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オープンハウス新卒女性設計職自殺事件で元同僚が新証言「持ち帰り残業は、みんなやらざるを得ない仕事量でした。地獄でした」

同期入社の男性社員が決意「法廷に出て証言してもいいです」

情報提供
さしかえ1枚目
元同僚で新卒入社同期のCさん。Aさんと交換したラインメッセージを示す。長時間の持ち帰り残業が常態化しており、互いに仕事の辛さを嘆きあっていたという。

オープンハウス・ディべロップメント設計部門の新入社員Aさん(女性、当時23歳)が2020年10月に自殺した事件は、その労災認定をめぐる訴訟で、持ち帰り残業の有無が争点となっている。このほど、「持ち帰り残業はなかった」とする会社側の主張を真っ向から否定する元社員が現れた。Aさんと同期入社で、同じ注文設計グループに配属となり、日々、同じフロアで、同じ新人の立場で勤務していたCさんだ。「Aさんも私もみんな持ち帰り残業をしないと終わらなくて、長時間労働で疲弊していました。亡くなったのは労働環境が一番の原因だと思う。裁判所で証言してもいいです」(Cさん)

Digest
  • 打合せ用の提案図は自宅で作成
  • 手持ち案件が次第に増えていく
  • 勤務時間関係なくチャット・メール対応
  • 「5棟を並行して担当」の意味
  • 私語厳禁、仕事しながら昼食
  • 泣きながら電話をかけてきた
  • 24分間の「最後の電話」で何が話されたのか
  • 「怒らないから電話出てよー(泣)」
  • カバンに入っていた多数の図面類
  • 労災不認定の取り消しを求めた一審判決は敗訴
  • 早朝・深夜のメールの意味

オープンハウスは激務で知られ、若手を中心に死傷事件が多発しているが、同社より巨額の広告宣伝費が支払われているオールドメディアで報道されることはない。本件は、以下一覧の6番事件だ。(→11番事件はこちら

2021年までの約3年間の深刻事案(2022年8月にも新人が自殺している)

打合せ用の提案図は自宅で作成

前回記事→オープンハウス設計職の新卒女性はなぜ入社半年で自死したのか

過労自殺をめぐる労災認定の攻防は、今月1日の一審判決では後述のとおり遺族側の敗訴となり、控訴審に持ち込まれる見通しだ。逆転勝訴する可能性は十分にある、と筆者は思う。というのは、判決直前になってAさんの元同僚が遺族の前に現れ、協力を申し出たからだ。彼はきっぱりと言う。

居酒屋l
同期入社の同僚らと居酒屋に集う在りし日のAさんの写真(右から2人目、Cさん提供)。仕事の能力は高く、仲間うちでリーダー的な存在だったという。

「みんな持ち帰り残業をしていました。Aさんもしていました。長時間労働に疲弊していました。Aさんは生前、私に、仕事のきつさから、会社に行きたくない、辞めたいと言っていました。持ち帰らないと終わらないだけの仕事量が課されていました。Aが亡くなったのは労働環境が一番の原因だと思う。直属の課長もそう感じているはずです」

そう話すのは、オープン社でAさんの同僚だった男性Cさんである。Aさんとは新卒入社の同期で、配属先も同じ注文設計グループだった。

Cさんの名刺など
在籍証明として見せてもらったオープンハウスディベロップメントの企業年金案内通知(右)と、当時のCさんの名刺(左)。Cさんは、オープンハウス・ディべロップメント「設計グループ」で同期入社のAさんらとともに注文設計業務を行っていた。給料は初年度で毎月額面で約30万円だった。

営業担当者が宅地を販売した後、そこに建てる戸建て住宅の設計業務を担当する部署だ。課員らは顧客と打ち合わせを数回行いながら設計を練りあげ、着工から竣工まで見とどける。

注文設計グループは、2つのグループに分かれ、それぞれ4個の課をもっている。CさんはAさんとは別の課だったが、6階の広く見通せる職場でいっしょに仕事をしていた。

Cさんによれば、退社時間は午後8時ときまっており、なかば「強制」だった。号令がかかり、管理職を除いて一斉に退社する。パソコンもログアウトしなければならない。だが、そこからまだ仕事は続いた。自宅など事業所の外で行うサービス残業、すなわち持ち帰り残業である。

同僚とのライン(透かし入)
CさんがAさんと交わしたラインメッセージ。土日の顧客との打合せが肉体的精神的な重圧になっていた。

「図面などの必要な書類をキャンバスバッグに入れて持ち出し、自宅で引き続き仕事をします。みんなそうしていた。僕の場合は、帰宅してご飯たべてお風呂に入って、午後10時くらいから数時間。もちろん好きでやるわけでありません」(Cさん、以下同じ)

自宅に持ち帰る仕事の内容で大きな比重を占めるのが、顧客との「打ち合わせ」の際に使う説明資料づくりだった。打ち合わせは通常は土日で、

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過労自殺が疑われる女性社員Aさん、Bさん(先輩の男性)、Cさん(今回の証言者)、ライン課長(女性)の、組織上の関係図。当時の設計グループは、ワンフロアで筒抜け、CさんはAさんの机が見える位置にいた。

Aさんが勤務していたオープンハウス・ディべロップメント社の事業所(東京都渋谷区・渋谷南東急ビル)。持ち帰り残業が常態化していた、との証言がある。

持ち帰り残業でCさんが自宅で作成した提案図(一部を拡大。取材源保護のため画像処理をしています)。遺族によれば、Aさんのカバンには持ち帰りの仕事に使用したと思われる図面や書類が多数あったという。

2020年当時の初任給は300,000円(基本給206,700円、営業/業務手当93,300円=60時間分の固定残業代)。9:30~19:00(所定労働時間8時間)。2022年4月に30万円から33万円に、2025年4月に36万円に、それぞれ引き上げた。オープンハウスグループの公式ホームページによると、現在の新卒採用の総合職(営業職、建築技術職など)の初任給は36万円(基本給26万2500円、職種手当1万円、固定残業手当8万7500円・42時間分)。

2020年10月30日午前9時すぎに直属の上司と電話で24分間話したのを最後に、Aさんとは連絡がとれなくなる。上司はその後、深夜まで頻繁に電話をかけたりメッセージを送っているが、安否を心配する文言はみあたらない。むしろ、無断欠勤したまま連絡をたった部下に対する困惑が文面からにじむ。

誕生ケーキを手に笑顔をみせる在りし日のAさん(社内誌より)。

Aさんの過労自殺を認めない判断を下した東京地裁(2025年12月1日)。

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