 Caa 不良企業
(仕事2.5、生活3.0、対価1.8)
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「冬のボーナス、手取り14万円台でした。ホントですよ」。りそな銀行の3年目社員が、意外な実態を語る。「都銀は、世間からは好景気でかなり貰っていると思われていますが、うちは例外。公的資金2兆円ですから」。りそなは2003年、総額1兆9660億円が注入され国有化、つまり倒産した。公的資金の残高は一時、3兆1千億円を超え、返済に追われている。業績は復活したが、2007年9月時点でも2兆3千億円超の残高があり、社員にまともな給与を払う余裕などない。
【Digest】
◇世間は好景気、りそなは例外
◇残業時間を組織ぐるみで偽装
◇30歳550万円がせいぜい
◇雇用安定は42,43歳までだけ
◇残る都銀ブランドの威力
◇3年目からバラバラのキャリアパス
◇割り勘を要求する支店長
◇社内転職はアリ
◇支店若手社員、1日のスケジュール
◇サービス残業が横行
◇女性活用はましなほう
◇手帳もメールも禁止
◇世間は好景気、りそなは例外
今冬の組合員のボーナスは1ヶ月前後で、夏の2ヶ月と併せても、年3ヶ月弱にとどまる。りそな銀では大きく分けて、入社から3年間の「育成層」、「一般社員」(4年目から主任まで)、「マネージャー」、「支店長」、「経営陣」で給与・賞与が決まっている。育成層の冬のボーナスは、入社3年目だと額面17万円台、手取り14万円台になってしまう。
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上:2007年冬のボーナス
中:2006年冬のボーナス
下:給与
(ともに20代後半社員) |
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その上の一般社員でも、一律で30万円(手取り24万円台)。「私の場合、3年目社員と比べれば倍近いですが、50歳でも30万円です」(一般社員)。40代以上の一般社員も多いため、かなり厳しいが、それでも金額は昨年より2割ほど増えた。
「バブルの頃は、1回のボーナスで半年分出ていて、30歳で年収1千万円だった。今では、1千万円貰えるのは支店長以上で、30歳なら500万円程度。バブル期の支店長は1500~2500万だったそうです」(同)
支店長クラスに昇格できる人は、同期で10人に1人もいないくらいハードルが高いという。それでも1,000~1,500万。いきおい、カネ払いは渋く、支店の飲み会でも、支店長に傾斜配分すると苦い顔をされるという。社員全体に余裕がない。
若手社員が続ける。「他企業とりそな銀行との待遇差は、社会的には表面化していません。これがバレるまで、採用の現場でも都銀のブランド力が発揮されるでしょう」。倒産企業で高い賃金が税金から支払われたら納税者としてはたまらないので、普通に考えると当然ではあるが、昭和時代を知る高年齢層を中心に都銀信仰はいまだ根強い。
◇残業時間を組織ぐるみで偽装
給与・賞与が低いなか、社員はどうやって生活しているのか。福利厚生面では、自宅から90分以内で通える独身者には、補助がゼロと冷たい。出身地と異なる勤務地に配属となり、自宅から90分以上かかる場合は、りそな銀が寮運営専門の会社と契約しており、「レオパレス」に実質無料に近い負担で入居できる。自社の寮はなくしていく方針だ。妻帯者の場合は、5万円程度の住宅補助が出る。
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りそな銀行のキャリアパスと報酬 |
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このように、最低限の福利厚生はあるが、手厚いとはいえない。では、“生活残業”の実態はどうなのか。りそな銀では、残業代は、労働基準法第三十六条の基準どおり、年間で計360時間。月30時間平均だ。
「月30時間を超えると怒られるんです。年360時間に収まるよう、年度の後半(2~3月)は、残業代は実質ゼロにさせられました」(3年目社員)
実際に残業ナシならばよいが、その実態は、サービス残業を残業ナシに偽装するのだという。その手口は、組織ぐるみの悪質なものだ。
りそな銀では、労務管理の一環として、コンピュータを利用してファイルを保存・更新した時刻を管理しており、退社時刻と整合性が取れているか、チェックしている。つまり、21時にファイルを更新しているのに、自己申告の退社時刻が20時というのはありえないので、これを突き合せることで、実態に則した労務管理をしている、と労基署にも説明できるのだ。
だが、社内では、これを悪用した時間調整が行われている。りそな銀のイントラ上で、自分のファイル更新時刻を知るためのツールが共有されており、社員はそれを使って.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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りそな銀行の意思決定カルチャー他 |
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