毎日新聞、販売網からの勝算なき『撤退戦』 課金できる商品なく
毎日・朝比奈豊社長は、業界紙のインタビューの中で、ネットの有用性を認めた。毎日の経営陣は、すでに電子新聞の導入を想定しているようだ。 |
新聞専門誌の『新聞通信』(1月1日)新年号に、毎日の朝比奈豊社長のロングインタビューが掲載された。このインタビュー記事から、毎日が生き残りをかけて電子新聞へ切り替える構想を持っているらしいことが読み取れる。
|
販売関係者に配慮したのか、電子新聞については控えめな発言になっているが、後に紹介するように、インタビュー全体を読めば電子新聞に本腰を入れる方針であることが感じ取れる。
電子新聞の有料化に成功するための絶対条件は、情報の質である。ネット上には無料の情報があふれているわけだから、差別化された情報を提供しない限り、読者は金を払ってまで電子新聞を読まない。
人目を避けて、コンテナ型のトラックで回収される「押し紙」。 |
(ただ、日経の情報は専門家から見れば物足りないという声もある。)
毎日はさすがにネット社会で商品化できる報道とは何かを見抜いているようだ。実際、昨年の11月に共同通信との提携を発表した際に、朝比奈社長は、
「記者クラブに拠点を置きながら、官公庁や企業の発表は共同通信も活用し、分析や解説に力を入れる脱発表ジャーナリズムを進めたい」(アサヒ・コム)
と、話している。電子新聞には言及しなかったようだが、朝比奈社長は紙よりも電子新聞を想定して「脱発表ジャーナリズム」を宣言したのではないか。
共同通信との提携発表から約1ヵ月後、『新聞通信』の同社長インタビュー記事では、ネットへの方向転換が打ち出されている。たとえば、次の発言である。
|
毎日といえば「ネット憎し」のイメージが強いが、インタビューの中で朝比奈社長はネットの有用性をはっきりと認めている。次の発言である。
|
◇販売網の切り捨て
毎日労組の機関紙『われら』(09年3月5日)に掲載された手記。タイトルは、「補助金カットは『撤退戦』」 |
毎日の電子新聞への傾倒とセットになったもうひとつの動きが、販売店の整理統合である。改めて言うまでもなく、電子新聞が普及するにつれて、新聞販売網は不要になる。
それゆえに電子新聞の構築は、販売網の整理・統合と同時進行する。毎日が販売網の切り捨てにかかっているというのが、販売店サイドの見方である。
たとえば昨年、わたしのもとに相談に来られた毎日新聞の店主さんが、自店の経営の実態を次のように話した。
「新聞の卸代金を払えなくなり免除をお願いしたところ、『支払いできる額だけでいい』と言われました。そこで毎月、未払い金を累積させることになってしまいました。ところが未払い金を後で請求されるのではないかと心配になり、担当員に相談したところ、『払えないのであればやめてくれ』と言われました」
毎日の社員からも、すでに販売網に見切りをつけているのではないかと思われる発言も飛び出している。たとえば毎日労組の機関紙『われら』(09年3月25日)には、販売局員の次のような手記が掲載されている。タイトルは「補助金カットは『撤退戦』」である
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り3,125字/全文5,251字
折込チラシの出稿が24ヶ月連続で前年割れになったことを伝える『新聞情報』(09年10月22日)の記事。
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
そもそもそれはビジネスモデルですらない>押し紙 悪く言えば「撤退戦」だが、売れないビジネスをやめるのは経営としては普通だとも言える。
RT @Axel_Nico: RT @kuroyabu: マイニュースジャパンに記事を掲載しました。タイトルは、「毎日新聞、販売網からの勝算なき『撤退戦』 課金できる商品なく」
facebookコメント
読者コメント
新聞の内容としては、間違いなく一番良い。記者の署名入り記事や取材力では他紙より上だと思います。
