『トマ美ちゃん』だけじゃない!効かない上に危険な最悪サプリ 1位富士フィルム『メタバリア』、2位DHC『フォースコリー』
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安全性と有効性の証拠、表示の違反性をもとに評価したダイエットサプリ悪質ランキング。①『メタバリア』②『フォースコリー』③『すらっと宣言』④『ラクテクト』⑤『夜スリムトマ美ちゃん』。6位以下は、下方の画像参照。 |
- Digest
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- 景表法違反の表示は『トマ美ちゃん』だけか?
- 人気のダイエットサプリの違法度を判定
- 最悪サプリは『メタバリア』、サントリー『ラクテクト』も問題
- ファンケル『カロリミット』は有効性にデータなし
- ホテル・デパートより悪質な『トマ美ちゃん』の詐欺表示
- 返金対応はしていないの一点張り
- 薬事法違反になるから臨床試験のデータは見せられない
- 『食べスリムトマ美ちゃん』へリニューアル
景表法違反の表示は『トマ美ちゃん』だけか?
『夜スリムトマ美ちゃん』というダイエットサプリをご存じだろうか。筆者周辺に聞いた限り、男性はほとんど知らないが、女性は10人中半数超が、テレビCMや広告を見たことがある、とのことだった。
トマトに含まれる「リコピン」を主成分とするダイエットサプリで、報道によると2年間で50億円も売り上げた人気商品だという。
その『トマ美ちゃん』の「寝ている間に勝手にダイエット!?」「寝る前に飲むだけで努力なし!?」などという宣伝が景品表示法違反にあたると、12月5日に、消費者庁が販売事業者の株式会社「コマースゲート」に対して措置命令を出した。
この件に関して筆者は、テレビ朝日の番組「モーニングバード」からコメントを求められ、主に以下3点を指摘した。
2)事業者名の公表によるダメージはあるが、表示の訂正に従う限り罰則や罰金はなく、不正な表示で客をだまして得た利益はそのままなので、不正表示防止の抑止力にはなっていない。
3)景品表示法を厳密に適用すれば、トマ美ちゃんだけではなく他の健康食品もほとんどすべてが違反となる。
翌日12月6日にテレビで報道された内容がこれだ。
上の3点の内2点は採用されたが、3点目の他の健康食品もほとんどは違反というコメントはボツとなった。さすがに健康食品が大スポンサーであるテレビ局では無理だったようだ。BS放送のCMなどはほとんどが健康食品だから、そのスポンサー料がなくなれば存続できない。
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市販の人気ダイエットサプリの安全性・有効性・表示違反度を証拠をもとにワーストランキング。ワースト10まで。上位ほど悪質。![]() |
人気のダイエットサプリの違法度を判定
そこで『トマ美ちゃん』以外の人気のダイエットサプリについて、安全性の根拠、有効性の根拠、景表法上の表示の違法性の3点を比較して、ワーストランキングを作成した。
ダイエットサプリの人気ランキングサイトを参考に、その中で有効成分の情報が、国立健康栄養研究所での「『健康食品』の安全性有効性情報」サイトに掲載されている10商品を選び、評価結果をランキングしたものが左記の一覧表だ。
ここでは画像ファイルで表示するが、記事末尾に、商品宣伝のサイトにリンクを張ったより分かりやすいPDFファイルも添付するので、参考にしてもらいたい。
安全性・有効性・表示、のそれぞれの評価は、3段階で○△×で示した。
「安全性の証拠」は、国立健康栄養研究所のサイトで「適切にとれば安全だと判断される」となっているものが〇、「安全だという十分なデータが無い」というものは△、動物実験などで有害性が示唆されているものは×とした。
「有効性の証拠」は、ヒトの臨床試験で十分なデータがあるものは〇、ヒトのデータはあるが、有効と無効の結果が混在し結論付けられないものが△。ヒトの臨床試験のデータすらないものが×だ。
「表示の違反性」は、消費者が誤認するかどうかだ。つまり表示された効能に、それを裏付ける合理的根拠がない場合は×。商品によっては、露骨に効能を宣伝して景表法違反になるのを避けるために、表現をあいまいにしたものも多い。
場合によっては何を言いたいのか不明な広告になっている場合もあるのだが、そうしたものは、今回は△とした。合理的根拠があるものは〇だが、今回調べた10商品には、〇はなかった。
『トマ美ちゃん』については×。詳しくは後述するが、事業者は「臨床試験もやっているしデータはある」と言い張るのだが、「では見せてみろ」というと「提供できない」と開き直るので×である。
これらのなかで、景表法違反でないと明言できるものはなかった。ただ表示の悪質度に差があった。
最終的な順位づけでは、安全性の証拠を最優先、次に有効性の証拠を考慮した。実際に購入する消費者の立場としては、表示の違法性よりも「安全性が確認されているのか?実際に効くのか?」の方が重要だと判断したためだ。
最悪サプリは『メタバリア』、サントリー『ラクテクト』も問題
その結果、ワースト1位は、富士フィルムの『メタバリア』となった。実は2012年12月に、すでに記事を書いている。「メタボになることをバリアする」という意味なのだろうが、「頑張らないダイエットをサポート」と広告している点は、違反性が高い。
効果の表示を裏付けるヒトでの臨床試験データは無い。それどころか、有効成分のサラシアには高濃度で流産のリスクが示唆されている。
サプリに含まれている量は、動物実験で流産リスクが出る量よりもは少ないが、富士フィルムの加工技術で成分の吸収力をアップさせているのことが、安全性が懸念される要因になっている。
ワースト2位は、南海キャンディーズの山ちゃんのCMで有名になったDHCの『フォースコリー』。インド原産の植物で伝的民間療法使われてきた。表示では「疲れることは一切やりたくない、食べたいときは食べちゃうもんね」などと運動や食事節制なく効果が出せるような広告となっていて違法性が高い。
安全性では、動物実験で、胎児の成長遅延と着床障害のリスクが示唆されており、
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『夜スリムトマ美ちゃん』の広告の変化。特に筆者の電話での交渉(12月10日)直後に再度変更された。
景表法違反の『夜スリムトマ美ちゃん』からリニューアルした『食べスリムトマ美ちゃん』。これでいいのか消費者庁。
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読者コメント
メタバリアを飲んでいるがまったく何の効果も実感できないし、いつ飲めばよいのか何の案内もない。
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