トヨタQCにやっと残業代 遺族「持ち帰り仕事も対象とすべき」
月一度の提出が事実上義務付けられている創意工夫提案用紙。何度も書き直され、ライン外で考え続けて記述する。 その時間は明らかに業務だが、社員のボランティア活動とされ、ほとんど残業代にカウントされない |
- Digest
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- 残業代支払が画期的と評される異常さ
- 残業代支払はQCサークル活動のみ
- 組合には通達せず&職務放棄の労基署
残業代支払が画期的と評される異常さ
トヨタに巨大な利益をもたらすのは、カイゼンといわれる独自の業務である。社員に対し、創意工夫・改善案・その他細かな作業を行わせ、無駄を省き効率化を徹底追及するやり方だ。トヨタは数ある活動の中でQC(品質管理)サークル活動については、それまで月2時間の上限があった残業代を全額支払うことを決め、2008年6月1日から実施した。
残業したら残業代を支払うという当り前の決定が、朝日新聞一面をかざり、ほぼ全部の新聞、NHK,民放各局が、画期的な出来事かのように大々的に報じたのは、異様だった。
トヨタを支える社員の業務は様々だ。創意工夫提案・QCサークル活動・交通安全活動・EX(班長)会活動・社内弁論大会・・・。自動車組み立てのラインの仕事が現場社員の本来の仕事で、いま列記した一連の仕事はすべてライン外の残業である。
これらは「自主活動」とされ、正式な業務と会社は認めず、残業代は原則として支払われてこなかった。なにしろ、労働組合(トヨタ自動車労働組合)が「自主活動」を認め会社の方針を支持していたのだから、残業代が支払われるはずはなかった。その会社がとつぜん方針を変えたのは、昨年11月30日、トヨタで過労死した内野健一さん(当時30歳)の妻・内野博子さんが、労災認定を求めた裁判で原告の内野さんが全面勝訴したことだ。2週間後にこの判決は確定している。
この過労死裁判などをまとめた『トヨタの闇~利益2兆円の「犠牲」になる人々』のあとがきでは、内野さんをはじめトヨタ社内で声を上げた人の行動により、多少なりとも会社も動きはじめた、と書いたが、今回の残業代支払いもその効果であるのは、間違いない。
残業代支払はQCサークル活動のみ
小グループ話し合いシート。これも明らかに業務だが、残業代はつかない |
過労死裁判で勝訴した内野博子さんに今回の動きについて聞いた。
「会社が(QCサークルの)残業代を支払うという情報を聞いた時、夫への労災支給が認められた判決を聞いた時より、うれしかったです。判決のときは控訴されやしないかと不安だったし(2週間後に確定)、判決で残業時間106時間分が認められたのに、豊田労基署は、残業45時間分しか認めないと言ってきたのですから」
内野さんのこの発言については説明を要するだろう。この裁判の重要なポイントは、トヨタが言う "自主活動"が業務であるか否かだった。判決では、創意工夫提案書作成、QCサークル活動、EX(班長)会でも役員として行っていることは業務として認定された。交通安全活動も同様
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刈谷労基署宛て要請文。全トユニオンは、これまで3回にわたる団体交渉の席で「カイゼン活動」に残業代を支払うように申し入れ、さらに労働基準監督署に対しても、自主活動についてトヨタ系各社を指導してほしいと文書で要請していた
創意工夫提案は、上司の指示で休日出勤して書き直すなど明らかに業務としてやっている
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読者コメント
今でもQCを書くのは家だしもちろんQCを各時間(家)は残業代は出ない。(10H)ぐらい。
>>AWさん
当然書きたい人だけで良いと思いますよ。懇談会やQC活動を業務外で強制的にやらされます。手当は一時間当たり300円なのでやりたくないがやらされます…
創意工夫提案・QCサークル活動・交通安全活動・EX(班長)会活動・社内弁論大会・・・。
書きたい人だけ書けばいいと思います。
皆さんはどう思いますか?