毎日新聞社の経営実態は「進むも地獄、退くも地獄」らしい。あと
数年も持ちこたえられないだろう。
不況と変態記事で広告取れないから、毎日新聞はもうダメでしょうね。
販売店を苦難に追い込み(潰れ)、押し紙で成り立っているのが毎日新聞なのですから、民事再生等になると暴かれます。
毎日の経営陣は行くも、退くも出来ない状態です。
毎日新聞は損失を他人に押付けるな。
しかもだれも、そんな損失などもらう気はありません。
自律的解決しかありませんが、経営体制として、その能力には期待できないでしょう。現実の危機も解決しないのですから。
資金ショートのぎりぎりで、たいていは民事再生手続きを(泣き付き)申し立てます。
ただし混乱、関係先も倒産など、損害大となりうるのです。
そんな事より、毎日新聞は誠意として、名古屋ミッドスクエアの売却などを早急に行う事など、当たり前の事です。
創価学会のメインバンクも、三菱東京ufjです。
創価学会に支援を受けた状態の毎日新聞が、創価学会に泣き付いて、銀行に利益供与をさせる事がないよう、監視する必要もあります。
もちろんそんな事は、不正ですので、そんな懸念もないよう、銀行は毎日新聞の処理を早めに行う必要があります。
もちろん毎日だけでなく、他の新聞社にも、銀行が不正な利益供与を行わないよう、監視・規制が行われる必要もあります。
三菱東京ufjは、名古屋駅前の再開発ミッドスクエアの、毎日新聞権利分の売却を求める事が当然です。
適正な債権回収が銀行では当然必要な事です。
毎日新聞などに、利益供与などありえない行為です。
民事再生手続きでも、押し紙などの経営情報を公開させられます。
毎日新聞は、もう完全に、追い詰められていますね。
毎日新聞社のメインバンクは三菱東京ufj銀行です。同行は毎日新聞社をどう始末するのでしょうか。
公正な処理が必要です。利益供与など絶対に許されません。
銀行が新聞社の面倒をみてはいけないのです。
法的規制も必要です。金融庁と総務省が協力して、立法化する必要があります。
当たり前です。
経済・社会へ、銀行や新聞社が損害を与えることを防止する必要がありますから。
原口総務大臣による、新聞社のテレビ局支配禁止法案。
それと合わせて、新聞社への債権放棄などで、銀行が利益供与(銀行の損害となります)を行う事が出来ないように、立法・金融庁による銀行規制も為される必要もあります。新聞はもともと経済・社会的に独立している事が当然で、
銀行が新聞社に利益を図ったり、新聞社が銀行に利益を図ったりすると、経済社会への損害が発生する事になります。
毎日新聞よ頑張ってくれ。
しかし、伝わってくる話では、今年度中に「3度目の倒産」が濃厚らしい。
毎日新聞社は今年、東京だけで10数店を他系統店へ売り渡す予定。現役の担当の話。また、経営困難の販売店が続出。社はやめた店主が本社を訴えるのを極端に恐れているという。その為、とりあえず社の管理店とし、いままでの店主を「管理人」として雇う方式とのこと。
毎月数千円も払って、紙面の半分が広告で残りはプロパガンダそものの新聞を読むなど、よほどの愚か者でないとできない。
日経も本音は販売店を切り捨てて完全に電子化に移行したいのでは?。今回の電子新聞発行はそのテストケースでは?
最近は中央紙を止め、地元紙さえも碌に読んでません。
セールスが煩わしいが、彼等も必死のようです。
ネット情報を読むのに忙しく、本も買わなくなりました。
これも程ほどにしないと問題がありそうで良し悪しですね。
2月の初めに横浜市の毎日新聞の某販売店が改廃になりました。そこの新聞の配達は、日経新聞の販売店に委託したようです。このような現象が首都圏付近で頻発しています。まさに撤退戦です。
世界に羽ばたく経営者の方々は、もう一度イソップ物語を読んだほうがいいんじゃない。
ましては、日本の新聞社の編集に携わる方たちと販売の方は特に。
記者からの追加情報
会員登録をご希望の方は ここでご登録下さい
新着のお知らせをメールで受けたい方は ここでご登録下さい (無料)
企画「まだ新聞読んでるの?」トップページへ
企画「納税者の眼」トップページへ