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アマゾン 黄金の手錠〝Golden Handcuffs〟の威力 「辞められなくなります」――株価上昇&超円安でRSUが暴騰

情報提供
掲載用:1本目アマゾンサムネ写真2
取材協力者は『いい会社はどこにある?』の愛読者であった

「我々はGolden Handcuffs(黄金の手錠)をかけられている――とアメリカ人社員が言っていましたが、その通りです。RSU(Restricted Stock Unit=譲渡制限付株式報酬)のことですが、毎年、新規で2年先までのグラント(付与)があり、その時点まで在籍していないと満額貰えませんから、辞めにくくなります」(30代社員、以下同)。この〝在籍条件つきの株式報酬〟が、なかなかの巨額なのだ。この黄金手錠の価値はどのくらいなのか。

Digest
  • 年1300万円のゴールデン・ハンドカフス
  • 400~600万円を放棄して辞められるか
  • 株は貯まり、現金が減る
  • ほとんど上がらないベースサラリー
  • 昇格「1回辞めて1個上で入社し直すほうがラク」
  • 高級住宅地にキャッシュで家を買えるレベル

年1300万円のゴールデン・ハンドカフス

掲載用:1本目報酬計画-3差し替え
総報酬計画書(2021年4月~2022年3月、赤字:説明文)

「これは、実際、去年までに付与されたRSUとベースサラリーが記されたコンペンセーションプランです(左記)。毎年、2年後までの新規付与予定と、その年に実際に支給される予定のユニット数が、年ごとにわかりやすく記された『総報酬計画書』を、わたされます。私は在籍が4年を超えているので『毎年2年後まで』の計画ですが、入社時点では4年後までのRSU付与計画が提示されます」

1ユニット=20株。3年間トータルで60~70ユニット(約1300株)が提示され、すべて受け取ることができた。この間、辞めなかったからだ。今年も、新たに2025年分と2026年分の予定が提示された。それぞれ、その時点(1年後と2年後の同月)に在籍していれば受け取れる。いったん受け取ったRSUは、辞めても、辞めなくても、ずっと保有し続けることができ、いつ売却してもよい。

ただし、この「計画」は、突然、狂うこともある。クビになったら、それが会社都合による避けようがない一方的な整理解雇(レイオフ)であっても、理由を問わず没収される契約になっているからだ(→実例「会社都合のレイオフでサイニングボーナス&RSUまで没収」)。その時点で、在籍していることが絶対条件となる。

この計画書に記された3年分のRSUは、現在の時価(2024年7月上旬)で計算すると、1300株✕200ドル×1ドル160円=4千万円強。ベースサラリーとは別に、年平均で1千3百万円余りずつの株式報酬があったことになる。30代で年1千3百万円のボーナスは、総合商社や、外資証券並み。これはもちろん、①株価が上昇基調であること、②為替が超円安に振れたこと、という2点の環境要因(個人の努力では変えることができない)が大きいが、現実に起きている話である。アマゾン社員は、なかなか資産価値の高い、高価な手錠につながれているのだ。

このRSUの付与数は、30代のアマゾン社員としては、普通といえるのか。

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