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築3年で床上浸水被害、収支見通し最悪でデフォルト危険大 「大東建託の“友人営業”にだまされた」と嘆くオーナー

情報提供
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床上浸水をしたとして大修繕をした際の大東建託の報告書。
 近くに川がないので、水害保険は必要ありませんよ――約9000万円をかけて作ったアパートに、大東建託社員のことばを信用して地震保険と火災保険だけをかけ、一括借り上げによる経営をはじめた地方都市のオーナーAさんは、わずか3年後に床上浸水の被害にあい、1500万円の修繕費を払うはめになった。「損はしませんよ」と大東建託に勧誘されるまま安い山林を買って建てたのだが、じつは低地で排水の悪い場所だったのだ。予期せぬ出費で総事業費は1億円超に膨らんだ。そして冷静に計算すると、遠くない将来、銀行の債務を返済できなくなる危険が高いことに気づいた。きっかけは、同級生を通じた“友人営業”。「同級生じゃなかったらやらなかった、だまされた」と後悔することしきりだ。その同級生も、アパートの完成を見る前に病気で倒れ、退社した。大東建託の周辺から聞こえてくるのは不安と不幸せな話ばかりだ。
Digest
  • 大東建託に再就職した同級生からの連絡
  • 「安くていい土地がある」
  • 「大丈夫です」攻撃にさらされて
  • 「水害保険は不要」と言った社員
  • 排水ポンプ故障に床上浸水で大損害
  • 「あそこまでずるい会社とは思わなかった」

大東建託に再就職した同級生からの連絡

東北地方の、とある中規模都市で自営業を営むAさん(50歳代)が、小学校の同級生から久しぶりの連絡を受けたのは、東日本大震災と東京電力福島第一原発の大事故の発生から間もない、2011年4月のことだった。

「大東建託○○支店建築営業課」

同級生が差し出した名刺にはそう書かれていた。彼は、学校を卒業した後、首都圏の企業に就職し、遠距離通勤をしていたものの、リストラで退職した、と聞いていた。その後どうしたのかと案じていたが、大東建託に転職したのだ、とAさんは知った。

自宅近くの支店だから、通勤は便利だし、社会保険もある、給料もまともに出ている。いい職場だ――

そう語る同級生の表情は明るかった。中高年者にとって、再就職は厳しい時代だ。50歳を過ぎて正社員の仕事はなかなかない。「仕事が見つかってよかった」とAさんはうれしく思った。彼が以前やっていた仕事も営業だ。「同じ営業だから合っているんじゃないか」と思った。

ただ、「大東建託」という会社名を聞いて、Aさんは一抹の不安を感じた。この会社については以前、取引先からよくない噂を耳にしたことがある。倉庫を建てて一括借り上げで経営したところトラブルになった、営業のやり方がものすごく強引だった、社員の労働条件が悪い、といった話だった。

「大東建託というのは問題がある会社じゃないのか」

心配するAさんに同級生は答えた。

「昔ほどは、ひどくない。先輩もよくしてくれる」

なるほど、そうかもしれない、とAさんは考え直した。大東建託の悪い評判を聞いたのは何十年も前のことだ。テレビコマーシャルから受ける印象は悪くない。株式上場したので、きっと悪い部分はあらためられたのだろう――

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大東建託から届いた総額1500万円に達する浸水被害の修繕の請求書(2棟のうち1棟分)。

「安くていい土地がある」

同級生がAさんに連絡してきた主な目的は、近況報告というよりも、「営業」にあった。ひとしきりしてから、同級生は切り出した。

「大東建託でアパートを建てて経営してみないか」

Aさんは、アパート経営などに興味はない。建てる土地もない。その旨、伝えると、同級生は言った。

「じつは“いい出もの”がある。安くていい土地がある。そこを買って建てればよい。家賃収入が入る」

自己所有の土地にアパートを建て、経営するのが、一般的な大東建託の販売商品だ。これに対して、土地をあらたに購入してそこにアパートを建て、大東建託の子会社が一括借り上げをして経営するのが、「ランドセット」と呼ばれる方法だ。同級生がAさんに勧めたのは、この「ランドセット」だった。

自分の土地にアパートを建てる通常のやり方が、その目的を「税金対策」や「空き地の有効活用」に置いているのに対して、ランドセットは、多額の借金をすることが節税につながる資産家の例を除けば、純粋に利益を得るためだけの投資である。Aさんは資産家ではない。

同級生がAさんに購入を勧めた「安くていい土地」とは、郊外の住宅地のはずれにある、山麓の山林だった。広さは4000㎡もある。価格は300万円ほどだという。不動産取引に縁のないAさんには、素人感覚として安く感じられた。

同級生の車で現地を見学してみた。「ゴルフ練習場にいいんじゃないか」、というのが第一印象だった。雑木林の斜面で、ボールを打ち上げるのにはもってこいだ。

斜面の下の低い部分が500坪ほど平らになっていて、そこにアパートを作ればよい、と同級生は言った。周囲に家はなく、道路もついていなかった。もっとも近い家まで100メートル以上も離れていた。アパート経営をするのにふさわしいところなのかどうか、土地勘のないAさんには、皆目見当がつかなかった。

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Aさんが広い山林の土地購入とあわせて「ランドセット」方式で建設したアパート。

「大丈夫です」攻撃にさらされて

もとよりアパートに関心がなかったAさんだが、同級生に求められるまま「立地審査」という大東建託の社内手続き書類に、軽い気持ちで同意した。これが、契約締結を目標とした「営業作戦」の第一歩だとは知るよしもなかった

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アパートの地面(奥)が道路(手前)よりも低く、排水はポンプでくみ上げて下水に流している。ポンプは「故障した」として、8年間で3回交換したという。ポンプは手前方向の地下に設置されている。

大東建託がAさんに示した事業計画書。最上段(514万1000円/年)が借り上げ賃料。下から3段め(117万3000円/年など)が手残り額。30年間家賃はいっさい下がらないという非現実的な想定だが、約1億の借り入れで月の手残り額が10万円前後しかなければ、常識的にみて早晩デフォルト状態になる危険が高いと支店長経験者は指摘する。

大東建託に再就職した同級生やその上司の勧めるままに山林を買ってアパートを建て、道路や上下水道も自費でつけた。道路の管理も自分でやる必要がある。舗装は薄く雑で、ひび割れて雑草が生えている。

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文中「4000坪」とあるのは「4000㎡」の誤りでした。お詫びして訂正します。(2019年6月30日、本文訂正済み)
本文:全約6300字のうち約4600字が
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