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「ガールズバーで好きな子ができて金がなかった」――オープンハウス連続特殊詐欺事件、元社員2人が起訴事実認め犯行の経緯判明

情報提供
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出し子役のオープンハウス社員(当時)が、高齢者からだまし取ったキャッシュカードを使って現金86万7000円を引き出した千葉銀行のATM。まず残高を照会し、4分間で5回にわけて出金した(千葉県酒々井町の酒々井町役場敷地内)。
 不動産大手・オープンハウス(東京都、荒井正昭社長)現職社員2人が、高齢者を狙った特殊詐欺グループに加わって犯行を繰り返した詐欺・窃盗事件。2020年12月には3つの公判が開かれ、あらたに2件の犯行や、その手口、報酬額などが明らかにされた。既に犯行を認めた林健二氏に続き、同僚の北野映喜氏も初公判で起訴事実を認め、林氏が、「ガールズバー通いの金がほしかった」部下の北野氏を誘ったことも判明。同グループの複数メンバーには傷害や集団強姦罪で服役した前歴があり、林被告にも住居不法侵入で執行猶予判決を受けた前科があった。こうした社員を積極採用しているのか?余罪も含め、会社の組織的関与は?――同社はこの期に及んで、全て「調査中」と口を濁し、東証一部上場企業とは思えない不誠実な取材対応を続ける。同社と協力して特殊詐欺防止キャンペーンを展開する神奈川県警も「記者クラブにしか回答しない」と絶望的な無責任ぶりで取材拒否した。
Digest
  • 3分割して進行中の刑事公判
  • 現段階で被害は5事件450万円
  • 「免職されたので…無職です」
  • 会社の同僚を犯行仲間にスカウト
  • のらりくらりと回答拒否を続けるオープン社
  • 「記者クラブ以外には回答しない」と神奈川県警
(※神奈川県警とオープンハウスとの打合せ経緯等が分かる情報開示文書はPDFダウンロード可=約25MB)

3分割して進行中の刑事公判

オープンハウス社員2人が関与した特殊詐欺事件※は、計4人が起訴され、昨年(2020年)10月から刑事公判が東京地裁ではじまっている。犯人の4人とは、松本、小山、北野、林の各被告人(以後、敬称略)で、このうち北野・林の2被告人が、犯行当時オープンハウスの現職営業社員の地位にあったことがわかっている。

※従来「振り込め詐欺事件」と表記してきましたが、犯人が直接金を引き出す手口から、より正確に「特殊詐欺事件」と改めます。

公判は、ひとつの事件番号(東京地裁令和2年刑わ第1962号、詐欺および窃盗等事件)を付した上で、

①松本・小山法廷

②北野法廷

③林法廷

――の3つに分割されて開かれている。犯行が多数回にわたり、かつ犯行形態が「かけ子」「出し子」などの分業式をとっており、必ずしも4人全員が共謀しているとは限らないといった事情から、起訴は各被告人ごとに順次なされ、まだ全容は明らかになっていない。本稿では2021年1月3日現在までに公判で明らかになった事実をもとに報告する。

前回記事〈「オープンハウス振り込め詐欺事件」社員逮捕・起訴は2人に 保土ヶ谷営業センター元営業マンの林氏、公判で犯行認める〉(2020年11月18日)の発表時点で判明していたのは以下3件の事件だった。

(第1事件 起訴:松本・小山・林・北野)
 2020年4月15日、千葉県酒々井市内の女性(82歳)に対し、足立区内のホームセンター駐車場の車内にいた松本・小山は、役場職員をかたって「保険金の返還金があるので銀行職員が行く」などと電話をかけてだました。指示を受けた北野らが女性宅を訪問し、銀行のキャッシュカード3枚を詐取した。続いて北野らは同日午後、詐取したカードを使って千葉銀行酒々井役場出張所(千葉県酒々井市)のATMから86万7000円を窃取した。

(第2事件 起訴:松本・小山・林・北野)

 2020年5月27日、千葉県鴨川市の女性(78歳)に対して林らが銀行職員をかたって電話をかけ、「新しいキャッシュカードにする。銀行職員が行く」とだました。北野が訪問し、キャッシュカード1枚と通帳1通を詐取、鴨川市のイオン店内にある千葉興業銀行のATMから9万1000円を窃取した。

(第3事件 起訴:松本・小山・林)

 2020年6月15日、松本・小山らは千葉県香取市の80歳の被害者に対して、銀行職員をかたって「保険料の差額を振り込みます」と足立区内のホームセンター駐車場に停めた車内から電話をかけてだまし、指示を受けた「S」が千葉銀行職員になりすまして被害者宅を訪れ、銀行のキャッシュカードと通帳各1通を詐取。「S」はそれを使って千葉銀行佐原支店で出金しようとしたが、直前に検挙された。 

現段階で被害は5事件450万円

その後の公判(2020年12月3日=②北野法廷、12月17日=①松本・小山法廷、12月22日=③林法廷)で、あらたに、以下2件の犯行が明るみになった

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酒々井町危機管理室によれば、町内で起きた特殊詐欺発生件数は、2019年(1月〜12月)が4件、2020年は1月〜10月で6件と増えている。町施設内が犯行現場になった例ははじめてだという。犯行にオープンハウス社員が関与している事実や、同社が神奈川県警と協力して被害防止キャンペーンをしている事実について、町関係者はいっさい認識していなかった(町庁舎内に貼られた千葉県警のポスター)。

出し子役のオープンハウス社員(当時)が、高齢者からだまし取ったキャッシュカードを使って、短時間で6回にわけて現金97万円を引き出したセブンイレブン(取手市藤代)。出し子の報酬は8%で、コインロッカーを使って受け渡しをしたとされる。

犯行現場近くを歩く高齢者(取手市藤代)。

オープンハウス社員が関与した特殊詐欺事件の公判が続く東京地裁。

オープンハウスの住宅建築現場(都内、事件とは直接関係ありません)。

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