トヨタ正社員が実名で語る組織的労災隠し(4) 知人が豊田章男社長らを刑事告発、最終的に労災を勝ち取った!
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(上)作業中に右膝を負傷したときの診断書。(下)労災保険を使うなと再三にわたり上司から圧力をかけられ鬱状態にされたことを示す診断書。 |
- Digest
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- 「会話を録音してるよね……」と課長
- 「これがトヨタのルールだ」トヨタ労災隠しのてん末
- ICレコーダー持ち込み禁止、カメラ禁止
- 救急車でトヨタ記念病院へ「過換気症候群」と診断
- 機密管理違反だと「注意書」を読み上げ渡される。
- 第一弾は豊田労基署へ「労働安全衛生法違反申告」
- 豊田区検察庁にトヨタと豊田章男社長を告発
「会話を録音してるよね……」と課長
2014年8月1日、台車で部品を運ぶ作業中にビキッと膝に痛みがはしり、トヨタ堤工場で働く社員・染谷大介氏は負傷し、右膝外側々副靭帯損傷と診断された。
職場で就業中に怪我をしたのだから労働災害保険適用が当たり前。しかし、「トヨタにはルールがある」として会社は社員の労災申請を阻んできた。結局は労基署が労働災害と認め支給し、会社もそれに従わざるを得なかったのは当然である。
その「当然のこと」が実現するまでに事故発生から1年以上経過した。そのプロセスを振り返ってみたい。
トヨタ堤工場の社員・染谷大介氏がトヨタの労災隠しの実態をマイニュースジャパンに対し、実名で告発したのが2014年11月19日。3回目の記事が出たのが14年12月26日だった。しかし、それ以降も仕事現場では特に大きな変化はなく、彼はそれまでと同じように働いてきた。
ところが15年3月3日、事態は急変する。再び本人から詳しく聞いた。
「その日は二直(遅番)だったので16時15分に工場に出勤すると、16時30分ごろ、GL(グループリーダー)に『課長が呼んでいる』と言われ、一緒に事務所に行きました。
そこには課長がおり、『ちょっと別の所に行こう』と、堤工場にある『組み立て部ハウス』というところの2階応接室に向かいました。
応接室には、工務部課長、別の課長の二人がいました。席につくなり工務部課長が「この話は録音させてもらう」と机の上にICレコーダーを置きました」
染谷氏によれば、このときの会話の概要は次の通りだった。
染谷 はい。なんですか?
課長 最初、染谷が情報をもらしたのか?
染谷 その質問に答える必要はないと思います。
課長 ここは会社なんだから言いなさい。
染谷 答える必要はないと思います。
課長 あれは会社の機密管理規則に違反している。
染谷 答えず。
「かなりイラだっている様子がうかがえました」
そして課長は話を別の方向に持っていった。
課長 CL(チーフリーダー)との会話を録音しているよね。
ちなみにトヨタの役職は、一番下が一般⇒EX(エキスパート)⇒GL(グループリーダー)⇒CL(チーフリーダー)⇒課長という階層で、課長から非組合員になる。したがってCLは労働組合員の最高位だ。
染谷氏が上司との会話を録音したことは、これまで3回にわたるマイニュースジャパンの記事では、一切書いていない。
「CLとの会話録音というのは、ヒザをケガした後、8月22日にGLらから来たメール『…労災保険を使うとのことですが、審査が必要となりますので、それまでは、健康保険でお願いいたします。月曜日に●●さん(注:CLのこと)と安全衛生に行きましょう。16時30分です』という指示どおりにCLと話したときのことです。
このときは二人の上司、Cl(チーフリーダー)とGL(グループリーダー)とで話をしたのですが、録音しますよ、と二人に同意をもとめ、拒否をしなかったので録音したものです」
「これがトヨタのルールだ」トヨタ労災隠しのてん末
○2014年8月1日、堤工場で30㎏前後のパレット(台のようなもの)と空箱が数十個置かれた200㎏の台車を後ろに引く作業をしていた染谷氏は、ビキッという音とともに右膝靭帯を傷めた。その日は脚を使わない作業に替えてもらった。
○8月2日 病院に行く。支払い時に上司に電話すると労災保険でなく健康保険でやってと言われたので疑うこともなく健康保険で3割負担をした。診断は、右膝外側副々靭帯損傷。
○8月6日 痛みのため数日休んだ後、この日から出勤。この日以降、仲間や知人に話を聞き、勤務時間中の仕事上のケガなので健康保険でなく労災保険を使うべきでないかと疑問を持ち始めた。
○8月21日 経過観察で病院へ。出かける前にメールで「労災保険に変える旨を」上司に送信した。
○8月22日 有給休暇。上司が何度もメールや電話で「労災をやめてまずは健保にするように」という趣旨の連絡。
○8月25日 工場内の小部屋(安全衛生処置室)に呼ばれた染谷氏は、今回労災を使えないと通告された。「だからぁ~! トヨタのルールとはそうなんだ! あなたも従業員であるならばルールに従うべきだ」と言われたという。
