早大が「授業上限週4コマ」強行、「非常勤5年でクビ」に追い打ち 講師15人が鎌田薫総長を告訴
大学非常勤講師の年収のうち、講師として得ている金額。円グラフでは250~500万円と幅を広くとりすぎているが、250万円未満が68%、300万円未満が75%。『大学非常勤講師の実態と声2007』より。 |
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- 5年雇止めに加え週4コマ(4授業)制限
- 専任並みの給与得るためには1日48時間労働が必要
- 過半数代表選挙は偽装選挙だった
- 「我々は家畜ではない」非常勤講師15人怒りの告訴
- 早稲田の目的は、格差の永続と身分制社会の固定化
5年雇止めに加え週4コマ(4授業)制限
時給換算で専任教員の六分の一程度の低収入を強いられている早稲田大学の非常勤講師たちの労働条件が、さらに悪化させられる事態が続いている。その第一弾は、今年4月1日施行の改正労働契約法を契機に、同大は非常勤講師を最長5年で雇止めにする就業規程を強行したことである。
改正労働契約法では、通算で5年勤務の有期契約労働者は、期間の定めのない契約に転換できることになったが、早大は非常勤講師を5年以内に雇止めする就業規程を制定したのだ。
1週間の授業数を4コマ(4時限)に制限すると非常勤講師たちに伝えた文書。授業数や労働時間が少ないから報酬も少ないという理屈を立てようとしたのか。改正労基法20条(不合理な差別の禁止)をクリアするためか? |
しかも、就業規則制定には、過半数を代表する者の意見聴取が労基法で義務付られているにもかかわらず手続きをとらず、学内の佐藤昭夫名誉教授(労働法)と首都圏大学非常勤講師の松村比奈子委員長(憲法)が東京地検に刑事告発する事態となり、大学関係者に衝撃を与えたばかり。
そして第二弾は、6月18日に3776人(2012年度末)の非常勤講師のもとに届けられた「本年度授業を担当される非常勤講師各位」と題された文書(左記画像参照)である。
受け取った講師のAさんは、その文書の内容と、そこに秘められた早稲田大学の意図を次のようにとらえている。
「全学部合計で、1週間あたりの授業の上限を4コマ(4時限)とする通知です。来年度(2014年度)から段階的に減らし、2018年度までにすべての非常勤講師の担当授業上限を4コマにするという知らせです。
たくさん授業を持っている講師の負担を減らす、と表向きの理由があげられています。
4コマを超えて5コマ以上授業を担当している非常勤講師は今年6月現在で232人いますが、これらの人の収入が減ることになります。
いま早稲田では1コマ約3万円ですから1年で36万円。4コマだと早稲田から得られる年収が144万円という計算になります。
いま6コマくらい受け持っている人なら、216万円から144万円と72万円も年収が下がってしまいます。1千万円超える人にとっての72万円と我々の72万円では意味がちがいます。
早稲田で授業を減らされた分、他の大学ですぐに授業をできるかというと非常に厳しいのです」
そうでなくとも低賃金を強いられている非常勤講師に対して、契約期間を最長5年にして雇止めできる就業規程を強行し、雇用さえ奪おうとしている。それに輪をかけて担当授業数まで上限を設け、さらに収入を下げようというのである。
だが、単に収入減だけなく、早稲田の真の狙いは別のところにある、とAさんは見る。
「表向きは、たくさん授業を担当する講師の負担を減らすとされていますが、本当の目的は、改正労働契約法20条(不合理な差別の禁止)対策だと思います。
