利権化した郵便局の私書箱サービス
![]() |
放ったらかしの私書箱 |
--あの私書箱は、誰が使えるのですか?
「どなたでも使えますが、現在は空きがありません。ずーっと前から使っている人ばかりで、空きはでません」
--利用料や期限は?
「無料です。我々としては、本来は配達しなければならないものを、わざわざ取りに来ていただいている、という認識です。期限もありません」
--民間の私書箱サービスは、都心だと月に5千円~1万円かかりますが。そこは青山一丁目の駅前ですから、相場としては1万円は下らない。それを無料で貸すなら、公平性が必要です。早いもの勝ちで無期限なら、若い人にはチャンスがないということになる。では、予約状況はどうなっていますか?
「予約というものは受け付けておりません。そもそも、空きが出たという話も、聞いたことがないもので…」
公共のスペースが、かなりいい加減に管理されており、一部の古くからの利用者が無料で独占し続ける“利権”と化しているようなので、情報公開を求めることにした。情報公開室に電話すると、担当の経営管理部・山田氏が対応した。
--私書箱を早いもの勝ちにしている法的な根拠を知りたい。
「郵便法と郵便約款というのがある」
--そこに、早いもの勝ちで、しかも無料で私書箱を利用できる、と記されている?
「いや、明記されている訳ではない。」
--ということは「慣習」でタダで貸しているのですか?郵便局員による便宜供与?これは要するに、駅前の一等地の公共スペースに、無料の小型ロッカーのカギを持ち続けている人がいる、ということなんです。無料で昔から使っている人がいる一方、新たに使いたい人がいても「ずっと空きがない」と言われる。法的根拠が明確でないと、納得できないのですが。
「特定の人に対して便宜を図っているわけではないんです」
--私は、いくら待っても空かない、ということを言われました。私書箱について、そういう苦情はないのですか?
「私が聞いたのは初めてです。他の例については分かりません」
--散発的には苦情があっても、どういう苦情が何件あったかという集計をしていないだけではないですか?
「要望やクレームを吸い上げる仕組みがないのは、確かにそうです」
--それでは改善するはずがないですよ。最初から利用者の意見を受け付けていないのと同じですから。運用上、なぜ利用期間くらい決めないのですか?
「申請する際に、利用期間を書く欄はありますが、書かない人もいます。そういう人は、廃止届を出すまで、ずっとカギを持っていて、使い続けることになります…」
--使っているかどうかのチェックはしないの?
「事実上、やっていません。規定のなかで、利用条件を満たさなくなったら取り消せる、というのもありますが、実際には取り消していない。取り消し件数も把握していません」
結局、管理がいい加減であることだけは、はっきり分かった。法人・個人の区別もしておらず、平均的な利用年数や回転率についても、もとからデータをとっていないから、情報公開の対象にもならないという。
![]() |
6割のうち、実際に利用されているのはいったい…
![]() |
全体の私書箱の数と、利用されている数くらいは把握しているというので、出してもらった。東京支社管内で、17,028中、62.9%の10,719が利用中だという。カギを失くしてそのまま20年、という人も含めてだから、実態は異なるだろうが、お役所的なデータ上は、そうなっているのかもしれない。
とても納得できないので、赤坂郵便局郵便課のマシコさんに、しつこく聞いてみる。
--法的な根拠は何もないようですが、なぜ予約を受け付けないのですか?
「予約は、受け付けておりません。会社を廃業するとか、引っ越すとかで、空きが出ることがあるとは思いますが…」
--見たところ、ぜんぜん使われていない私書箱がほとんどみたいですよ。開けているのを見たことがない。既に引っ越したり、鍵をなくしたりして、そのまんま、という人が多いんじゃないですか?どうせタダだから。いちいち届ける人、いないですよ。
「う~ん。各時期の担当がやってきたはずなんですが…。では、実際に利用されているのか、ちょっと再点検してみますので、お待ちください」
2週間後、電話があった。「
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り446字/全文2,161字
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
渋谷のアッシーという私書箱、名前からして軽い感じ、ネットのオークションの支払い関係で利用したら、郵便物を勝手に開封しお金を抜きやがった!!
かなり悪質なため、被害報告しておきます。
そもそも私書箱は公共のスペースではないと思いますが…。
郵便局の私書箱よりも民間の私設私書箱は無法地帯です。なんと郵便が助長してるので宅配便も助長する形になっています。
以前会社の業務で私書箱を取得したことがありますが、最初は局留め扱いで郵便物の実績を見て、1日10~50通程になったので担当者と交渉して取得しました。
無料、無期限で放置されている実態がうかがえますね。でも、そもそも自宅や事務所に配達される郵便物を私書箱に集めるメリットが何なのかわかりません。たとえば主な活動拠点が都心だけど、事務所が地方にある場合などが考えられるのでしょうか。
萌え~・・じゃない。ほぇ~って感じですね。役所の体質は、どうしてこう呑気というか、問題意識や改善意識に欠けるというか、こう可笑しな風なんでしょうねぇ?それに合わせて税金を請求される国民はたまったものではありません。願わくば、職務のごく一部の話であって欲しいものです。されはさておき、時折耳にすれどもその実態を知らなかった私書箱の謎が解けました。感謝。
記者からの追加情報
新着のお知らせをメールで受けたい方は ここでご登録下さい