NTTドコモがベネッセ経営の高級老人ホームに携帯基地局設置を計画、生活破壊リスク負わされる入居者と周辺住民
携帯基地局の設置をめぐる問題で揺れる高級老人ホーム「グランダ八雲・目黒」。スマートフォンなどとは疎遠な高齢者の集合住宅になぜ携帯基地局の設置か? |
- Digest
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- 不動産価値が暴落するリスク
- 基地局の密集地と発癌の関係
- だれのための法律なのか?
- 自宅から避難した人々
- 老人ホームの高齢者
- NTTドコモの主張
ベネッセコーポレーションといえば、教育関連の事業でよく知られているが、今世紀に入るころから老人ホームの経営にも乗り出している。そのベネッセが東京都目黒区で経営する老人ホームのてっぺんに、NTTドコモが携帯基地局を設置する計画が持ち上がっている。
基地局が稼働すれば、老人ホームの住民だけではなく、周辺に住む人々も電磁波に被曝することはいうまでもない。一般論からすれば、基地局が設置されているビルの直下よりも、むしろ周辺の方が電磁波が強い。
携帯基地局のアンテナが林立し、隣家は、一家で避難を余儀なくされた。神戸市北区鈴蘭台。下記、「◇自宅から撤退した人々」を参照。 |
だが携帯電磁波は、健康リスクを引き起こすだけにとどまらない。それに付随して、自宅から住人が安全な場所へ避難せざるを得なくなり、不動産を利用できなくなる悲劇が起こることが、ままある。いわば、私有財産や生活権の危機でもあるのだ。
不動産価値が暴落するリスク
住民らの情報提供を受け、わたしは現地へ出かけた。渋谷から東急電鉄で10分。都立大学前駅で下車して、駅前の繁華街を通り抜け、15分ほど歩くと、なだらかな丘陵に広がる民家の群が視界に入った。コンクリートの街に緑も点在している。第1種低層住宅街に指定されている地区なので、高層ビルは見当たらない。
老人ホーム『グランダ八雲・目黒』は、その一角にある。鉄筋コンクリート造り4階(地上3階、地下1階)で、居室数は33室。中規模の施設といえよう。たまたま玄関にいあわせた女性職員に、
「この建物の上にNTTドコモの基地局が来るそうですね」
と、声をかけた。
「その件なら、本社にお問い合わせください」
ベネッセの介護・保育事業部門である「ベネッセスタイルケア」の本社は、渋谷区にある。ホームページによると、同社は全国規模で介護ビジネスを展開し、目黒区だけでも6カ所に老人ホームを設置している。
グランダ八雲・目黒の場合、入居金はAタイプ(16.2㎡)が1300万円で、Bタイプ(32・4㎡)が2000万円である。月額の利用料は、Aタイプが22万5500円、Bタイプが34万7000円である。
入居金と月額使用料からも察せられるように、この施設は高級老人ホームである。退職金や預金をつぎ込んで豊かな老後を保証してもらおうという高齢者の共同住宅にほかならない。
わたしには、基地局の設置が、無謀な計画に思えた。近隣世帯への迷惑に加え、高齢者が老人ホームに高額な金を払っているからだ。お金を払って手に入れた晩年の生活空間に、高周波の電磁波が入ってくるのである。しかも、大半の老人は、爆発的に広がっているスマートフォンなどとは無縁だ。
ちなみに老人ホームとして使われている建物の所有者は、港区新橋にある(株)藤田商店である。藤田商店は、藤田田氏が創業した会社で、米マクドナルドと合弁で日本マクドナルドを設立したことで知られる
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NTTドコモが住民に配布した携帯基地局設置工事のお知らせ。
延岡市大貫のKDDI携帯基地局。周辺住民の間に深刻な健康問題が多発して、裁判になっている。
神戸市北区鈴蘭台の主婦がソフトバンクの孫正義社長へ送付した手紙
折衝の窓口をNTTドコモにすることを通知した、ベネッセと藤田商店による住民宛て通知。
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読者コメント
このグランダ八雲・目黒のドコモの基地局設置は最終的にどうなったのでしょうか?
寝たきりのお年寄りが 耳鳴りと吐き気という症状
をわずらったら
毎日 生き地獄ですね、総務省だったか、経済産業省だったかしらないが、許可した奴らはどう考える?
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