専任よりも多くの授業を担当している非常勤講師の収入が、授業の少ない専任の数分の1しかない状態は、『不合理な差別の禁止』に明確に違反するので、すべての非常勤講師の担当授業数を減らして、“合理的な”格差だと言いたいのでしょう」
日本中で正規従業員と非正規従業員の格差は拡大する一方だが、大学内の同職種における格差は異常なほどなので、その実態をまずは確認しておきたい。
専任並みの給与得るためには1日48時間労働が必要
B講師は言う。
「専任教員は学内の複雑で煩雑な事務作業や会議などを抱えていますから、かならずしも報酬を直接比較はできないかもしれません。しかし、そのような事情を考えても、非常勤との差はありすぎます」
B講師が指摘するように、たしかに煩雑な事務を抱える専任教員の事情もあるだろう。しかし、説明のつかないほど収入格差があることは事実だ。
3月19日に行われた労使交渉の場で、大学側の清水敏常任理事(副総長・労働法教授)は、専任教員の平均年収を1500万円と答えている。学部や学科による違いは
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首都圏大学非常勤講師組合と早稲田大学との労使交渉記録の一部。大学側が、専任教員の平均年収を「1500万円」と答え、組合側が非常勤講師との格差・差別について説明している様子がわかる。
(上)入試期間中は大学構内の立入りが制限されることを示した早稲田大学のホームページ。(下)授業のないときは非常勤講師は出校しないと知らせた理工学部のホームページ。つまり、わざわざ非常勤講師が来ない日を選んで過半数代表選の公示書を配布したということだ。
早稲田大学の意図を示す最も重要な文書。とくに2枚目の半分から下。自分たちが進めようとすることは改正労働契約法20条の不合理な差別に抵触する可能性が高いため、仕事内容を変えて格差を合理化しようとする考えがわかる。
首都圏大学非常勤講師組合のビラ。4月8日に委員長らが東京地検に刑事告訴して以降、早稲田分会の加入者が3倍以上になったという。今回、当事者である15名による告訴で、さらに加入者が増える可能性が高い。全体の人数は公表していないが、この人たちが早稲田ユニオン(仮称)を結成する予定だ。
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安いからニーズがあるという側面もあるんだろうから、法律だけで解決できる話じゃないんだろうね
『不合理な差別の禁止』を逃れるために授業数制限・過半数代表選挙は偽装選挙
>> 早大が「授業上限週4コマ」強行、「非常勤5年でクビ」に追い打ち 講師15人が鎌田薫総長を告訴:MyNewsJapan
「専任教員は(中略)事務作業や会議などを抱えていますから、かならずしも報酬を直接比較はできないかも」とあるが、専任教員には「大学の名前を背負って研究する」という役目もある。こういう論調は良くない。
早稲田の授業コマ数が充実していたのはほとんど非常勤なのね
「合法チート」のようなものだな…。
「専任並みの給与得るためには1日48時間労働が必要」
フリーターみたいな
早大が「授業上限週4コマ」強行、「非常勤5年でクビ」に追い打ち 講師15人が鎌田薫総長を告訴:MyNewsJapan
凡そ学問というものは人から人へと受け継がれていくものである。人への投資をおろそかにする大学は自ら学問をもおろそかにしている。そこにまともな教育を期待してはいけないんだろうな。
最近話題だけども,全体として人件費の抑制が求められているし大昔から常勤と非常勤の待遇格差はあった.
