トヨタ系列ジェイテクト、パワハラ鬱病で休職の社員復職を拒否
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就労可能を証明する診断書。田中さんは療養を経て、主治医から就労可能という判断をもらったが、会社はそれを認めようとしない。 |
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- いきなり現場へ
- トヨタ帰りの上司「お前は何様のつもりやねん」
- 2年上の先輩社員が過労で死亡
- 労基署の調査入り残業代支払いも
- 罵声を浴びせる叱責からネチネチ型へ
- 密室で机をバンバンと叩き大声で
- 復職診断のために課せられた作業とは
いきなり現場へ
田中光太郎(32歳)さんは千葉工業大学を卒業し、2001年4月に当時の光洋精工に入社した。豊田工機と合併して2006年1月から、現在の㈱ジェイテクトになっている。トヨタの資本が入っており、主にトヨタ車のためのステアリング技術を提供する会社だ。
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パワハラ鬱病で休職し復職が認められないために裁判になっているわけだが、まずは当事者である田中さんに、これまでの経過を聞いた。
「もともと私は関東の人間で、千葉工業大学を卒業して01年4月に入社(当時は合併前の光洋精工)しました。会社は主に自動車のベアリングとステアリングを扱います。私はステアリング部門で働くと入社のときから決まっていました。
面接のときに、どちらかというと体を使う部署を希望していたのですが、最初に配属されたのは、開発よりも、もっと研究に近い仕事内容でした。パソコンに向き合って資料をつくるのが具体的な内容です。
具体的仕事としては、いまやトヨタ車のレクサスにも使用されている電動パワーステアリングというものです。今は主流になっていますが、当時はまだ新しいものでした。エンジンの動力を使って油をまわしアシストするものから、ギアとモーターを使って回すものにする仕事でした。
研修が終わって2001年7月から、奈良県橿原(かしはら)市のSTG(ステアリング)電装技術部に配属になり、いきなり高い階段を登らされる状態になってしまったのです。仕事内容が非常に難しかったこともあるのですけれど、本来ならラインに立って現場実習するところを、奈良の工場が全体的に赤字のために現場実習なしに現場で働くようになった事情もあります。
例えばコンピュータに関することでも研修はほんの少しで、あとは「好きなようにしてくれ」という感じでした。だからやるべき課題が放置されたまま現場に入れられたと言っていいと思います」
◇最終バスに一度も間に合わず「会社の定時は8時から5時まで。実はフレックスタイムで、朝7時から10時の間に出社すればいい決まりです。ですが、結局8時から全員集合という感じでした。遅くとも9時にはみんな出社していました。
入社と同時に大阪府柏原市の寮に入りました。思い返してみると、有給休暇を取った人しか温かいご飯を食べられませんでしたね。残業の連続で寮に帰ると、いつも冷蔵庫に入っている残りの物を温めなおして食べるんです。
寮には100人以上は入っていました。八畳一部屋を4人で使っていたものを1人で使うので広さには余裕はあります。私は東館という新しい建物にいたので4畳半くらいの小さな部屋でしたが、床張りにベッド、本棚と机が装備されているのです。ただし自炊ができない。寮の台所を使うことはできず、土日にご飯を食べたいときは、外食するか何かを買ってきてレンジでチンするくらいですかね。
会社では最初から無償労働(サービス残業)が続きました。朝は50ccのバイクで近鉄の河内国分駅に向かい、26分間電車に乗って大和八木駅で下車。そこからは会社のバスに乗車して工場に着く。会社の飲み会の日以外は一度も定時で帰れたことがありません。帰りは会社から大和八木駅までバスが出ますが、バスの最終出発は夜9時。最初に配属されたときは、一度もそのバスに乗れなくて、徒歩で行ける近鉄笠縫駅まで小走りに10分ほどの道のりを急ぎ、11時20分頃の終電で帰ることが何度もありました。
この部署には翌02年の1月までいましたが、残業代はほとんどなし。最高で月10時間が認められたにすぎません。月70時間以上の残業をしたこともありますから、その月は60時間超のただ働きです。何時から何時までと残業を申告するのですが、課長のメールで今月は何時間と決められ、私より早く帰っていた人の残業時間が多く付けられていたこともありました。休日出勤もありました。こんな状況ですから、労働基準監督署の調査も入ってきました」
トヨタ帰りの上司「お前は何様のつもりやねん」
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労基署による是正勧告に従って未払いの残業代が支払われた。しかし、それでも実際の残業時間より少なく抑えられているという。上は会社の説明文書、下は田中さんの給与明細書。![]() |
「同じSTG(ステアリング)電装部で01年9月に配置換えがあり、トヨタの出向から帰ってきた上司(90年入社)が来ました。鍛えられて帰ってきた“トヨタ帰り”はスキルが全然違うんですよね
