オープンハウス新卒1年目社員が夏休み最終日に自殺しました ①――元同僚「上司たちに精神的に追い詰められていました」
亡くなったタカシさん(仮名)。全国でも有数の進学校を卒業後、関西地区の国立大学に入学、体育会アメフト部に所属していた(同大学公式サイトより。故人のプライバシーに配慮し、モザイク加工済) |
「おまえ生きてる意味ないから」「義務を果たさない奴には権利もないぞ」「できなかったら休みないから」「死ね」「くたばれ」――。そんなパワハラ暴言が当り前なノルマ至上主義の職場に入ってしまった若者が、入社して4か月目の夏休みに、自ら命を絶っていたことがわかった。明日から出勤しなきゃいけない、という2022年8月17日、高架下の河川敷で、首つり自殺した状態で発見された。大学時代は体育会アメフト部で鍛えたガッチリした体形だったが、入社後は憔悴し15キロも瘦せていたという。オープンハウスは、3年2か月という短期間に少なくとも3人の新卒若手社員が亡くなる異常事態となっている。
- Digest
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- 若手に死亡者続出のオープンハウス
- 夏休み明けの異変
- パワハラ指導が当り前「心が弱かったんだね」
- 内定者に学生時代から仕事をさせる
- 「新規の土地情報登録1日3件」ノルマ
- 1人あたり月7棟分の用地取得がノルマ
若手に死亡者続出のオープンハウス
亡くなったのは、オープンハウスグループ新卒21期生(2022年4月入社)のうちの1人。写真を見る限り、人懐っこい笑顔で、お笑い芸人『ミルクボーイ』の駒場孝に雰囲気が似ている。故人の人権に配慮し、本稿ではタカシ(仮名)さんと呼ぶ。
「オープンハウスはこの世からなくなってほしい」(元同僚) |
「8月17日は、自殺したタカシの命日でした。後輩で同じ職場にいたタカシは、大学では体育会アメフト部に所属していて、2022年4月に新卒で入社したばかり。当初は元気で健康でしたが、直属の上司にあたるマネージャーから精神的に追い詰められ、入社して4か月目、夏休み最終日に自殺してしまう運命になりました。
浪人したと言っていたので、享年24~25歳くらいの若さでした。持病があったと聞いたこともありません」(元同僚社員、以下同)
元同僚の名刺 |
若手社員が、毎年のように死亡するオープンハウス。2019年6月に24歳(新卒16期生)、2020年10月にも23歳(新卒19期生)の若者が亡くなっており、3年余りの間に3人が亡くなったことになる。
弊社への公益通報によって“死ぬまで働かせる”労働環境であることが強く疑われたため、その公共性の高さに鑑み、報道してきた。
■中身入りペットボトルで頭を殴打「死ね」「殺すぞ」「なんでできねえんだ」と恫喝指導(2019年)
■オープンハウス大卒新入社員が3年目に急死、元同僚らが証言「死因は過労」「罵声と長時間労働、私も自殺を考えた」(2021年)
■死亡者続出のオープンハウス(2021年)
今回の取材では、これらの労働環境がその後も改善されることなく、そのまま続いたこと、さらに、タカシさんが亡くなってもなお、何ら改善の動きがなかったことが、証言によって裏付けられた。
オープンハウス取材協力者(社員・元社員)を募集しています。パワハラ防止法・公益通報者保護法では、「告発者に不利益を与える報復行為」は言うに及ばず、「告発者を捜す行為」も違法となります(→情報提供フォーム)。
今回の被害事例について、具体的に報告する。
当時の募集要項(これは2020年10月時点) |
夏休み明けの異変
2022年8月18日(木)は、夏休み明けの出社日、初日だった。
オープンハウスは募集要項で「夏季休暇:10連休」などと記している。
「それは本当で、年間の祝日を移動する形で、一斉に消化させています。それ以外の普段の週は『火・水』が休みということになっていますが、実際には月に1~2日しか休日がないのが、当時の職場実態でした。少なくとも、私自身はそうでした。タカシがどれだけ休めていたかは、私は上司ではないので詳細に把握できませんが、歳が近い、同じヒラ社員という立場の私と、似たような環境だったと思います」
夏季休暇 |
2022年夏は12連休で、左記カレンダーの通り、8月6日から一斉休暇となった。
「その4日目にあたる8月9日、私が、タカシを飲みに誘おうとLINE電話をしたら、風呂に入っていて出られなかった、という返信が残っています。
最後のLINEやりとりは8月9日だった |
かけなおして1分21秒の短い会話があり、『今日はお誘いいただいたのに申し訳ありません!またお願いいたします』(22時25分)と、お礼のメッセージが返ってきています。
これが、タカシとの最後のやりとりになってしまいました(右記)。
その8日後、夏休み最終日にあたる8月17日(水)が、命日となりました。翌日から出社の予定でしたから、よっぽど会社に行きたくなかったのだな、と思いました」
休み明け18日は、タカシさんが出社して来ないだけでなく、直属の上司もまた、会社に来ていなかった。
「私は当時、なにが起きたのか把握できず、8月18日(木)20:30にLINEで『タカシ大丈夫?』と送っています。すでに他界しており、既読はつきませんでした」
パワハラ指導が当り前「心が弱かったんだね」
当時の現場組織 |
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