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「ぜんぜん外資っぽくなかった」アフラック元社員が感じた入社後のギャップ――英語不要だが飲み会カラオケ接待は必要、年功序列の高待遇

情報提供
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コロナ禍で退職した元社員「女性が働きやすい会社になったと思います」
 アフラックは、前回記事のとおり、日米関係の「鬼っ子」的存在であるため、外資でありながら、ほぼ日本だけで巨大化した歴史を持つ。日本の人材市場・労働市場に合わせて発展してきた、独自の和製外資である。「入社前後のギャップは、いわゆる外資っぽくなかったことです」――。利益の8割を日本市場から稼ぎ出す「日本化された外資」で働くとは、どういうことなのか。2010年代に入社した元社員に、意外にぬるくて給料も悪くない居心地の良さや、外資なのに上層部ですら英語力が必要ないカラクリ、女性の働きやすさ、リモートワークの障害などについて、現場の実情を詳しく聞いた。
Digest
  • 外資なのに一括採用、女子大可、MARCH中心
  • 配属「ほとんどランダム」
  • 英語力は不要だが、飲み会カラオケ接待は必要
  • 40人超もいる通訳・翻訳室「外国語で考えると思考力落ちる」
  • コールセンターの現場体制
  • スーパーバイザー派遣社員で時給3千円超
  • 代理店向けコンサルスキル、サラリーマンスキル
  • 代理店がアナログなので…進まぬデジタル化
  • 感謝されたり、謝罪に行ったり、客がヤクザで監禁されたり
  • 元社員が社長夫人として代理店の報奨旅行に参加
  • そもそも必要ない保険に入る=人情で入る=ネット化しない
  • 説明会で給与明細を見せてくれた人事部員
  • 内勤は残業代、外勤はインセンティブで差がつく
  • 年功序列で900万超までいくが…
  • 女性ライン長を4年で1.5倍に増やす野心的目標
  • 温存される手厚い福利厚生
  • リモートワーク「個人情報管理」の高い壁
  • 上司に詰められる→録音→×がつく
  • 360度評価導入、産休育休のとりやすさ

外資なのに一括採用、女子大可、MARCH中心

まず、採用。中途で即戦力を採る傾向が強い外資と違って、新卒一括採用が中心で、社員全体の7割くらいは新卒入社組が占めるという。直近では、2018年4月228人、2019年4月88人、2020年4月63人、2021年4月60人を、新卒採用した、と公表している。ただ、投資運用部門(保険会社は集めた資金を運用する巨大なファンドでもある)は中途ばかりだという。

中途も含めた採用数は、2019年度226人(うち男性107人)、2020年度205人(同101人)と公表。近年は新卒よりも中途採用のほうを増やす傾向を強めている。

「同期は、約200人でした。アクチュアリー候補の数人だけ別採用で、これは東大生など資格試験に受かりそうな(※日本アクチュアリー会が毎年実施している資格試験、合格率は1~2割)、ポテンシャルが高めの学歴を持つ人たちです。残りは、職種別ではなく一括採用です」(元社員、以下同)

転勤アリの総合職(N型=National)と、転勤ナシのいわゆる一般職(A型=Area)というコース別採用で、内訳は120人:80人くらい。総合職=男性、一般職=女性、という性差別的な採用慣行は、銀行・生保・損保・証券・メーカーに共通する、「ザ・日本企業」の特徴であり、その点からも、実に日本の金融業界に馴染みきっており、人事運用において外資の面影は見られない。

「女性の総合職は1割未満の約10人、男性の一般職は1人だけでした」。ゼロにすると裁判でも不利なので(※野村證券が敗訴的和解)、申し訳程度に異性を混ぜる。これも日本の金融業界の共通手口で、対外的には「転勤アリとナシの違いがあるだけ」と説明される。

公開している社員数5149人の内訳が、男性2534人、女性2615人と女性のほうが多いのは、この、ほぼ女性が占めてきた、いわゆる一般職の存在による(2020年度末)。総合職のなかの女性比率は、開示していない(開示すると性差別的であることがバレてしまう)。なお、ここ数年は、人数を絞って、「全国型基幹職コース」(N型)と「アクチュアリーコース」のみを採用している。

「昨今では東大・一橋・早・慶が入社するようになりましたが、昔はMARCH以下が多い会社だったので、上司はMARCH出身者が多いです。今でもボリュームゾーンはMARCHで、東京女子大など女子大からも採用しています。早慶が概ね15人ずつ、東大が数人、といった規模感。日東駒専はほとんどみません。海外大出身者もゼロ」。MARCHと日東駒専の間あたりに偏差値ラインを引いて採用しているようだ。

配属「ほとんどランダム」

日本企業の新卒は、「なんでも総合的に命令どおりやります」――という、日本に特有の「総合職」として採用されるため、入社してみないと、どのような仕事をアサインされるかわからない。外勤の営業職なのか、内勤のコールセンターなのか、ファイナンスや人事などの管理部門なのか、入社前に選択不可。勤務地も、予測不能。よって、自律的なキャリアプランも人生プランも、立てようがない。実際の配属は、どう決まるのか

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「英語力が必要な会社、不要な会社」マップ

アフラックのコールセンター現場組織図(再掲)

生命保険に入りすぎな日本人(スイス・リー・インスティチュート調べ、2018年度)

アフラックのキャリアパスと報酬水準

N3(副主任)の年間給与総額

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