自動車関連の部品工場で働いた事があるがトヨタの「QCサークル活動」の様なことをしていた様です。
自分がいた工場は大企業の部類に入る方で昼休みを削ってやっていました。
請負で短期で働いたので参加はしませんが社員は強制の様です。
トヨタの影響は関連している会社にも有るとは・・・・
残業時間でもやっているし休憩時間を半分使ってやっているの変です。
経営者は生きていく上での重要な要因である金銭的な面で恵まれており、苦労するのは当たり前である。自分の働きに対する還元率の具体化するのは難しいが経営者は社員より高いはずである。経営者に厳しくない意見は話にならない。
「ハウスニグロ」と「フィールドニグロ」っていう、マルコムXの著名な説話があるけど、日本の「労使協調」とか言ってる連中見ると、あの話を思い出します。
現時点ではまだQCサークル活動は「自主活動」です。資料作り・まとめはお持ち帰りです。全然改善されていません。
メロン、経営者も一度本気で労働者の立場に立って…って、話を無限ループに誘い込んでどうする?過労死した内野さんをスルーして「少しくらいの不平は我慢」…って、何のボケだ?こんなこと、普通の会話なら1、2分で「あ、そういうわけね。じゃあ次(の話題に)行ってみよう!」(byちょうすけ)だろ。群を抜いて×××なことを後生大事に陳列するのも、何だかなあ。…ソレ系の方?
「経営者側に回れば、その会社と同じような労働を社員に強いるはずですから」
いやあ、そりゃその人の「人格」「人間性」によって様々でしょう。
会社の不平不満をたれる人間は、一度本気で経営者の立場になって労働者管理のなんたるかを学ぶべきである。トップは現場の労働者以上の苦痛を強いられていることをしれば、少しくらいの不平は我慢できるはずだ。
メロン、学校がイヤになった中学生は教員採用試験を突破しなければならないのか?いやならヤメロ系の思考回路はいつでもブツ切りで、主題スルーで、無限ループで、読者コメントの中でも群を抜いて×××だが、日常会話でも同じか?この記事でその発言、会社の社員殺しは宿命だから諦めろって、すさまじい暴論になっているんだが。
「嫌なら辞めろ」が社会のお約束です。辞めたら就職場所がないからと居座りながら会社に不平不満をたれる人ってどうなんでしょうか。まあ、そういう人は一度自分で起業してみればいいと思います。経営者側に回れば、その会社と同じような労働を社員に強いるはずですから。
減益予想で開発費削減の結果、開発子会社では残業をゼロにする規制がかかっているようですね。給料激減していると思われます。
QC他業務用資料はいまだに自宅持ち帰りで作成しているのが現状で、たとえ社内での作成であっても、勤怠管理では『休憩』扱いでやっているため、よりアンダーグラウンド化しています。
日本のメディアがここまで、トヨタ擁護に傾く傾向に理解不能です。ニュース番組では、キャスターが宣伝の試乗レポートまでしている始末。呆れています。日本テレビの近藤さん。
イギリスの「エコノミト」
もこの過労死裁判の件を記
事にしているようです。
→
「The Economist07.12.19
Jobs for life:
Death by overwork in Japan
営業利益2兆円を支える、
トヨタの「人間」にたいす
る感性
→
東京新聞連載記事
「トヨタの足元」
トヨタの奴隷社員や下請け企業ももっと声を上げるべきだ、やっと重たい石が少し動いただけである。自殺者や死亡者もまだまだたくさんいるはずである。
自動車会社でもう少しまともな所はないのでしょうか。今度車を買うときは、絶対トヨタは買わないつもりです。こんな非人間的企業を儲けさせたくはない。でも、そうすると、そもそも車を買えないかも。。光岡買うか。
業務扱いになりましたが、トヨタのカイゼンの根幹をなす創意くふうはいまだに「自主活動」のため、家に持ち帰って、作成提出です。
「自主活動」としながらも、人事考課の対象になっている矛盾が、心身共に社員を疲弊させる温床になっています。
こういう問題を今までずっ
と解決してこなかったトヨ
タの主要労組って、いった
いぜんたい、どういう団体
なんでしょうね。
フィリピン・トヨタでの労
使問題にたいする態度とい
い、「労働組合」とは名
のっていても、どうやら欧
米のそれとはかなり異質な
団体なんでしょうかね。
社内の一部の従業員の力だけでこれまでの前例を覆して会社が動くはずがない。そこは表立って言うべき事柄ではありませんけど。
トヨタも、虎の尾を踏んではいけないということを再び思い出したみたいですね。
既にその反発を食らってしまっているようですが、影でやり返そう等と考えないようにお願いします。
抜けてるやんかー!!(;;)
>『トヨタの闇~利益2兆円の「犠牲」になる人々』のあとがきでは、内野さんをはじめトヨタ社内で声を上げた人の行動により、多少なりとも会社も動きはじめた、と書いた
トヨタ自動車へ右へ倣え、で全国のトヨタディーラーでも有るよ、QCサークルが、ほとんどがサービス残業だよ
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