国費のコロナワクチンを闇打ちで接待に流用、「接種会場」は桜十字グループ西川朋希代表が理事を務めるビューティクリニックVIP室
桜十字の西川朋希代表は、再春館製薬元社長・西川通子氏の次男。2021年5月15日と16日に菅首相(当時)と首相公邸で、コロナワクチン接種に関する会議を開くなど政策にも影響力があり、その信用を利用している(写真は桜十字の社内報より)。西川氏と桜十字グループのコンプライアンス、ガバナンス体制はどうなっているのか。 |
- Digest
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- 医療・福祉ビジネスを展開する巨大集団
- 菅首相と西川代表が首相公邸で会談
- 東京桜十字と(株)メディカルハック
- 闇接種の日程と場所を協議したLINE交信記録
- 桜十字グループが配給を受けたワクチンを流用か
- コロナ専用シリンジがMETに
- だれが闇接種を受けたのか?
- 桜十字とインドネシアの関係
- 医療崩壊の危機
- 桜十字は取材に応じず
東京都港区の表参道にある美容外科、メットビューティクリニック(以下、MET)の元スタッフらが、コロナワクチンの闇接種を内部告発した。2021年春から夏にかけて、数回にわたりワクチン接種が秘密裡に行われたという。目的は、国内外の要人らの「接待」であった可能性が高い。国費で調達されたコロナワクチンが私的に流用されたことになり、窃盗の疑いがある。
役職付きの元スタッフが次のように話す。
「ワクチン接種はVIPルームを使ってやっていたようです。しかし、VIPルームはいつでも使えるわけではなく、使用する際には事前にスケジュールを決めることになっていました。スケジュールを管理しておかなければ、VIPの患者さんに待ち時間が生じてしまう恐れがあるからです。そのVIPルームの使用目的を知らされないまま、上司の命令でスケジュールだけが入ることが増え、なにかおかしいと感じるようになりました。フロントに置いてあるはずの検温器がなくなることもありました。おそらくVIPルームで使っていたのだと思います」
(写真上)メットビューティクリニック(MET)の正面玄関。向かいのビルが鏡のような建物に反射している。 (写真下)METが入居するビルの裏口。 (写真右)VIP専用の出入口。 |
METのVIPルームは、ビル裏口を入り、1階から2階へ階段を上がったところにある。タレントなどが美容の施術を受ける際に、人目を避けるために利用する。正面玄関から出入りすると、一般客と顔を合わせるため、それを避けるため裏口からVIPルームへの出入りを可能にしているのだ。そのVIPルームがワクチンの闇接種に使われた、という。
マイニュースジャパンが内部告発を受けたのは、2021年11月だった。その根拠は、ワクチン接種の日程と場所を決める際に当事者が使ったLINEの通信記録や、闇接種に使ったとみられるコロナワクチン専用のシリンジ(注射器)の写真だった。ワクチンとシリンジの配布ルートに関する港区の書面を情報公開請求で入手し、これら物的証拠と、取材で得た告発者たちの「証言」の整合性を検証することで、裏付けは決定的となった。
元スタッフらは、闇接種の回数は3回程度、全体で延べ15人ぐらいではないか、と話す。外国人と思われる人や、南方系の人が交じっていた、とも話している。
医療・福祉ビジネスを展開する巨大集団
闇接種の舞台となった美容クリニックMETは、医療法人社団・天翔会が経営しており、天翔会はMETのほかにも渋谷区の恵比寿美容クリニックも経営する。
天翔会の設立は、登記簿によると2018年で、理事長は医師である堀江義明院長(日本の法律では、医療法人の理事長には原則として医師資格がないと就任できない)。
コロナワクチンの闇討ちを行った堀江義明医師(公式サイトより) |
堀江院長には『男は見た目が9割』などの著書もある。この堀江医師が今回、ワクチン闇打ちの“実行犯”となっており、医師倫理が問われる行為だ。
だが、元スタッフらの話によると、METに最大の影響力を持つのは、熊本市に本部を置く医療法人「桜十字」の西川朋希代表だという。実行犯が堀江医師なら、首謀者がこの西川代表である。西川代表は、2019年4月12日付で、この天翔会の理事に就任している。
桜十字は、幅広く医療や福祉事業を展開している巨大グループで、再春館製薬が2006年に買収して運営に乗り出した、いわば再春館の分身である。西川代表の母親である西川通子氏は、ながらく再春館製薬所の社長を務めた人物だ。長男・正明が再春館製薬を継ぎ、次男・朋希が桜十字の代表者に就いた。
東京でも医療法人社団・東京桜十字が港区虎ノ門に本部を設置し、複数の診療所を運営する。桜十字グループの総社員数は6551人(2021年4月1日現在)、総売上高521億2700万円(2020年度)、と公表している。
菅首相と西川代表が首相公邸で会談
2021年の春、東京・永田町でコロナワクチンの接種をめぐる、ある動きがあった。
5月15日と16日に、桜十字の西川朋希代表が、菅義偉首相ら内閣の要人たちと首相公邸でワクチン接種をめぐる打合せを行った。その中身詳細は裏付けが取れないが、この会合が開かれたことについては、新聞の「首相動静」欄が記録しているうえに、桜十字の社内報(電子)も、写真(冒頭の写真参照)付きで華々しく報じた。全文は以下の通り。
15日、地域医療の現状や、ワクチン接種の加速化に向けた改善点を説明。さらに、「新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣の河野太郎氏にも、直接聞いてもらいたい」という菅首相の意向により、翌16日、再度首相公邸へ招かれ、河野氏が同席するなか協議が行われました。
続報などありましたら、随時発信していきます!■出典
当時、日本は欧米に比べコロナワクチンの接種が遅れ、菅内閣は厳しい批判を受けていた。闇接種を内部告発したMETの元スタッフらも、医療従事者であるにもかかわらず、まだ接種を受けていなかった。そのためスタッフらの間で、
「金さえあれば、打てるんだ」「裏事情はすごいね」
といった会話が交わされたという。
東京桜十字と(株)メディカルハック
このワクチン接種の舞台となったMET(メットビューティクリニック、天翔会)と桜十字は、看板が異なるだけで、実態としては一体である
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(株)メディカルハックの増田修一、Tomoki、YS(仮名)、メットビューティクリニックの事務長によるラインの交信記録。YSがワクチン接種を受ける日程(2021年7月21日、水曜日)を決めた。
増田修一社長のFacebookのアイコンとラインのアイコンが完全に一致している。
METのスタッフ控室で撮影されたコロナワクチン専用のシリンジ。
「5回分」と記されているのが普通のシリンジで、「6回分」と記されているのがコロナワクチン専用のシリンジである。写真の出典は、「化学協会の話題」
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