これは平成の蟹工船だ!手取り時給3百円の毎日新聞奨学生
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元奨学生が筆者に示した2008年3月の給料明細書。1日に10時間労働、18日間の労働報酬の手取りは、たったの5万7360円。「責任証券」など、奇妙な控除も行なわれている。 |
「給料の計算方法が無茶苦茶でした。購読料の未集金分を立て替え払いさせられるなど、さまざまな口実で、給料の支給合計額からどんどんお金を天引きされていました。その結果、手元にはほんの僅かな金しか残りませんでした。これが新聞社のやることでしょうか?」
佐々木(仮名)さんが証拠として筆者に提示した給料明細書は、2008年3月のものである。それによると給料の手取額は5万7360円。(佐々木さんは、3月25日ごろに後任者へ業務の引継ぎを行って、3月末に奨学生を辞めた。)
手取額の5万7360円を3月の労働日数として明記されている18日で割ると、1日の賃金はたった3186円にしかならない。給料の支給合計額にあたる8万7670円を、18日の労働日数で割っても、4870円。後に検証するように、1日に10時間の労働の果実がこれである。まさに平成の「蟹工船」だ。
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毎日新聞の多くの販売店は「押し紙」で経営を圧迫されている。そのしわ寄せを奨学生が受けている可能性もある。![]() |
給料を巧みにごまかす手口に踏み込む前に、佐々木さんが新聞奨学生になった経緯と、担当していた業務、それに労働時間についてふれておこう。
2007年の春、佐々木さんは大学予備校の 「毎日セミナー」へ通うために単身上京、奨学生として毎日新聞・販売店に住み込んだ。両親に経済的な負担をかけずに、大学進学を目指したのである。
毎日セミナーを選んだのは、この予備校が奨学生を対象としたカリキュラムを持っているからだ。大半の予備校はスパルタ式に、午前も午後も授業を組み込んでいるが、毎日セミナーは午後1時に最後の授業が終わるという。午後3時ごろから始まる夕刊配達に支障が出ないように、このような時間割を導入しているらしい。
佐々木さんが配属されたのは、東京都内のある販売店だった。この店がカバーする配達エリアは広範囲におよび、朝刊の配達で佐々木さんは、約20キロもバイクを走らせていた。それが連日続く。夕刊配達でも、走行距離は10キロを下らなかった。
その後、合理化の影響で配達範囲がさらに広くなり、佐々木さんの場合は、1日にバイクを運転する距離は50キロを超えるようになったという。佐々木さんは膨大な仕事と給与水準がまったく釣り合っていないことに腹を立て、契約が終了する今年の3月末で毎日新聞の奨学生を辞めた。その後、別の新聞社の奨学生になった。5ヶ月前を振り返って、佐々木さんが言う。
「もっと早く辞めたいと思いましたが、契約の途中で辞めると、授業料を返済しなければならないので、3月末まで耐えました。正直なところ、授業料など踏み倒してやりたい気持ちになりましたね」
奨学生制度により授業料を免除されているので、途中で奨学生を辞めるわけにはいかない。最低、1年間は続けなければならない。いわば佐々木さんは、奨学金で、新聞業界の「無法地帯」に縛り付けられてしまったのだ。
◇1日に10時間の実労佐々木さんの1日は、夜明けまえ、午前3時の出勤で始まる
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東京労働局が作成した「最低賃金一覧表」。
佐々木さんの同僚の給料明細書。支給合計額は14万2500円だが、さまざまな名目の天引きで、手取りは8万5735円になっている。
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読者コメント
毎日は専業にもちゃんと給料払えないから、普通の人は辞めて行く。残るのは屑ばかり。その結果、皺寄せが学生に行く。なんせ学生の方が給料・奨学金合わせると、主任より高いなんて珍しくないから。他に育英会からも、なんだかんだと金を取られ経営悪化。学生の給料も難癖つけてカット。悪循環なんですよね。でも経営者は何も手を打てないし、打とうとしない。頭の中はバブル時代で止まってますから。
手取りが時給300円って・・・。あまりにも酷すぎます。声を上げて格差を取り上げるくせに、自社の格差を隠すとは・・・。新聞は2枚舌だ。
