「オープンハウス振り込め詐欺事件」社員逮捕・起訴は2人に 保土ヶ谷営業センター元営業マンの林氏、公判で犯行認める
連続振り込め詐欺を捜査している警視庁捜査本部が記者クラブメディアに提供した容疑者逮捕の公表文。オープンハウス社員(逮捕当時)のK氏と林健二氏は詐欺・窃盗罪で起訴され、うち林氏は起訴事実を認めた。K氏の公判はまだはじまっていない。(情報公開請求で警視庁が開示した文書。黒塗りは警視庁、モザイク処理は筆者による)。 |
オープンハウスの複数の現職営業社員が関与した連続振り込め詐欺事件で、警視庁は7月28日、先に逮捕した営業社員K氏に続き、あらたに別の営業社員林健二氏を逮捕した。その後、K氏と林氏はいずれも、主犯格とみられる松本和義・小山龍耶両氏とともに詐欺・窃盗罪で起訴され、法の裁きを待つ身となっている。林・松本・小山各氏の刑事公判は10月からはじまり、全員犯行を認めた。現段階で判明している犯行グループは5人。そのうち有名東証一部上場企業の現職社員が2人もいることになるが、これがいっさい報道されず、社会問題にもなっていないのは異様というほかない。林氏らはなぜ犯行に加わったのか、何があったのか。オープンハウス社は取材に対して完全に沈黙、何ごともなかったかのようにテレビCMをきょうも流している。(文中一部敬称略)
- Digest
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- 社員2人目が逮捕される
- 公判開始(松本・小山・林関連)
- 第2回公判(松本・小山関連)
- 沈黙するオープンハウス
- 「振り込め詐欺防止キャンペーン」
社員2人目が逮捕される
連続振り込め詐欺事件の捜査をしている警視庁の捜査本部が2人目のオープンハウス社員を逮捕した――との情報が筆者のもとに届いたのは、7月30日のことだった。逮捕されたのは林健二氏(31歳、年齢は逮捕当時=以下同じ)。今年6月、高齢者を騙して金を盗った詐欺および窃盗容疑だ。逮捕の日付は28日。新聞・テレビは、林氏の職業について「会社員」とだけ報じ、具体的な社名は明らかにしていない。だが、逮捕・連行される姿がテレビで放映され、林氏を知る顧客の目に留まった。林氏は、かつて保土ヶ谷営業センターに所属していた営業担当の社員だった。
念のため、筆者はオープンハウス保土ヶ谷センターに電話をかけて問い合わせてみた。応答した社員は、林健二氏が在籍していたことを認めた。6月ごろはまだ会社に籍があったがすでに辞めた、と社員は言った。
林氏の逮捕に先立ち、警視庁はオープンハウス上大岡営業センター元社員のK氏(27歳)を詐欺・窃盗容疑で逮捕している。新聞によれば、K氏を犯行グループ(松本和義・小山龍耶被告人ほか)に引き入れたのは林氏だ、と伝えている。「小遣い稼ぎの仕事があるよ」と言って勧誘してグループに引き込んだという。また、林氏はK氏の報酬を管理していた、とも報じられている。いずれも警察情報だろう。また、産経新聞は「グループが今年1~6月、約20件で1300万円を詐取したとみて調べを進めている」と警察情報を報じている。
なお、林被告人および松本・小山被告人の氏名は、公判がはじまり起訴事実も認めているので実名表記とした。K氏については、公判がまだはじまっておらず罪状認否の手続きもなされていないので、推定無罪原則にたって引き続き匿名とした。
さて、オープンハウス社員2人め逮捕に続く新聞やテレビの報道に筆者は注意を払ったが、以後事件の記事はなくなった。こうなると、事件の具体的内容を知る手がかりは公判傍聴しかない。傍聴を続けると、多忙そうな会社の正社員でありながら時間を工面して犯行に及ぶ姿が徐々に浮かび上がってきた。
公判開始(松本・小山・林関連)
千葉県内にある千葉銀行支店(事件と直接の関係はありません)。東京都足立区内のホームセンターに停めた車のなかから、千葉県の都心から離れた郊外の高齢者を狙ってウソの電話をかけ、銀行員や役場職員をかたって訪問して通帳・キャッシュカードを盗み、それをつかって金を引き出した。分業による組織的犯行だった。 |
10月19日、東京地裁で初公判が開かれることになり、傍聴に向かった。起訴は4人いっしょに行われ、事件番号も4人で1件として処理されている。だが、公判は分離して開かれた。
この日の審理は、オープンハウスK社員だけを除き、残りの3人だけを対象にして行われた。なぜそうなったのか、事情はわからない。
午後1時半の開廷予定時間の数分前、815法廷の奥の扉が開き、松本・小山・林の3被告人が、刑務官に伴われて法廷に現れた
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林被告人は銀行員をかたって高齢者から通帳とカードをだましとり、銀行のATMで金を引き出して盗んだとされる。千葉興業銀行のATM内に掲示された千葉県警のポスター。
オープンハウス社員らの犯行グループが犯行がくり返していたころ、オープンハウスと神奈川県警が協力して、振り込め詐欺防止キャンペーンをやっていた。横浜市鶴見区内で行われた「ステッカー貼付式」の手順を書いた神奈川県警の文書(情報公開請求で入手)。
オープンハウスと神奈川県警の協力による振り込め詐欺防止キャンペーンで作成された「ステッカー」。上は不採用のデザイン案、下は採用されたデザイン(神奈川県警に対する情報公開請求で入手)。
栄元照志・元警視庁日野署長がオープンハウスの常勤顧問として天下っていることを示す文書。栄元氏とは別に、氏名不詳の警視庁職員も常勤顧問に天下っている(情報公開請求で入手)。このほか、元近畿警察局長・櫻井勝氏が社外取締役になっている。社名が報じられない背景に、警察との癒着が疑われる。
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読者コメント
大東建託株式会社の一連の事件についても感じた事にマスメディアの追求が随分ぬるいなと。不動産業界なんてこんなものだという認識がメディアにあるのだろうか。トヨタ自動車ほどの広告費は投下していないと思うのですが・・・
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