○同日 不安になり早退して病院に行くと、「労災から健保に変えてほしい」と会社から病院へ電話があったことを聞かされた。
○8月26日 小部屋で上司5人が染谷氏を囲み、「これがトヨタのルールだ」と小冊子を出す。仕事上のケガでもまずは健康保険を使い、後に調査するということが書かれていた。その後、現場で上司が15~16人の労働者を集め、同様の趣旨を伝えた。
○8月27日 上司とともに病院に行くと、上司は「トヨタ自動車には独自のルールというのがありまして、それに則って染谷さんの労災保険を健康保険に切り替えさせていただきます」と受付で述べたが、染谷氏は労災にしてくださいと明言。ここで会社と対立した形になってしまった。
以上のような経緯を染谷氏はマイニュースジャパンで明らかにした。その後、何事もなく現場で働いていたが、最初の告発記事が出てから2カ月半あまり経過した2015年3月3日になり、前述のように呼び出されて問い詰められたのである。
ICレコーダー持ち込み禁止、カメラ禁止
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内部情報を漏らしたとして染谷氏は注意書を渡された。ここに「機密事項」という文言が記載されているが、本件における最大の機密事項とは、トヨタによる労災隠しではないだろうか。![]() |
再び、呼び出しを受けた3月3日の「組み立て部ハウス2階応接室」に話をもどそう。労災に関して上司と話した時、相手に断って、ICレコーダーで染谷氏が録音したことをとがめ、課長はこう言ったという。
「今後一切、ICレコーダーを工場内に持ち込まないでください
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(左)膝を傷めたことに対する労災申請のための書類。(右)労災申請を止めよと圧力を受けたことにより、抑うつ状態に陥ったため、この部分でも労災を申請している。
トヨタ自動車と豊田章男社長に対する告発状。労災は正式に認められたため、一連の会社の行動は労災隠しにあたる。また病院の窓口まで上司が赴いて労災保険を止めさせる行為などは反社会的だとして処罰を求める内容になっている。
染谷氏による労基署への申告、第三者からの告発があってまもなく、会社は傷病見舞金を支払った。
勤務中にケガをした直後の3日日間分は先に労災が認められた。4日目についても労災申請したところ、支給が決定されたという通知書。つまり、染谷氏の件は完全に労働災害であったことを労基署は認めている。
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→刑事告発と見舞金支給との間の因果関係は?
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読者コメント
トヨタは、現場の管理職がほとんど、労災の知識がないので、知識を持てばとことん追求できます。労災に健康保険を使わすのが会社のルールだと本気で信じている管理職の姿には、呆れ果てるばかりです。
多額の広告費だけではなく、100人以上の広報スタッフ、ヤメ◎顧問弁護士が居るとの記事を見たことがある。”組織的な労災隠し”でも大手マスコミと国会で問題にならなければ、ほとんど黙殺されてしまうというのが現状だとしたらすごく恐ろしいことだろう。”常態化した組織的労災隠し”というのは”下請けへの円高協力金”や”首都高での自動運転車の実験”よりも恐ろしいことだと思う。
大手マスコミは、弱きを叩いて
強きに阿るのが仕事だからな。
NYタイムズのマーティンファクラーも指摘していたが、
連中の年収の異常な高さとその源泉である広告費胸三寸で
報道内容が決まる。そして...
記者クラブという名の権力者とズブズブの閉鎖的組織
労災隠蔽は完全な犯罪、労安衛違反。案の定、日本の大手マスコミは広告費欲しさの為にトヨタに絡む不祥事は報道できないようだな
仕事中の怪我を労災として法律どおりに処理すれば何の問題も起きなかった。ところが社会のルール(法律等)よりも社内のルール(トヨタのルール)を優先させていしまった。この歪みに経営幹部はきづかないのであろうか。
染谷さん頑張りましたね。とても良い対応だったとお思います。むしろ真相をもっと明らかにするために、労災不支給で裁判に持ち込めたら会社のルールというものが提出させることができたのに。それにしても大きな武器になります。私たちも活用させていただきます。
これを労災隠ししなきゃならない理由って何?応援する気にならん!
本当に報道の自由があるのなら、こういう実態を大手のメディアも取り上げるべきだろう。◎田家の御曹司が優越的な立場を利用して就職活動中の女子大生に関係を迫ったという疑惑も取り上げてほしい。
何処の会社も安全衛生上の名誉を守りたいのですかね?。余程の事故でも無い限り、どうってことないんだが、御用幹部の責任逃れが一番の動機なのでしょう。アホらしい!
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