年5月に一度、三井住友アセットに入社し、企画総務次長に就任し、01年2月に退社した人物。その後、本蔵氏の上司の谷口常務から、「是非、戻ってきてほしい」と誘われて、本蔵氏の後釜として再入社した。この人事が住田氏解雇の遠因となる。
その後、住田氏は特段、勤務態度が問題とされることもなく、仕事に従事してきた。なお、業務量増加に伴い、07年夏に次長が1人追加となり、08年にさらにもう1人次長が増えた。08年6月には橋詰部長が執行役員を兼任。その後、人事異動があり、09年後半からは、専門職4人、一般職1人の5人体制となった。
状況が一変したのは、09年5月からだった。
退職したはずの本蔵・前部長が、再入社したのである。役職は、副部長だった。
これには伏線がある。本蔵氏は三井住友アセットを退職後、不動産ファンド大手のパシフィックホールディングスに再就職していた。しかしこの会社が09年3月10日、経営破綻したのである。
ちょうどその頃、投資事業部でチェック専従者を必要としていたため、橋詰部長は人事担当に対し、条件が合えば本蔵を採用してほしい、と願い出て、面談の場をセッティングした。
実は橋詰氏と本蔵氏は、大学卒業直後に旧長期信用銀行に同期入社した仲なのである。(その後の両社の詳しいキャリアは裁判資料に記載なし)
こうして本蔵氏は再就職し、ふたたび住田氏の上司になった。
これを機に、部署内の雰囲気が変わった。本蔵氏は、上司にあたる橋詰氏に対し、「おい、橋詰、何々してくれ」などと呼び捨てにしたり、「お前」呼ばわりするようになった。
さらに、本蔵氏は勤務時間中、業務とは関係のないネットをよく見ていた。ある時は会社のPCで「えびえびドットコムの入来水産」というホームページから個人的なお歳暮を注文したこともあった。しかも週に1、2回、私用で2、3時間外出して、買い物をしたりもしていた。どこへ行ったのかもわからない状態での外出にもかかわらず、上長である橋詰氏は、注意すらしなかった。
こうした部長・副部長の“けじめなき馴れ合い関係”を目の当たりにした住田氏は、内心、苦々しく思った。そして、事件は起きた。
上司のことを「寄生虫」「賞味期限の切れた食品」
10年3月26日、「個人面談票」を、住田氏は書いた。個人面談票とは、社員が社長に対して、職場の人間関係などについて率直に書き記す書類である。そこで住田氏は上司について、「寄生虫」「賞味期限の切れた食品」などと、こき下ろした。具体的には、以下のように書いたのである
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三井住友信託銀行芝ビル。9~11階が三井住友トラスト・アセットマネジメントのオフィス。(〒105-8574東京都港区芝三丁目33番1号)
雇い止め理由を列挙した「通知書」。(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため)
自宅待機を命じた「指示書」
一審判決の「主文」
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読者コメント
どこの会社にもクズはいるもんだ。問題はこのクズをどう処理するか。無能な高給取り程、利益にならない!百害あって一利なし!
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