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ソニー 個人主義の行き詰まり like no other?(仕事/生活)

情報提供
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Baa 優良企業予備軍
(仕事5.0、生活3.0、対価3.8)
 2002年秋に発売された「コクーン」。HDD(ハードディスクドライブ)内蔵録画機の走りだったが、高い価格やDVDメディアへの撮りためができない問題があり、松下や東芝などに圧倒的な遅れをとってしまった。2003年秋には、遅ればせながら、全く別ブランドとしてDVD録画機能を搭載した「スゴ録」を発売。両者には社員から見ても明らかな「ダブり感」があり、結局、コクーンは2005年、販売を終了している。
Digest
  • 強力なリーダーを求める現場
  • 液晶とプラズマを過小評価
  • 資本も技術も人間もソニーではない「ソニーパネル」
  • マネばかりしてるくせに「like.no.other」
  • あの人に出来るのか?という疑問
  • デバイス系の中鉢氏にセット系が分かるのか
  • 完全に人に依存した仕事の仕方
  • 突き抜けた人には天国、教育はなし
  • 社内異動も中途採用も活発
  • 人事もボトムアップの分散型
  • 離職者は少ない
  • 「課長」はたくさん、「統括課長」は1人
  • ラボのほうは、社内スポンサー次第の面も
  • 「好きな仕事」より「儲かる仕事」の圧力
  • フラットな人間関係、中間にかかるプレッシャー
  • スケジュールのプレッシャー、「何かを生み出す」プレッシャー
  • 追い詰められていくケースも
  • 100時間超の残業も
  • 設計者は年末にまとめて休む風潮
  • 「品川周り」が仕事場の中心
  • 現場はドライで地味

強力なリーダーを求める現場

「コクーンは、強力なトップダウンでそのまま開発を続けていたら、うまくいっていたかもしれない」。ある30代技術者は、同社のリーダーシップ不足を指摘する。「もともとの社風がボトムアップで、個人がガンガン言う会社なのに、さらにカンパニー単位で壁ができていた。“ソニー全体の考え”というものが薄い」。

市場ニーズをほとんど無視して、個人が技術ベースで物事を進めるのがソニーの特徴だ。そのため、自社でコア技術を保有しない製品は、ボトムアップでは出にくい。コクーンがDVDを搭載しなかったのは、松下・東芝・パイオニアなど他社のDVD技術を使うことを嫌ったためとも言われている。こうした技術屋の発想だけでは、マーケットを制するのは難しい。

ボトムアップに任せ、調整役もいないため、「コクーン」と「スゴ録」のような社内で競合する商品も出てしまう。中村改革で事業部制を廃しトップダウンを強化した松下や、町田社長の強力なリーダーシップで液晶への投資を進めてきたシャープとは好対照だ。ソニー不振の一因に、行き過ぎの個人主義があることは間違いない。

「今までは、ボトムアップでホームランが出てきたが、デジタル化で市場への投入タイミングが大事になってきているのに、時代の先を行き過ぎるなど、うまく調整できない。現場は、むしろトップダウンのリーダーシップを期待しているんです」(同)。

液晶とプラズマを過小評価

トップダウン不在が招いた失敗は、薄型テレビでも起きた。当時の久多良木副社長が以下のような発言を何度かしている。「テレビではいくつかの判断ミスがあった。それが今も尾を引く。本来は、世の中が薄型テレビに切り替わるのを待つのではなく、ソニーが仕掛けて流れを作るべきだった。でも、2005年、2006年になっても、まだブラウン管が優勢だろうという意見がほとんどだった。液晶とかプラズマは中継ぎ技術だと過小評価していた。」(『日経ビジネス』2003年11月10日号)

筆者は99年にシャープの液晶テレビを購入した際、「もう2度とブラウン管は買わないな」と思ったのを覚えている。多くの消費者もそう感じ、薄型への流れは一気に進んだ。しかし、出井氏をはじめとするソニー経営陣は、この判断を誤った結果、松下やシャープに圧倒的な遅れをとり、液晶パネル最大手・サムスンの技術でパネル供給を受けざるをえなくなった。

資本も技術も人間もソニーではない「ソニーパネル」

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痛々しさが滲む最近の広告

「ソニーパネル」搭載--。あたかもソニーの独自技術・独自生産であるかのような広告文句が、ソニーの薄型テレビの広告に記載されている。ヨドバシカメラなどの大手量販店では、店頭のPOPにも記載して強調。過去の遺産である「ソニーブランド」をフル活用したいのは分かるが、事情を知る業界の人たちからは失笑を買っている。

 ポイントは、公正取引委員会に言い訳を立てるためか、※印をつけて下のほうに小さく目立たぬよう、《S-LCD社製液晶テレビ用「ソニーパネル」を搭載》」と注をつけているところだ。名前こそソニーパネルであるが、

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