2.管理職の360度評価・顧客評価を実施 ♯【評価基準に納得性が高い】
❐査定・評価―対価軸『いい会社はどこにある?』
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第3章対価軸の構成(本稿は単行本『いい会社はどこにある?』の元原稿 《一部アップデート最新版》です) |
人事評価といえば、上司→部下への一方的な評価と思われがちであるが、会社によって多様化が進んでおり、評価にこそ「その会社らしさ」が見られる。ごく一般的な目標管理の場合、上司から一方的にAだのBだのつけられる評価を、気持ちよく受け入れられる人がどれほどいるだろうか。しかも、筆者が経験したのは、目標設定がないまま、裏でこっそり、当人に説明もなくAだのBだのをつけて、ごくわずかな差をボーナスでつける、という極悪非道な評価手法だった。それが90年代の日経新聞で、それまでは何と毎年の人事評価を行っておらず年功序列のみだった。《なんだこりゃ?評価者としての部長の仕事、何もしてないのと同じだろう》――と驚くばかりだったが、どうすることもできず、「経営不在、最悪の組織だな」という不満だけが溜まった。
- Digest
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- マネジメントが弱い日本企業
- 本気の360度評価は「刺し違える覚悟」が必要
- “弱すぎ上司”問題
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- 顧客評価で分かるプロフェッショナリズム
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- 360度評価で180度変わった三井物産
(以下2025年追記)
マネジメントが弱い日本企業
筆者は《オマエにオレの何がわかるんだよ、単に年功序列で上司になっただけだろ》と反発するタイプなので、31歳で雇われる身分から完全に独立した。評価を下す以上は、せめて反論の機会や、複数人の評価だったり、顧客(読者)からの評価だったり、客観的な根拠やプロセスの透明性がほしい――とずっと思っていた。
だが、旧態依然の新聞社にマーケティングという概念はなく、当時聞いた限りでは、どの記事がどのくらい読まれたかという調査すらしていない、という。肝心なのはお金を払って新聞を読むお客さんであるが、完全に顧客を無視していた。
そしてなぜか、業界内で半日早く書いたか否かという、読者にはほぼ興味がないであろう、下らない「抜いた・抜かれた」競争をしていた。夕刊なんか、まともな社会人は誰も読んでいないのに、である。評価するにも、定量的な根拠が何もない状態だった。いったいどうなってるんだ?と疑問だらけだった。だから、このテーマはずっと関心を持っている。
まず、360度評価は、正直、羨ましい。新聞社でもコンサル会社でも、自分が評価する機会は一度もなかった。評価というのは本来、お互い様で、両方向であるべきものだ。部下は上司から評価されるし、上司も部下から評価される。一方にだけ絶対的な権限があったら、《軍隊の上官と兵隊》の関係でしかなく、社員は奴隷化する。それを今でもやっているのが、大半の日本企業である。
人が死んでやっとおかしさに気づき360度評価を導入する企業まである。過労死発生の改善策として360度評価の導入を決めた電通(2017年)と三菱電機(2021年)である。※少なくとも、部下をパワハラで潰す、誰の眼からも明らかな“クラッシャー上司”は、360度評価が普通に機能していれば、必ず発見される。
※ここでは人事評価との関係に関して説明するが、360度評価については、パワハラ・セクハラ防止の視点から、生活軸で詳しく述べた。❐人間関係 #【組織カルチャーが自分にフィットしている】2.対セクハラ・パワハラ、コンプラが機能している ◇「ホットライン」と「360度評価」参照。
アマゾンの360度評価については、同じく#【組織カルチャーが自分にフィットしている】 1.社員の人柄や人間関係が自分に合っている②傭兵・スナイパー集団参照。
前述の積水ハウスでは、
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