三菱重工業 反省見せず、法令順守への重い重い腰(仕事)
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【社内のコンプライアンス推進研修テーマには「談合問題」もあった】 |
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- 次長個人に責任押し付け、終幕
- JFEでは解雇、三菱重工は解雇せず
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次長個人に責任押し付け、終幕
「かわいそうに」--。同社のある若手社員の感想だ。鋼鉄製橋梁工事を巡る談合事件は、社内的には、「次長個人の判断でやった」という扱いにし、その部署の課長以上の社員を総入れ替えして、収束させてしまったからだ。談合は、脈々と歴代の担当者が繰り返してきた組織的な犯行であることは、社員でなくとも明白な事実。次長1人が、会社のために対外的に詰め腹を切らされ、歴代の担当者は追及されなかった。
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【橋梁談合について佃社長から全社員宛に流されたメール。発信専用アドレスで、社員から意見を受け付ける姿勢は全くない】
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この次長とは、東京高検が2005年7月、独占禁止法違反の容疑で逮捕(8月に起訴)した鉄構建設事業本部の橋梁部の次長(当時54歳)。日本道路公団発注の鋼鉄製橋梁工事の入札談合事件において、元道路公団理事と相談し工事を割り振る「配分表」を作成するなど、談合の中核的な役割を担っていた。法人としての三菱重工も、2005年6月、新日鉄とともに、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪で起訴されており、公判中だ。
社内では、こうした逮捕・起訴を受け、他に談合が行われていないかを確かめる名目で、全社的に営業課長全員が聴取を受けることになった。ただ、「聴取する側が、かつては自分が(談合を)やる側だった社内の先輩なのだから…」(若手社員)と、その効果を疑問視する声が強いという。
JFEでは解雇、三菱重工は解雇せず
さらに、JFEエンジニアリングが6月、逮捕・起訴された元橋梁営業部長(54歳)を、30日付で懲戒解雇すると発表したのに対し、同様に逮捕・起訴された三菱重工の次長のほうは解雇とはならず、「主幹部員にした」と6月に発表されている。同社で「主幹」とは、後述するように、部下のいない部長クラスを指すため、発表が正しければ、次長から部長への昇格だ。まるで戦死者が2階級特進したかのような扱いで、会社のために詰め腹を切った者を称えるということで、同社の確信犯ぶりをよく表している。こうなると、実態としては、全く「かわいそう」ではない。
結局、会社全体としても、6月21日に西岡会長、佃社長ら3人の2ヶ月間20%減俸、(橋梁担当の)松浦常務が「けん責」処分という、形だけの軽い処分だけだった。西岡会長は7月の定例会見で、国土交通省など官公庁からの天下り受け入れを今後も継続する意向を表明。経団連の奥田会長が「官製談合で、根絶は難しい」と助け舟を出したこともあり、罪の意識は社内的にも共有されていないという。
国交省からの公共事業で5~8ヶ月ほどの指名停止措置を受けたため、当然、数百億円単位で売り上げは落ちる。ただ、本部がそのことを報告したところ、経営陣からは「他でカバーせよ」と無理な目標を課されたことが社内で知れ渡り、現場社員の不信を買った。コンプライアンスよりも売上・利益を優先する体質だ。グレーゾーンではなくブラックゾーンでの活動について、ここまで法令順守の意識が低い会社は、日本の大企業のなかでも珍しい。
今回の橋梁談合では、三菱重工が自治体から会社としてまるごと指名停止になるケースもあり、事件とは直接関係がない他部門の社員にまで、
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