ベネッセ 早期退職のベテラン社員が語る「追い出し部屋」人事、個人情報流出の背景、原田体制での変化――「ヒトの成長を支援したい→カネ稼ぎたい、になってきた」
2015年3月末退職で300人程度が募集された特別早期退職優遇制度 |
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- 違法認定された「追い出し部屋」の仕組み
- 「いらない人リスト」「ほしい人リスト」
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違法認定された「追い出し部屋」の仕組み
この希望退職募集は「特別早期退職優遇制度」として2014年12月に募集がかかりましたが、原田社長の就任前から構想はあり、すでに朝礼の場で全社員に対して発表も行われていました。情報漏えい事件発生(2014年7月発覚)のドタバタで、実施が半年ほどずれ込んだ感じです。
この希望退職自体は、本当に希望者だけで、強要はなかったと思います。会社側からの異動内示を受け入れることのできない人や、お金に余裕のある人(配偶者のいる女性など)、40代でも転職が可能な割と優秀な人が、会社の計画通り300人前後応募し、2015年3月に退職しました。
私の場合、異動内示を受け入れることはできませんでした。「まぁ、お金のほうは何とかなるだろう」という程度はありましたし、転職も何とかなるだろうと思い、応募したわけです。なお、入社した時期は、社名変更前の福武書店時代です。
希望退職募集の条件面などが記された募集要項 |
条件は、左記のとおり。一番おいしいのは、中途採用で入社して「勤続3年以上の40歳」という比較的若い人ではないでしょうか。勤続15年(会社への貢献が長い)でも勤続3年でも、条件は1か月分しか違わないですし、40歳なら転職もしやすいからです。
この希望退職は合法的で穏やかなものですが、ベネッセは、これ以前より、違法な「追い出し部屋」のような仕組みを作って辞めさせたり、割増退職金を払わない「退職勧告」もやってきました。その一部は、記事にある通りです。
→ベネッセが全面敗訴 “リストラ被差別部署”での社内就活&退職勧奨は「人事権の裁量範囲を逸脱」
「いらない人リスト」「ほしい人リスト」
基本的に部内の人事権は各部の部長が持っています。部内異動や、人事考課についてです。部をまたがる異動であっても、双方の部長が合意していれば実現し、人事は事務処理をするだけで、口を挟むことはほとんどありません。
そして、ある程度の課内の人事権は、課長が持つことになります。人事考課の1次評価を行い、課内人事異動の一次案を作成します。私自身、課長職に就いていたこともあり、この制度の運用は、体験していました。
課長は、7~8人から、大きい課だと20人ほどの部下を管理します。まず、毎年4月から始まる新年度に向けて、前年の9月、10月に、次年度の事業計画と予算計画を立てます。そして、それを実現させるための要員計画を作ります。
ここで選別が行われます。事業計画や予算計画を実現させるために課長が「いらない人リスト」「ほしい人リスト」を作成します。たとえば、給与が安い新人が欲しいとか、給与が高いベテランはいらないとか、課長が課の目標を達成するために、人事案を作成します。
それを、課長同士で持ち寄って、話し合いが行われます。上述の通り部内人事に関しては部長が人事権を持っているので、課長同士が合意して、部長承認があれば、同一部内の人事異動は成立します。
「青紙制度」というものは、部をまたがる異動をするための制度の一つです。優秀な社員が違う部に異動したい場合に利用します。あるいは、「いらない人リスト」にも「ほしい人リスト」にも名前が挙がらない人が、異動を希望する場合に利用します。
問題は、マッチングできなかった人たち。「いらない人リスト」に載った人で、部内の他の課で受け入れを拒否された人です
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先着50万名様限定でタブレットを無料提供。理由は「作り過ぎ」だった。
ベネッセコーポレーションのキャリアパスと報酬水準
これが課長クラスの年収(源泉徴収票)
課長から外れ、職務が変わると、月収はここまで下がる(40代社員の給与明細)
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読者コメント
11日発表したことし3月期のグループ全体の決算は、最終的な損益が82億円の赤字と、2年連続の最終赤字になりました。 会見で、原田会長兼社長は「情報流出のビジネスへのインパクトは、思った以上に重かった。業績について経営トップのけじめを問われると考え、退任の結論に至った」と述べました。NHK 5月11日 18時23分
進研ゼミなど顧客の個人情報が大量に流出した教育サービス大手のベネッセホールディングスの原田泳幸会長兼社長は、業績不振のけじめをつけるとして来月で退任すると発表しました。
発表によりますと、ベネッセホールディングスは、原田会長兼社長が来月25日付けで退任し、後任の社長には福原賢一副社長が昇格します。NHK 5月11日 18時23分
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