三井住友銀 数字未達は「犯罪者扱い」、軍曹ゲキ詰めカルチャー
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- 先食いが「エラい」という空気に
- ノルマが課されているうちはいい
- 採用はリクルーター制を堅持
- ビジネスキャリア職だけで1300人も採る訳
- 5年で同期の4割が辞めた
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- 10年経たずに年次の逆転アリ
- 7万円上限で半額補助
- コロコロ変わる評価・報酬制度
- 55%が三井住友の関係会社へ
◇数字が達成できなければ「犯罪者扱い」
「今月やらないとクビになるんです、とか言って頼み込んだりしました。押し売り的なところは確かにあって、その後、金融庁の指導もあって、客にアンケートをして、問題があった取引については補償することになり、自分の担当顧客でも数件補償しました」(中堅社員)
なぜそこまでして数字を作らねばならないのか。「数字を達成できない営業マンは“犯罪者扱い”されます。これは今も変わりません」(同)
三井住友では、営業部長が年初にプランを出し、営業本部と握る(合意する)。ここで1営業部あたり数十億から百億の収益をコミットする。毎月、部長(支店長クラス)が集まる会議があり、そこで営業本部長から部長が詰められる。部長はグループ長と毎日「朝会」を開き、グループ長はそこで担当グループの進捗状況を報告しなければならない。
末端の営業マンは、グループ単位のミーティングで、毎日、法人グループごとの営業成績が一覧表になって出てくるものを見せられる。この法人グループというのは、同じ「格」の店どうしで比べたものだ。たとえば大規模店なら、日比谷、丸の内、新宿などの間で比べる。
「ここで進捗が思わしくなければ、『今月は1人2千万稼げ』とか、無茶な号令が下るわけです。しかも、上司には軍曹みたいな人が多い」(同)
こうした背景のもと、優越的地位の濫用事件は起きた。融資を受けている中小企業からすれば、融資を継続してもらえなければ即、倒産が視野に入るため、従わざるを得ない。
若手社員も言う。「ヤバイと思った人は、会社を辞めるか、公募で本店に異動希望を出して逃げました。自分も10件くらい売りましたけど、私の場合は、お客さんにリスクも含めてよく説明したので、特に問題にはならなかった」
かなり温度差はあるようで、別の若手社員の場合は、「私は上司が売らなくても良いというので、売らなかった」という。
先食いが「エラい」という空気に
問題となった「金融スワップ」とはデリバティブの一種。銀行では営業マン個人の収益を、「ベース」と「フロー」に分けて考える。ベースは、貸付によって発生する収益で、返済されると減っていくため、新規に貸付ける必要がある。
一方、フローのほうは、貸付以外による収益。たとえば為替予約、原油スワップなどのデリバティブ関係や、私募債の発行、M&A仲介などだ。ベースとフローは、概ね7対3くらいだという。
このフローを稼ぐうえで、もっとも割がよいのがデリバティブだ。5年先までの金利を一定にして、銀行側は5年先までの収益を、その年に一括で計上できる。いわば先食いだ。営業数字が出やすいため、一発逆転狙いに適している。
「会社としても、こういった一発逆転をやる人がエラい、という空気になってしまった。特に、デキない営業マンが数字をとるために説明不足で強引にやった面があった。特にスワップとしてのノルマがあった訳ではなく、単に5年分を一括計上できて稼ぎやすかったのです」(若手社員)
そのころは会社全体が病んでいたのだという。「頭取の西川氏が公的資金を返すため、無茶苦茶をやった。営業現場はボーナスが特に手厚かったのですが、それでも本部の人は『営業現場には行きたくない』と言っていました」(中堅社員)
「法人統括部の清水(喜彦)部長が一番悪い。一番ケツを叩いて売らせていた奴です
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三井住友銀の現場組織
三井住友銀のキャリアパスと報酬推移
2,3月に退職した行員とその再就職先(社内報『Rising』より)
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住友イズム。
激詰めでこのページが上位表示されるワロタ。
軍曹系上司か。三井住友ブートキャンプがあるのかな(笑)。かなり踏み込んだ調査報道。清水喜彦という実名も出た。
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読者コメント
銀行なんて収益性下がる=給料下がるで旨み無くなるのに皆よくしがみつくな。
田舎の就職先としてはノルマの見返りにそこそこ給料よかったわけだが、新卒で行く意味はもはやないな。
三井住友銀は、TOEIC800点以上を入行前の目標としています。2012年より東進ビジネススクールが三井住友銀行内定者に対して、入行前の内定者研修を実施しています。2013年4月入社内定者400名が東進ビジネス英語講座を受講しています。
銀行退職者の大半は、メンタル疾患か心身症を患い、心身ボロボロで退職していきます。割り増し退職金を積んで辞めて貰い、人材会社を通じて転職も支援する、といった退職プログラムはもちろん存在しません。
数字未達は「犯罪者扱い」、軍曹ゲキ詰めカルチャーってのはメガバンク、地銀に限らず銀行全てに共通する文化だと思う。濃淡の差は強豪地域や支店長次第で変わる。
40年ほど前に在籍していました。。本店勤務になったとき、配属部門が営業本部の部屋と廊下で続いていて、毎日、トレース部隊の支店長に対する悪口/罵詈雑言が聞こえてきました。それは完全に、体育会・ヤクザ系そのものでした。数々の不祥事があったにも拘わらず全く体質が変わっていないのである種の懐かしさに捕らわれました。住友は、全く再生などしていなかったのですね。
ノリは原則体育会系、大して頭の要らない仕事ばかりを背負う宿命にあるのか?
結局、権力を握ることが仕事の目標であり成功でもあるという悲しき現実的結論。
そんな社会や組織には密かにノーを突き付けて打開策を練りましょう。
金融という業界は、学歴で既に自分のキャリアが決定されているというのは有名ですよね。これからも続いていくのでしょう。
別のメガバンクに勤務していましたが、ノルマの仕組みや行風はほぼ同じでした。予想していたとは言え、溜息が出ます。
おかしいことがおかしいと言えないのは、当事者としてはとても辛いものがありましたが、今もその現実に苦しんでいる行員が多数いるのですね。
経営者が一層されていない以上、同じようなノルマ営業の経営手法は今後も続くし、行員の苦難の道は続くのでしょうね。
銀行は、晴れの時には傘を貸し、雨の時には傘を取り上げる、と比喩されたり、何かと恨まれたりする業界ですね。業界の近代化と悪しき慣習の是正が必要ではないでしょうか。
財閥系の企業なんて、ごく一部を除いてほとんどが使い捨ての駒扱いでしょうね。かと言って、トップが必ずしも優秀な訳でも会社の金融技術が特段秀でている訳でもない。
そんな連中が幅を利かせているのですから、日本経済の元気もなくなる訳ですね。
三井と住友、銀行とその他の業界では全く社風が違うようですが、昔の住銀マンのこぐ営業自転車のスピードは異様に速かったとの逸話を読んだ覚えがあります。
三井住友銀に限らず銀行業務ってこんなもんじゃないですか?ある地方銀行の人も同じようなこと言っていたようですし。後、国立旧帝卒+早慶卒者だけが本部勤務が可能で他は営業店勤務というような差別もあるとか聞きましたよ。
学友が三井住友銀に勤務していますが、この記事はその友人の"証言”にダブリます・・営業マンは全体的にこんな感じなのか・・
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