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仕事に復帰できるかを調べるため、会社は一日のできごとを逐一記録するように田中さんに命じた。本当に朝起きて正確に日記を書いていることを証明するために、田中さんは時刻が表示されたテレビ画面を撮影したメールも会社に送っていた。
上:管理職ユニオン・東海が㈱ジェイテクトに出した抗議文。下:ジェイテクトは、交渉自体を全面的に拒否する回答文を提出した。
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株式会社ジェイテクトhttp://www.jtekt.co.jp/ JTEKT田中光太郎さん解雇撤回裁判を支援する結成総会開催される!http://blog.goo.ne.jp/atunion/e/5dd448ff043350d72173b93ced43adb8
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読者コメント
このスピード感ある業界では、しょうがないのかもしれない。この世界との戦いの中、一度負けてしまえば純利益2兆円など一瞬で消し飛んでしまう。だからトヨタは開発に短納期を引き、下請けに押し付け、担当者は不完全な物でも無理矢理 社内DRを通し、追い詰められていくのではなかろうか。今後も犠牲者はいくらでも出る。
一次下請けなら給与も良いだろうし三河地域で在住していてトヨタ系以外に努めている方からは「そんないい会社をなんで辞めたの?」と言われるだろう。当方、事務系ですが、退職される方は鬱で休職し退職される方ばかりです。
>>仲井甫美香 不当な圧力に屈するな。会社では通常の人間関係とはやはり違う面があるもの。人事部はさすがにコンプラを意識するはず。組合から人事部から相談して欲しい。糞上司に屈するべからず。
初めまして、私は王子製紙の子会社である王子木材緑化でパワハラ鬱病で休職中ですが、上司に絶対に復帰はさせないと言われました。労災申請にも会社は協力しないと言いました。
王子製紙のコンプライアンス室も相談しましたが力になれないと言われました。
コンプライアンスて何なんでしょうか?よけいに人間不信になってしまいました。
私も同じ目に会い労災申請しましたが、機が熟さず却下です。自殺しても因果関係が無いと言われるのが落ちです。厚生労働省も大企業に天下りしてる限り簡単には変わりません。長期間の闘いを覚悟下さい。
ジェイテクトで働いていますが、奈良ステアリング人事担当部長はじめその部下は血も涙もない冷血人間
人切りを簡単に行うが許せない。
ジェイテクトに今は契約社員で働いています。裁判をするのは大変だと思いますが頑張ってください。
T社の情報関係子会社に勤めていますが、メンタル発症率4%、所属する部署に至っては、8%。私もその仲間入りをしていますが、幸い復職を拒否されていません。復職のフォローはトップダウンでなんとかしようとしているみたいですが、これだけ発症していては、根本を直さないとだめでしょう。
きっと、こんなんなので、ソフト関係弱いんでしょうね。ブレーキの問題だって、根っこは同じではないでしょうか。
家族も系列販売店で営業をしているが、日付けが変わる日が月22日。内容は無意味な数字上げの書類つくり。残業代は一切支払い無し。パワハラ上司は、ライバル落しの自分の出世と内紛に集中、顧客は2の次、3の次。挙句に無能なワンマン経営者には腰巾着で手を重ねそれを見抜けない。皆愛社精神まるで無し、給料だけもらえればと考えてる。
販売網を改革しなければ、墜落していくでしょう。
国はトヨタの言いなりなんでしょうか?法律違反を繰り返している会社が、こんなに多くの問題を抱えているのに、不思議です。
ト○タ車の製造ラインに働く人はバカばかり、自分達で造った車は欲しがらない。なぜなんだろう!?それは!適当だから!
リコール問題や労働問題が多いトヨタさんよく会社が成り立っていますね?でもそろそろ限界じゃないですか?ブランドだけで中身は悪の巣そのものそろそろ国際的に競争力が低下してきたのでは?お金でものを言わす時代は終わりましたよ!いつかは崩壊するであろうトヨタさんへ
人を雇う資格の無い卑劣な企業ですね。
人間の基本的権利として断固戦いましょう。
企業は労働者をモノとしか見ていません。
卑劣なやり方で労働者を苦しめ退職に追いやります。
労働者の人たちはもっと声をあげるべきだと思います。
かなりひどい人権侵害だと思います。
うつになったのは会社責任であることは明確です。これは傷害罪、うつで死ぬ自殺するところまで追いつめたならば殺人罪に該当すると思いますし、企業は社会的制裁を受けなければいけません。
トヨタ関連の企業は犯罪者集団なのでしょうか?
明確な労働基準法違反です。パワーハラスメントとは何かをこの暴言を言い続けた上司に公開の場で追求し続けるべきである。社内での無意味な内戦をしていて外での本当のビジネス上の過酷な競争に勝てるとでも信じているのだろうか。田中さんのご健闘を祈ります。
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JTEKT田中さんの解雇撤回裁判を支援する会
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