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アマゾン『PIP』リストラは『Focus』に 「大企業化で成果主義はぬるくなった」――キーエンス・リクルート出身者「楽勝だ」

情報提供
掲載用:2本目サムネ
「次の転職先について、この本を読みながら考えています」(インタビュイー)

AmazonのRSUは、少なくとも4年以上の勤続年数がないと、ボーナスとしての価値は少ない。最初に設定されるRSUの付与条件として、「3~4年目まで在籍」が株数全体の60%を占めるからだ。丸3年もたずに辞めたら、株の6割を放棄することになる。では実際のところ、平均勤続年数は、どの程度なのか。アマゾンジャパンは日本で上場していないので、有報で平均勤続年数を開示する義務を課されていない。秘密主義なので、自ら開示することもない。

Digest
  • 平均在籍1.8年よりは長い
  • PIP→Focus(フォーカス)に名称変更
  • 年次のパフォーマンス評価でボトム層入り→PIPに
  • PIPの課題は上司が難易度を決められる
  • リクルートやキーエンス出身者「楽勝だ」
  • 360度評価「フォルテ(Forte)」

平均在籍1.8年よりは長い

アマゾンは中央値が1.8年!ほんとかよ
米英企業「在職期間の中央値」ランキング(2023年11月17日)

『Visual Capitalist』誌に掲載された記事「従業員の定着率が最も低い企業 (米国および英国)」によると、LinkedInのデータを分析した結果、米英企業の「在職期間の中央値」は、アマゾンが1.8年で、短い順ランキングでワースト2位だった。1位はアップルだ。

「私は在籍5年以上と長いほうですが、日本法人も平均1.8年かというと、もう少し長いという印象を持っています。4年で株を取り切って辞めるパターンも多いので、中央値は3~4年ではないかと」(中堅社員、以下同)

アマゾン社員は、世界共通で、勤務年数によって色が違うバッチ(社員証)を持つ。

アマゾンのバッジの色
アマゾンの赤、紫、シルバーのバッジは、サバイバル勝者の証

5年未満が青バッチ、5~10年未満が黄色バッチ、10~15年未満が赤バッチ、15年超が紫バッチである(左記参照)。目的は説明されていないが、リテンション対策(雇用維持)の1つと考えられる。辞めずに生き残るだけでも、結構たいへんなことだから、表彰の意味を込めている。

Amazonは、パフォーマンスが悪い下位10%を、毎年、PIP(performance-improvement plans=業績改善計画)に送り込んで、改善が見られないと本当に解雇してしまうストロングスタイルで知られる会社だ。在籍し続ける難易度は、まあまあ高い。終身雇用のぬるま湯カルチャーに浸かっているJTC(日本の昭和企業)とは、正反対である。

コロナ禍後のテック大手人材ミニバブル崩壊(2023年)では、アマゾンAWS事業におけるグローバルなレイオフで、日本でも「10か月分の退職金を出すから合意書にサインせよ」、セールスフォースで「PIPに進みたくなければ3ヶ月分を貰って退職せよ」など、退職と引き換えに上乗せ退職金が出た。

2022~2023年は、アマゾンで大規模なレイオフ(指名解雇)がグローバルで行われ、同時にPIP入りの人数も増えた――と報道されている(→大規模レイオフ時に「業績改善計画(PIP)」対象の従業員が急増していた)。PIPは即レイオフとはならないが、辞めるよう促す点で、ゴールは同じである。

グローバルでは、2017年から、アマゾンのPIPは2段階制となり、第1段階のプログラムを「フォーカス(Focus)」、第2段階を「ピボット(Pivot)」と呼ぶのだという。

PIP→Focus(フォーカス)に名称変更

「アマゾンジャパンでは、ここ数年、ヘッドカウントを減らしていません。通常のPIPは行われていて、3~4年前から『フォーカス』と呼び名を変えましたが、実質的な中身は、以前からのPIPと同じです」

アマゾンのPIPは毎年のルーティンなので、辞める代わりに退職金を積む仕組みはない。このあたりは、同じくパフォーマンス不足を理由に「当日解雇」も辞さない日本IBMに似ている。

実際の運用としては、職場では、身近なところで、普通に、この「フォーカス」が行われているという。対象者は、システムではじき出されて上から降ってくるため、管理職が直接選んでいるわけではないが、人事評価が反映された結果として決まるわけで、間接的には関与している。

「ここ数年で、私の部下も1人、このフォーカス(PIP)に入った社員がいて、

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