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企業が学生をだます手口 〔就職・転職〕学生向け講演(下)

情報提供
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『企業を見抜くための考え方』講演風景(2007/10/18)
 企業というのは、「一生雇ってもらって勤め上げる場所」から「独立へのステップアップに利用するもの」という考え方へのパラダイムシフトが重要だということを前回述べた。そして、そのためにも、まずはフリーターや派遣・契約社員など非正規社員にならずに、確実に「正社員」になることだ、と述べた。今回は、さらに具体的に、採用区分や職種などについて、企業側が学生を欺く際の手口情報を教えるので、だまされないよう気をつけていただきたい。
Digest
  • その1:採用区分の増殖
  • その2:人気職種を前面に出してくる
  • 組織図を入手せよ
  • ビジネスモデルを理解せよ!
  • 上流からのスタートを目指せ
  • 「営業」の本当の意味を理解せよ
  • IBMの営業、メガバンクの営業
  • その3:制度のPRばかりで運用実態を隠す
  • その4:肝心な待遇情報を初任給しか教えない
  • 会社選びの基準軸を持て
  • 会社説明会の前、OB/OG訪問の前に

その1:採用区分の増殖

多くの大企業は、バブル期に総合職を大量採用した結果、その後の不況で余らせてしまったが、もっともコアな人材層である総合職をリストラすると会社そのものの存続にかかわるため、結果的に、不必要に人件費増を招いてしまった。現在はその反省から、景気が上向いても総合職は増やさず、給与水準が低いさまざまな採用区分を新設することで、人件費を抑制するようになっている。

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日本生命の採用ページより

たとえば、これは日本生命の採用ページだが、総合職や一般職以外に、さまざまな採用区分がある。「法人営業総合職」など、総合職とついているから、意図的に勘違いさせようとしているのかもしれない。かなり紛らわしい。これら新しい採用区分の人たちは、そもそも人件費の抑制が主目的で作られたものだ、ということをまずは知るべきだ。

これらすべてを合わせると、同社は2007年度は1千人規模の大量採用だった。だが実際に大幅に増やしているのは中核を担う総合職ではなく、むしろ地域限定の営業担当者など、全体の約8割を占める専門職や特別職のほうである。

同社はバブル期(1990年前後)、総合職だけで、年400人規模が新卒入社していた。保険にとどまらず、証券、銀行、そしてアジアへ進出し、総合金融機関を目指すというプランがあったからだ。だが、バブル崩壊によって計画は頓挫し、余剰人員を抱えた。90年代半ばの“就職氷河期”、総合職は、年間100人強に抑制した採用が続いた。

計画は消えたが、社員は消えない。あぶれた総合職たちは、「営業所長」などに回されることになった。営業所長とは、現在、総合職ではなく「営業部長候補生」として成果主義を重視した別の給与体系で採用した人が目指すポストだ。無駄に給与が高い営業所長の誕生である。

その歪みを抱えた同社は、同じ過ちを繰り返さぬよう、原則として本社の中核部門を担う総合職を増やすのではなく、本社の手足となってリテールの現場で動いてくれる営業系の人たちを、別の給与体系の採用区分を新設し、たくさん採用することにした。彼らはハイリスクハイリターン型の報酬体系となっており、要するに低賃金労働者であって、社内の社員間格差は拡大した。

これら増殖した採用区分では、「活動地域」や「対象顧客」が限定されるかわりに、給与が低く出世しない仕組みになっている。会社の中核を担う企画的な業務はなく、総合職の下請け的な仕事がほとんどだ。手足となって動く、いわゆる「ソルジャー」である。会社の本音としては、「総合職以外については、たくさん採用する、いつ辞めてもらっても構わない、代わりはいる」という感覚だ。もちろん手厚い研修などで、長期的に育てる気など、毛頭ない。

したがって、本当にキャリアを積むためには、圧倒的に責任が重い総合職を目指すべきである。総合職以外では、転職先も似たような職種となり、永遠に総合職を目指せない。だから、採用区分というのは、「正社員になること」の次に、決定的に重要な分岐点となるのだ。

採用区分というのは、要するに身分制度のことである。役人の世界におけるキャリアとノンキャリのように、入り口の違いだけで一生、身分が固まってしまうという理不尽な制度になっている会社がほとんどなので、とにかく入り口に注意しなければならない。

その2:人気職種を前面に出してくる

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第一生命の採用ページより

次に、総合職のなかでの、「職種」や「担当業務」についての手口である。

たとえば第一生命の「先輩紹介」画面では、「国際業務部」「資産運用」「企画管理」など、そもそも所属人数が少なく、新卒では、一人配属されるかも分からない部署にもかかわらず、2人ずつ紹介されている

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縁の下で2008/04/22 19:11
私立大学教員2008/02/01 02:51
今度は2008/02/01 02:51
続き2008/02/01 02:51
そう言えば余談ですが2008/02/01 02:51
本音と建前を2008/02/01 02:51
防衛省の汚職問題が2008/02/01 02:51
当然ながら2008/02/01 02:51
実体験です。2008/02/01 02:51
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