他の働き口を求めることは個人レベルでの解決策のひとつではあるが、それを第一の方法として価値付けていては国力の基礎であるはずの学問研究を軽んじる現在の大学システムを変えることには繋がらない。
日本中で正規従業員と非正規従業員の格差は拡大する一方だが、大学内の同職種における格差は異常なほど
今回の是非は置いとくとして、ずっと以前から待遇の実質はこんな感じで変わってないと思うけど。
交渉相手が「常任理事(副総長・労働法教授)」か...。非常勤はなりたい人がいっぱいいるので低待遇なのは分かるかな。一方で既得権教授の高待遇はなんなんでしょうね。いや能力高い人も多いけど、たまに変な人が...。
いつまでも夢みたいなこと言ってないで、とっとと就職しなさいとしか。本来的には本業になりえない仕事に、労働力のダンピングでしがみつこうってな根性も気に食わない。むしろこういう人間こそ排除すべきだと思う。
早大が「授業上限週4コマ」強行、「非常勤5年でクビ」に追い打ち 講師15人が鎌田薫総長を告訴
1コマ36万円か。副業するしかないんだろうな・・・
立派な校舎を建て替えてる場合じゃないでしょ
これは悪質な方とは思うけど、似たようなことは他大学でも起きてるからなあ。現状を何も考えんで法改正するからこういうことになる。一方で、私立大学はもっと教員を増やすべきとは思う
1コマ3万円…準備の時間考えたら厳しいな…。
困る
改正労働契約法の「通算5年勤務の有期契約労働者は「期間の定めのない契約」に転換できる」が思いっきり逆向きに働いてる。解雇規制緩和しかないと思う。
雇用しないで講義を業務委託すればいいんじゃないかしら。
QT"@masa_mynews: 早稲田の非常勤講師って、ワーキングプア確定職種だ。国が法律でこういう奴隷的な職種を作り出すとは、悪質すぎて話にならん。早大が「授業上限週4コマ」強行、「非常勤5年でクビ」に追い打ち 講師15人.
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読者コメント
清水敏は学生に対するハラスメントを謝罪しろ! 早稲田大学社会科学総合学術院教授会は清水敏をクビにしろ!
告訴された鎌田薫容疑者と清水敏容疑者は2018年3月で早大を定年退職。鎌田薫容疑者の最終講義は、2018年1月27日(土)13:00 ~14 :30に大隈記念講堂で、清水敏容疑者の最終講義は、2018年2月3日(土)15:00~16:30に14号館101教室で行われる。彼らの最終講義は学外者も聴講可能。
連載単行本化<a href='http://www.amazon.co.jp/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E5%A4%A7%E5%AD%A6-%E6%97%A9%E7%A8%B2%E7%94%B0-%E6%9E%97-%E5%85%8B%E6%98%8E/dp/4886837549「ブラック大学 早稲田」(同時代社)</a>発売中
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学校法人の監事と評議員会は理事会に対するチェック機能を持っています。早大監事と評議員会にはチェック機能を果たしてもらいたいです。出井伸之は早大評議員会長、海老沢勝二、河野洋平、日枝久は早大評議員です。
学校法人の監事は業務監査権限を持っています。早大監事は元日本弁護士連合会会長の平山正剛氏と経済同友会終身幹事、元花王副社長の渡邉正太郎氏。平山正剛氏と渡邉正太郎氏は5年雇止めと4コマ制限問題の監査を行っているのでしょうか。
総長
www.waseda.jp/jp/sp/message/
常任理事
www.waseda.jp/jp/sp/message/message03.html
理事
www.waseda.jp/jp/sp/message/message05.html
歴代の早大総長は瑞宝大綬章(勲一等瑞宝章)を受章。鎌田薫総長は、もし労基法違反で有罪が確定しても、勲章はもらえるのか?
島田陽一理事(中労委委員)と清水敏常任理事(群馬県労委会長代理)は、もし有罪になっても労働委員会公益委員を続けるのか?首相(県知事)は労働委員会公益委員に委員たるに適しない非行がある場合は、両議院(県労委)の同意を得てその委員を罷免できる。
早稲田大学さんだけではなく、外国からの留学生に手厚い給付が行われている。その一方で非常勤講師、助手、ポスドクの方たちが貧困状態になるような制度(予算配分)になっていませんか?個人的な意見ですが、大学教員は教授の子孫(世襲)や元キャリア官僚が多いです。そうでない人たちが、より希望をもって生活、向上、修学できる仕組みや制度を考えてほしいものです。
同じような授業をやって一方が年収250万円以下。正規だと年収1500万円。馬鹿馬鹿しい。同一労働同一賃金が最も必要なのは企業ではなく大学。
早稲田大学は身分制社会を推進する勢力だ。大学生の諸君は大学という組織に対して現実を直視せよ。そして大学の教員どもよ。まず自らの組織を正せ。
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