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『キムラヤのパン』長男経営の高級パン屋「メゾンカイザー」ナンバー2がセクハラ容疑でクビ宣告

情報提供
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左は、木村屋長男の木村周一郎社長。高級パン屋メゾンカイザーを運営する「ブーランジェリー エリックカイザー ジャポン」(メゾンカイザー)を経営し、ナンバー2のセクハラ行為を認定、降格処分とした。右は同社取締役のエリック・カイザー氏。(同社HPより)
 『キムラヤのパン』で有名な老舗・銀座木村屋。その長男・木村周一郎氏が経営する高級パン屋「メゾンカイザー」のナンバー2だった伊藤史郎氏(仮名、当時60歳)は、12年3月に突然、女性社員たちからセクハラで訴えられた。その内容は、周りに他の社員がいる中で、制服の試着をする女性社員のネクタイの締め方を教えた時、服の上から体に触れたというものや、女性社員のズボンの臀部に小麦粉がついていると言って手で払った、という軽微なものだったが件数は多かった。伊藤氏は業務上必要な行為と主張したが、会社の尋問の結果、セクハラ認定され降格、報酬は月22万円もカットされた。納得できない伊藤氏は12年末に役職の地位確認と慰謝料200万円を求め東京地裁に提訴。すると数日後、伊藤氏はクビ斬り宣告された。今年1月の一審判決ではセクハラが認定され「降格後の役職」の地位が認められたにとどまった。陰謀の臭いもするこの事件、ナンバー2は本部女子社員らにハメられたのか?その全貌をお伝えする。
Digest
  • 社長に次ぐナンバー2ゼネラルマネージャーに就任
  • 本部女性社員たちが「セクハラされた」と社長に直訴
  • 性的な意味合いはなかった、と全否定
  • セクハラを理由に降格→GMの地位確認、慰謝料求め提訴
  • 提訴直後にクビ切り、一審判決でセクハラ認定も降格後の地位確認
  • “謀略”の匂いのする女性社員たちのセクハラ直訴

社長に次ぐナンバー2ゼネラルマネージャーに就任

判決文や判決で採用された証拠によると、事件の舞台となった「メゾンカイザー」は、アンパンで有名な銀座木村家(株式会社木村屋總本店)創業一族の長男・木村周一郎氏(実名、推定現45歳)が社長を務める会社である。

木村氏は都内の私大を卒業後、00年に破綻した千代田生命に91年に入社したが、その後、退職し、アメリカやフランスでパン製法の修行をした。そこで知り合ったフランスの著名なパン製造者・エリックカイザー氏の協力を得て、エリック氏が経営するフランスの会社と木村氏との合併会社として、00年9月、「ブーランジェリー エーリックカイザー ジャポン」(以下、「メゾンカイザー社」)を設立した。

同社の直営店舗は現在、大阪の、あべのハルカスや、都内の、丸の内、東京ミッドタウンなど16店舗。ほかに銀座松屋、大丸東京、そごう横浜などにショップがある。ちょうど今月1日の日経土曜版「日経プラスワン」の食パンランキングで2位にランクインされるなど、今売り出し中のパン屋である。

なお、同社の従業員は385人、うち4分の3は女性(12年12月現在)。顧客も主婦やOLなど女性が大半。このように女性が多いことが、今回の事件の背景にある。

ことの発端は、今から6年前、メゾンカイザーが、まだ現在の半分の規模で、これから店舗を拡大させていこう、と意気込んでいた頃にさかのぼる。その頃、一人の人物が、現場のトップに就任した。

それはのちの原告・伊藤史郎氏(仮名、現62歳)だった。陳述書によると伊藤氏のキャリアは、高校卒業後、アパレル製造卸の営業部長、アパレル小売業の開発事業部長などを経験した後、商業コンサルタント業、店舗内装業の会社を経て、99年に食品飲料業のユニマットオフィスコに入社。同社の社長室マネージャー、マーケティング部店舗開発室長、子会社の取締役を経験し、05年に洋菓子製造業のサンタクロースに入社。

その後、サンタクロース社に多額の負債があることが判明し、入社後半年で銀行に請われる形で、社長に就任。しかし、会社は倒産。このとき伊藤氏は、会社の正社員110人のうち、再就職先の見つからなかった約80人の働き口を探し歩き、08年7月に全ての従業員の再就職先を確保したという。

従業員を路頭に迷わせなかったのを見届けた後、伊藤氏は自分の就活を始めた。すると、ちょうどその頃、知人の紹介で、木村社長と顔合わせし、08年8月、メゾンカイザー社のゼネラルマネージャー(以下、「GM」)に就任した。

GMの毎月の賃金は、基本給17万8千円、役職手当

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メゾンカイザーのパン。同社HPより

会社側が尋問時に手渡したセクハラ容疑を列記した文面の概要。(※筆者が裁判資料をメモして作成したもの=コピーや撮影はできないため)

降格を告げる人事異動通知

セクハラ容疑の舞台の一つとなったメゾンカイザー丸の内店(同社HPより)

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