5.新規事業に関与しやすい #【年齢に関係なく仕事を任される】
❐やりがい―仕事軸『いい会社はどこにある?』
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年齢に関係なく仕事を任される条件の最後、5つめの基準は、「新事業進出に関与しやすい」である。これは説明不要かと思うが、ベンチャー的な新規事業は、古今東西、老人ではなく若者が成功させてきた。GAFAと呼ばれるIT大手もすべて起業家が20代に設立しており、たとえばラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンがグーグルを設立したのは、ともに25歳だった。これを組織に所属しながらサラリーマンの立場でできる会社があれば、都合がよい。特に大企業ならば、失敗しても雇用は確保され、やり直しの道も残る。一方で、「背水の陣」で臨むからこそ本気で挑戦して成功するのだ、というもっともな理屈もある。ぬるま湯では甘えが出てしまうからだ。
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ソニー原点回帰としての新事業提案制度
企業内の新事業提案は、制度化する会社が増えている。典型例が、ソニー。もともとカルチャーとして『ウォークマン』等の斬新な製品を生み出してきたが、すっかり「大企業病」で停滞していたのが2010年代前半までの、ストリンガーCEO時代である。事業部の業績が悪いと余裕がないから、リスクをとらなくなり、前年のモデルチェンジ品ばかりをルーティンで出すようになっていた。短期的な赤字を減らすために新規開発テーマは中止になり、新しいことを始められず、業績のジリ貧が続く…という悪循環に陥った。
「新しいアイデアがあっても、課、部、事業部…とレイヤーが多すぎて途中で潰されてしまう問題もあったので、トップ直属でやろうとなったのが、2014年に始めたSAP※です。社長直下の組織である『新規事業創出部』で年に数回、オーディションをやって、プロジェクト化するようになりました」(若手社員)
※「Sony Startup Acceleration Program」(旧「Seed Acceleration Program=SAP」)。2014年4月に始めた。それまでは、事業部長の好き嫌いや感覚的なもので却下されがちだったため、ベンチャーキャピタル(VC)など外部のプロの目を入れて評価するよう制度化し、提案する側の納得性を高めた。
これは本気だったらしく、「応募するにあたって」という研修まで開かれ、ビジネスモデル構築のトレーニングが行われ、入社1年目から応募できる。オーディションには1回あたり100チームほどが参加し、役員プレゼンまで行くのは一桁、プロジェクト化するのは数えるほどなので、狭き門ではある。
「私も自分の案を出しましたが、VCの人が100件くらいを一気に見ていくので、どのくらいじっくり検討されたかわからないまま、落とされました。プロジェクト化されれば人を採ることもできますが、3か月ごとに経過のチェックを受け、続けていくのも厳しそうでした
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