20年ほど前、日経の販売店で働いていた友人からも同じ境遇を聞きました。学費を出してもらえることで、縛り付けられ、朝夕の配達が終わると疲れて学業どころで無いことを良く嘆いていました。朝刊の準備のため朝2時に起き、布団の中で雨音を聞くのが一番の苦痛だったといっていた光景が思い出されます。米軍が大学へ進学するための奨学金(ニンジン)をぶら下げ貧困層の若者をイラクに派遣している現状とだぶります。
元毎日新聞奨学生です。そして元毎日セミナー生です。セミナーはいいところなんですが、確かに販売所はあたりはずれがありすぎのようです。私はこんなひどい販売所にはいませんでしたが、経営状態は悪かったようです。そうすると学生にしわ寄せが来るのです。ほかの生徒は辞めていくものもいました。悲しいです。
皆さん、昨年の6月に一柳が西部本社の販売局長に就任したようです。
これからの、会議の模様は毎回記録として必ず録音をくれぐれもお忘れないように。
y社もそろそろ事の重大さが解ってきたみたいですね。
販売店に対して譲歩をしてきたみたいですね。
でも、今後も押し紙問題は販売店で監視を続けましょう。
それと、首相が退陣したようですが紙面のほうも監視を続けましょう。
しかしまあ、ひどい明細書だ。基本給・社保は論外。堂々と違法天引きも(罰金を天引きしちゃダメだよ)。読者の元奨学生様、「奨学金」とやらの出所を確認していますか。奨学生様、学費・食費・家賃はすべてあなたの稼ぎです。足もとの鎖を自慢し、ズレた感謝をしてませんか。団結できない、船体さえ見えない、最後は繁華街か自室で自爆・自傷?平成版は悲惨すぎる。
給料安いけど、学費、食費、家賃みんな出してもらって。こうゆうの給料のなかにはいらないのかな。
私の時代(平成2~6年)と確かに給料は同じです。給料のほかに数十万円(私は70万円ほどでした)の奨学金がもらえます。奨学金も合わせれば決して安い賃金とは言えないと思います。実際、私は当時余裕があり、友人にお金を貸してあげるほうでした。光熱費やペナルティのような控除は良くありませんが。
嘘ばっかりのマスコミが、愛だって。
その前に会社から奪っている納金の家の金返せ。
近じか、マスコミの問題も噴出しそうだね。
製紙業界と古紙回収業者問題じわじわと本丸であるマスコミ業界に迫ってきている。。
来年の年賀状の郵政による従業員対する余った年賀状を買い取らせる行為はどこか新聞業界の押し紙問題に似ているね。
販売店主も、そろそろ行動に向かって最終の準備を。
知人の母子家庭のご子息は、学業と配達に追われてノイローゼになりました。奨学生ということで通学する直前まで毎朝の電話番までさせられました。留年をきっかけに失踪、自殺未遂をおこして学校も販売店も辞めました。いい加減に摘発せよ!
20年前の毎日新聞奨学生です。当時から、手取りは全然増えてないんですね。販売所の食事のおかずはキャベツのみ、というところもあったそうです。奨学生の顔色はみるみる青くなり、「その内青虫になってしまう」と言われていました。
新聞奨学生で予備校通って、大学生になれるのは5%くらいだったかな。
また侮日新聞の膿が白日に晒されましたか。
まあ今更何も変わらないでしょうが。
いつの時代でも弱い奴は悪党の食い物にされるという物理的な実例ですね。
販売店は確か自営店でしたね。会社の社長さんでもあります。
このブログを拝見していて、新聞社の押し紙問題は前近代的な奴隷制度です。
販売店の方たちは、正しいと思ったことは全国の方たちに知らしめることが必要ではないですか。
方向を間違えた新聞社をチェックすることが寛容かと思います。
新聞社の方たちは、販売店に買いに来ていただける商品を作ることが慣用だと思います。
同級生に新聞奨学生がいましたが、やはり極貧生活でした。銭湯代にすら事欠き夏場は洗濯機に水を張って行水してしのいていました。
新聞奨学生に応募しようか躊躇し、結局応募しなかった選択に安堵した、25年程前の名古屋の出来事でした。
水商売人が行き着く先は、まぐろ漁港だと言うのは本当なのやらどうなのやら。
海は自然の恵みですね。愛ですよ、愛!
新聞・TV・出版、これら大手メディアはもう組織として末期的症状を呈してますね。
かつて大手銀行がバブル崩壊と金融の規制緩和によって、サラリーマンとしてもっとも恵まれた収入、地位を奪われたように、大手メディアも世間から厳しい非難を受けてその特権的地位を失うときがきてるんじゃないですかね。
いままで隠し通せたこともインターネットによってどんどん白日の下にさらされてきてますから。
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