新聞奨学生が内部告発 給料未払い、食費ピンハネの実態
毎日奨学生の研修テキスト。奨学生は新聞業界を底辺で支える重要な労働力だが、「便利屋」的な側面が強く必ずしも人権が守られているとは限らない。「押し紙」や広告詐欺の問題と並んで、タブー視されてきた。 |
4月の新学期からひと月が過ぎた。新聞奨学生にとっては、仕事に慣れてくると同時に、じわじわと疲れが蓄積してくるころである。トラブルも増える。 当初、提示された雇用条件と実際の待遇がかけ離れていたとか、給料明細をもらえないとか、セクハラを受けたとかいった問題が表面化してくる時期である。
インターネットなどを通じて新聞奨学生の相談に応じてきた元奨学生の村澤潤平さんによると、新学期になってから、すでに何人かの学生から相談を受けたという。
「4月は新聞配達の仕事を始める奨学生が多いこともあって、新聞配達の順路を覚えるまでは、休みをもらえなかったという相談がよくあります。休みの日数が決められていても、必ずしもそれが守られているとは限りません」
新聞奨学生は、新聞社と販売店にとっては極めて貴重で、しかも「便利屋」のような存在である。このあたりの事情について、関西のある販売店主が言う。
「自分で働いて学校を卒業しようという意欲がある若者たちですから、怠け者が配属されるというようなことはまずありえません。人件費も安い。これに対して、仕事がなくて仕方なく配達員になったひとの多くは長くは続きません。すぐに辞めていきます。なかには集金を持ち逃げするなどのトラブルを起こす者も少なくありません。その点、奨学生は最も安心なんです」
産経新聞・東浅草店の元店主である近藤忠志さんも奨学生を使ったことがあり、彼らの働きぶりを高く評価している。
「わたしが販売店を経営していたときは、モンゴルからの留学生を使っていました。本当によく働く人達でした。日本に来て一旗あげようという若者たちですから、意欲が違います。奨学生制度は、このような若者を利用することで成り立っているようです」
◇6畳ひと間を2人で共有『毎日奨学生研修テキスト』に明記されている「奨学生の待遇」。 |
このほど、雇用条件の著しい不履行を訴えるべくマイニュースジャパンへの内部告発に踏み切ったのは、元新聞奨学生の池田米夫(仮名)さんだ。
池田さんのケースは、新聞奨学生の弱い立場を、新聞社、奨学会、それに販売店が悪用した典型といえるだろう。
2006年3月に高校を卒業した池田さんは、予備校で大学受験の準備をするために奈良県から単身上京した。高校時代には浪人生活をすることをまったく想定していなかったので、両親に経済的な負担をかけずに勉強する方法を考えなければならなかった。そこで選んだのが、毎日育英会が運営している奨学生制度だった。
他社の奨学生制度についても問い合わせたが、毎日育英会の対応が最も懇切丁寧だったので、毎日新聞販売店で奨学生として働くことにしたのである。池田さんが言う。
「たまたま先輩に新聞奨学生を体験したひとがいたんです。この人の話によると、新聞配達の仕事はかなりの重労働だが、人生を切り開くステップにはなるとのことでした。ですから仕事が厳しいことは承知していました。しかし、雇用条件まで約束と異なっているとは思いませんでした」
池田さんが配属されたのは、東京都内の毎日新聞販売店だった。あてがわれた住居は、6畳一間、共同トイレのアパートだった。畳はぼろぼろ。ゴキブリが這っているのを見て唖然となったという。
しかも、最初の1月は、1部屋を奨学生2人で使った。その後、焼鳥屋の2階にある清潔な部屋へ引っ越したが、最初に入れられたアパートは、まさに「たこ部屋」の印象があったという。
池田さんの1日は、2時30分の出勤に始まる。新聞に折込チラシを入れたあと、原付のバイクで配達にでる。配達部数は約250部。
午前6時30分ごろには配達を終了する。それから朝食。と、言っても販売店の台所で調理された料理ではない。朝食と夕食は、近くの仕出し屋から届けられる弁当である。
7時には高田馬場にある予備校・毎日セミナーへ向かう。授業は9時から1時まで。池田さんは一旦帰宅して、3時ごろに再び販売店へ足を運び、夕刊配達の業務に就く。配達が終わるのは夕方だ。その後は集金作業や拡販業務があった。
しかし、池田さんは、集金業務を強いられることになるとは予想だにしなかった。
◇ほとんど無報酬で集金業務毎日育英会が運営する奨学生プログラムは、集金業務が含まれるAコースと、含まれないBコースがある。基本給は次の通りである。
コース | 基本給 |
---|---|
Aコース | 12万4100円 |
Bコース | 9万700円 |
池田さんはBコースに登録した。当然、集金業務はしないという前提に立っていた。ところが初めて販売店に出勤した日、池田さんは店長から有無を言わさぬ口調で、こんなふうに言われたという。
「集金を担当しますか、それとも折込チラシのセッティングを担当しますか?奨学生には、どちらかを担当していただくことになっています」
池田さんが受け取った2006年8月の給与支払明細。Bコースは集金業務がないはずなのに、池田さんは集金をさせられていた。しかも、手当は5000円のみ。 |
池田さんは、やむなく集金を担当することにした。と、なればBコースからAコースへ変更しなければ損だと考え、毎日育英会にその旨を申し入れた。しかし、あいまいに誤魔化されてしまったという。もちろん変更は認められなかった。
こうして池田さんは、BコースのままAコースの業務を強いられることになったのだ。もちろん基本給はBコースのままだった。AコースとBコースの差額は、月額で3万3400円。学生にとってはかなり大きな額である。
