My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

『不当逮捕 築地警察交通取締りの罠』刊行――「暴行を受けた」と虚偽通報された夫の妻が語る「事件をでっち上げた警察に勝つまでの9年間」

情報提供
ReportsIMG_J20171213234928.JPG
デッチ上げ被害者・二本松進氏の妻・月恵さん。「明日は我が身と思ってほしいです」と言う。夫が警察官を暴行したという虚偽の調書へのサインを迫られたが、拒否した。さらに目撃者捜し、独自の現場検証、裁判所に提出する資料の作成などで国賠訴訟の勝訴に貢献した。
 寿司店経営の二本松進氏が築地市場で仕入れを終え、車で店に向かおうとすると、警官が「法定禁止エリアだ」と一言発した。「運転手不在の放置駐車を見逃し、運転者が発車しようとする車を取り締まるなんておかしくない?」と抗議すると、警官は「暴行を受けている」と虚偽通報のうえ、公務執行妨害の現行犯として逮捕、二本松氏は築地署に19日間勾留された。妻の月恵さんは、夫が暴行したという虚偽調書への署名を迫られたが必死に抵抗し、翌朝から目撃者探しに奔走。夫婦は東京都と国を相手に国賠訴訟を起こし、事件から9年1か月後の2016年11月1日に高裁で勝訴。都は上告を断念し、東京都に240万円の賠償支払いを命じた判決が確定した。この事件をまとめた『不当逮捕ー築地警察交通取締りの罠』(同時代社刊)が12月6日に刊行されたのを機に、勝訴の最大の功労者ともいえる妻に、取調べの対応、目撃者捜し、独自現場検証、裁判所資料作成など、いざ「我が身」に災難が降りかかった際に役立つ経験についてじっくり聞いた。
Digest
  • 「明日は我が身、と思ってほしい」
  • 警察がねつ造した驚愕の暴行事件
  • 裁判で現場の警察官の証言は完全に否定された
  • 「馬鹿野郎 お前の亭主が暴行しただろう!」に涙をこらえて抗議
  • 初日に3人の目撃者を探し当てた!
  • 元旦も旅行中も裁判資料とにらめっこの9年間
(記事末尾で現行犯人逮捕手続書ダウンロード可)

「明日は我が身、と思ってほしい」

不当逮捕 築地警察交通取締りの罠

警察によるでっち上げ事件で、無実の市民が19日間にもわたって勾留された事件は、事件から9年1か月後、東京都に240万円の支払いを命じる判決が確定して終結。このほど、事件の真相を描いた本が出版された。

刊行に際し、逮捕された二本松氏の妻、月恵さんに改めて事件を振り返ってもらった。いつ我が身に降りかかるかもわからない同様の事件。われわれは、不幸にも警察権力の横暴に直面した際に、どのように対処すればよいのだろうか――。

「本のタイトルの横に、『明日は我が身』という言葉を入れてもよかったと思います。本当に、明日は我が身なんです、とみなさんに訴えたいです。

車に乗る人ならいつでも起こり得ることです。事件が起きてから、犬の散歩をしていても交通取り締まりの様子が自然に目に入ってきてしまいます。警察官がじっと立って様子をうかがってしばらくたつとドライバーに何かを言い始めたり・・・。

交通取締りでよく目にするのは、運転手がいる黒塗りの車は一切取り締まらず、一般人の車を取り締まっている様子です。偉い人の車には何も言わず、普通の人にだけ取り締まる、ということでしょう。

事件の起きた日も、仕入れ用に粗末な服を着ており、おまけにその日は寝坊してしまったので、あわてて髪も整えずそのまま家を出てしまいました。一方の警察官は制服を着て取り締まる偉い人、という感じでした。

あるとき、駐車してあるタクシーを警察官が見ていたことがあり、たぶん運転手さんが食事でもしているんだろうと思い、近くの長崎ちゃんぽんの店に入って運転手さんを探し、“交通取り締まりに遭うかもしれないから気を付けて”、と伝えたことがあります

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り7,621字/全文8,491字

裁判に提出された事件現場の見取り図。

(上)裁判で原告二本松夫妻が作成した再現写真報告書。ドアの内側に二本松進氏(S)、外側からドアを押す髙𣘺眞知子巡査(T)、そばで見守る渡邊すみ子巡査部長(W)。ドアの内側に二本松氏がいたことは目撃者たちも見ていた。(下)同じ場面で警察側が作成した再現写真報告書。事実と全く逆に外側にいた二本松氏(C)がドアをしめて内側にいた髙𣘺巡査(A)の右手首を負傷させたと架空の写真報告書をでっち上げていた。なんと奥さん(D)が運転席に乗り込み、眼の前にいた警察官2人が気づかぬうちに車内で助手席に移動し、空いた運転席に夫の進氏が乗り込んで逃走をはかったと荒唐無稽な供述を髙𣘺巡査らはしていた。

裁判中、事件現場を視察する冤罪被害者の二本松進氏(手前)と北海道警察元警視長、釧路方面本部長の原田宏二氏。

事件の翌朝から月恵さんは、事件現場に立ってこの紙を掲げて目撃者を捜した。合計4人の目撃者が名乗りを上げた。

事件現場。柳の木の向こう止まっていた二本松夫妻の車は一車両以上前方に進み一時停車したあと、警察官に発車を阻まれた。写真右後ろが築地市場。

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

林克明2019/10/28 12:02
林克明2019/10/27 22:54
hospital2019/04/08 18:09
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

事件の当事者・二本松進氏の講演会
「不当逮捕ー交通取締りの罠」

日時:2017年12月16日(土)
   13:30開場、14:00開始
場所:雑司が谷地域文化創造館第2会議室
資料代:500円

主催: 草の実アカデミー


本文:全約8500字のうち約7600字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)