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東京都職員 「ワイズスペンディング」なき昭和のお役所風景――ペーパーレス化はTVに映るところだけ

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目指そう!「残業ゼロ」――を掲げる東京都。残業代が減るのは納税者にとってよいことだが…給与明細はまだ紙
 有効求人倍率がバブル期を超え(1.48倍=2017年4月)、43年ぶりの売り手市場となっているものの、 “実感ある好景気”の時代を知らない学生の強固な安定志向は揺るがず、公務員人気は高止まりしている。なかでも盤石な財務体質を持つ東京都の地方公務員は、「国家Ⅰ種」に比べた試験難易度の低さ、キャリア官僚に比べた労働環境のホワイトさ等もあって人気を維持し、早稲田大卒で3位(みずほ109人、三菱東京105人に次ぐ95人)、慶応大卒でも10位(49人)の就職先となっている(いずれも2016年度卒)。小池百合子知事が就任して1年余り、都庁の働く環境に変化はあったのか。
Digest
  • 就任1年、進まぬワイズスペンディング
  • “苦笑い”「都庁が揺れる」みんなでラジオ体操プロジェクト
  • 国家Ⅱ種よりもラク
  • トップは早稲田、ボリュームゾーンはMARCH
  • 新卒枠に30歳近い年齢層が1割
  • 女性が半数を占める「新方式試験」
  • 狭すぎない、広すぎない、中途半端…
  • 庁内公募制が機能
  • 異常に低い離職率
  • 主任試験の対策本が都庁内の本屋で山積み
  • 30歳課長代理、35歳課長が最速
  • 部長で年収1300万円弱、副知事で1800万円
  • 公務員宿舎は1割以下
  • 西新宿の都庁舎勤務は3割以下
  • 「基本的に定時に帰れます」
  • 結婚というと、まずは「都庁の人?」
  • 部下に自腹で寿司を出す小池知事

就任1年、進まぬワイズスペンディング

小池氏が2016年8月に就任し、1年余りたった東京都。「東京大改革」「ワイズスペンディング」を掲げる小池氏のもと、職員の働く環境においても、そろそろ成果が出始めているはずの時期である。

2017年1月6日の年初会見では、無駄な紙代(コピー代)を削減し、テレワークを推進したい意向を表明していた。

 もう卓上には、紙の束ではなくて、タブレットを使った形で、全部データで情報を共有して、そして議論をしていくという方法に変えております。昨日の分だけでも、5000枚くらいですか、ずっとこの間を合わせれば1万枚から2万枚の紙は使われなく、かつコピー代はかからず、そしてまた、こういったことを積み重ねていくと、テレワークにつながっていくのです。

都民(納税者)にとっても無駄な税金の削減となり、都の職員にとってはIT化でコピー作業がなくなり、仕事の生産性がアップするのは望ましい。これまで合理化意欲ゼロで無駄な税金を垂れ流してきたお役所も、ついに新知事のもとで、民間並みの生産性を意識した働き方に変わっていく――かと思われた。

「確かに、テレビに映るような、小池知事が出席する幹部会議だけは、タブレットを使ってペーパーレスになりました。でも、そこだけで、それ以外の会議や、普段の現場業務は、何も変わっていません。実際、コレも毎月、紙で配られています」(職員)

そう言って見せて貰ったのが、冒頭の給与明細である。高級な紙質のカラー印刷で、はがすと見開きで明細が印字されている。紙代も印刷代も、ずいぶん高そうだ。

「多くの民間企業がそうしているように、PDF形式の電子ファイルで貰えたほうが保存も便利ですし、コスト面でもよいと思うのですが、IT化する動きはまったくありません」(同)

給与明細のIT化は、その組織の生産性の高さを図るバロメーターのようなもので、90年代から導入が進んだ。イントラネットにアクセスして閲覧するか、社内メールに添付されて送られ、必要な時だけ、プリントアウトまたはダウンロード。IT系企業やコンサルティング会社では、ほぼ全社が導入済みである。

法的にも紙で出す必要はまったくないため、「無駄コストの象徴」となっている。東京都の場合、約17万人(教育や警察等も含む)のマンモス組織なので、単純に1枚100円で計算すると、年間では17万×14(12か月分+夏冬の賞与)×100円=2億4千万円、の税金が無駄遣いされている。「賢い使い方」からはほど遠い。

テレビに映ってアピールになる、絵になるところだけタブレット化し、現場は何も変えていないあたりが、いかにもTVキャスター出身の小池知事らしい。うわべだけ、外から見えるところだけ、ということだ。

「知事は確かに、『原則として電子化』と言っているのですが、役所で『原則として』がつく場合、ほとんどが『例外』になって、変わらないんです。決裁プロセスについても、従来どおり、紙の稟議書にたくさん判子を押していく昔ながらの“判子リレー方式”で、民間企業のようなイントラ上の電子決裁は、導入されているものの実際にはあまり使われていません。多くが『例外』である紙決裁で、仕事をしております」(同)

昭和時代から変わらない、のんびりしたワークスタイル。これでは、民間との生産性の格差は開くばかりだ。東京都はまだ人口が増えており、大企業も集中し、潤沢な税収が見込めるため、無駄遣いをやめる緊急性はなく、ワークスタイルを改革する動機もない。したがって職場の風景も、変化の兆しがない。

小池知事が年初会見で言及した「テレワーク」も、実験段階のまま留まっており、導入にスピード感は見られず、大きく進んでいるわけではないという。

「都庁の本庁舎内では、ノートPCをワイヤーで机につないでいるんです。だから、会議室にも持ち運べず、自宅や出先からテレワーク、どころではありません。電話も昔のままで、机に固定電話がつながれています。仕事で外出するときはどうしているかというと、自分のケータイを持ち歩いて、必要な人に番号を教えています」(同)

まるでコントのような、お役所イメージそのものの世界が広がる東京都庁の職場。生産性の低い職場で働くとモチベーションも上がらずキャリアダウンにもつながりやすいため(同じ時間内で成し遂げられる仕事量が減る)、民間企業から前向きな転職を考える人も増えず、さらに改革が遅れる悪循環にはまる。

それでも潤沢な財政状況であるがゆえ、危機感はなく、コストを垂れ流す。都道府県では、東京都は、唯一の「地方交付税不交付団体」(国からの地方交付税に依存せず財政運営が可能)。本来なら、その予算を効率化投資に使って最先端の生産性を誇るピカピカの職場に改革できるだけに、他の役所と何も変わらぬ現状は怠慢というほかない。

民間では、2010年台に入ってソフトバンクの大攻勢があり、内線・外線・移動体通信(外勤用スマホ・データ通信)まるごと契約でコストダウン、という競争が進んだ。PCについては、クラウドだけに情報を保存することによって、仮に外出先でPCを盗まれても情報が流出しないセキュリティー方式が主流となりつつある(あずさ監査法人がそうだ)。セキュリティーのためにワイヤーでPCを机にくくっている昭和の発想では、テレワークが進むべくもない。

“苦笑い”「都庁が揺れる」みんなでラジオ体操プロジェクト

小池知事が始めたことで、ポジティブなものはないのか

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採用枠別初任給、Ⅰ類AとBの採用数

「庁内一般職員公募制人事」実施についてのお知らせ

都庁内の人しか関係ないのに、対策本が都内一般書店でも販売されている東京都主任試験の合格率

都庁職員のキャリアパスと報酬水準

冒頭の給与明細の中身(30歳前後、主任)

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読者コメント

バスター2017/11/03 13:23
そういえば朝日新聞2017/11/02 08:55会員
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