集金業務に対して支払われた唯一の代償は、5000円の手当が支給されただけである。Bコースの池田さんにAコースの仕事をさせることに対して、販売店もさすがに良心が咎めたのか、別途で5000円を支払ったのである。
◇手当の支払いにも不正さらに手当についても不明瞭な扱いを受けた。新聞奨学生を対象とした手当には、深夜割増手当と休日手当がある。支給額は次のとおりである。
コース | 深夜割増手当 | 休日出勤手当 |
---|---|---|
Aコース | 8000円 | 7460円 |
Bコース | 7000円 | 5090円 |
2006年8月の給与明細書によると、8月の深夜割増手当は7000円である。つまりAコースの仕事を強制されていながら、ここでもBコースで適応される金額しか支払われていないのだ。
さらに休日手当もBコースの基準しか採用されていない。具体的には
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仕出し屋の請求書。上が夕食分、下は朝食分。
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いくつかは仕方がないと思える部分もあるにしてもコース関係とか住居とかは酷いな
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読者コメント
給与明細のないで配達をしています。2ヶ月目の給料をうけとるときに
1ヶ月前の給料の額を手書きで記載してもらったところ、
やはり千円弱たりないものでした。
20数年前の浪人時代に奨学生でした。ずいぶん丈夫なほうでしたが、早朝の労働が体にこたえたのか、成績はちっとも上がらず。結局、現役の時にも合格してたすべり止め受験先にひろってもらい、奨学生生活からも足を洗いました。「世の中にはこんな酷い連中がいるのか」って社会勉強になりましたけど、今でも思い出すと辛い(体のふしぶしも痛い)思い出ばかりです。
私は三十年前に大手新聞社で新聞奨学生してました。勤めていたところは、まともでした。その頃から他の新聞屋の奨学生友達が毎日新聞にいましたたが、彼もは給料とかモメテイタ記憶あり
奨学生時代の先輩は民青でした。だからといってつぶれろとは思いませんでした。人の思想信条だけでなく業界そのものをナメくさったお言葉ですね。「報道関係、報道関係って、ただの新聞配達だろうがオメエは」(by研ナオコ&志村けん)
毎日新聞は、
紙面内容と、
奨学生にやってる事が、
ホント矛盾してます。
その上に、
創価学会の手先ですからね。
自分は杉並区の荻窪の四面道の、
毎日新聞販売所の、
奨学生だった学生と友達だったんですが、
そこの所長夫妻と、
何人かの販売員が、
創価学会員で、
勧誘もされたようです。
ホント毎日新聞、
というより、
偽善だらけの新聞社なんて「つぶれろ!」と思います。
ほかの新聞奨学生をしていた我が子の話。ねこさんと同じ気持ちでした。色々ネットで見て、結局辞めさせてきました。続けていたら、昔の過労死事件になりかねません。ねこさんのお子さんも早く辞めさせにいったらどうですか。所長と直接、夫婦で話をつけました。
子供がこの春から毎日奨学生となりました。説明会で聞いていた内容とまったく違い、あまりのひどさにそこを出るように説得していますが、自分がやめたら迷惑がかかるとまるで洗脳されているように働き続けています。慣れないバイクの運転で何度も転んでいるようでした。手はぼろぼろ状態。詐欺に会ったようなものです。どうしたらそこから出すことができるか毎日眠れぬ日を送っています。
私も、毎日育英会にうちの業務は配達と集金だけで、定休も有給もきちんとあると言われ毎日を選んだのに一年間通じて、配属された店では休日は一日も無く、大学の講義も午前中の二時限目までしか受けさせてもらえなかった。店長はいつも他の店や奨学会はもっと仕事がきついなんて口癖のように言って、ボーナスやカード料まで店にピンハネされていた。別の日経新聞の奨学会に移って初めて自分が騙されて働かされていたのを知った
22年前、世間知らずの私も某大手新聞で奨学生やった口です。2ヶ月であまりにも条件と違うので、逃げました。まったくその頃と変わってないので、笑ってしまいましたよ。新聞配達店の店主なんて、人の人生がどうなろうがまったく気にしてません。人生勉強にはなりました。
自分の子供には絶対やらせない。総合的に専業より安く使いやすい労働力と扱われ、周囲には人格者も居ない環境で分散型長時間拘束など人を人としてみていない。睡魔連鎖からくる脱力感は日々続く。信頼したい所長は廃業を視野に経営しているめ、奨学生を守る者は誰もいない。
毎日新聞の奨学生で通っていました。
自分は神奈川の某所でやっていましたが、コース通りの給与を頂き、折込み作業をするなら別で支給、食事は時間が合わないならその分は現金で還元する、ひと月で集金を全て完了したら完了ボーナスも出ていました。
所長含め、人間関係も良好でした。
新聞奨学生の待遇は、その販売店の所長の考え方一つだと思います。女子学生にセクハラとかはもってのほかですけど、学業と両立できるように気を使い家族のように接するか、労働力として限界まで仕事をさせるか、に分かれると思います。私も経験がありますが、奨学生をしたおかげで大学を卒業できましたと言われたときは、感激しました。奨学生の待遇も問題ありますけど、専業員の待遇もひどいものです。
割増手当のいい加減さは、奨学生だけでなく専業社員も同じようなものです。
女子奨学生に店主によるわいせつ行為が先日もおきていますが、処分されずに、隠蔽されています。
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