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3.英語力が身につく会社VS不要な会社 ♯【専門能力が身につく】

❐キャリア―仕事軸『いい会社はどこにある?』

情報提供
英語力が必要な会社、不要な会社マップ
「英語力が必要な会社、不要な会社」マップ

留学経験については、経済の不可避的なグローバル化によって、人材もグローバル化が必要になり、受給ギャップが相当に大きくなっている。つまり、日本国内市場が人口減にともない成長を見込めないなか、アジア・アフリカ・インドを中心に新興市場が人口増とともに伸びるため、海外市場を攻めなければ企業は成長できないわけだが、そのための人材が、ぜんぜん足りていない。

Digest
  • 「留学」という武器
  • サムスンの地域専門家制度
  • 外資系と英語の関係
  • 連結売上高の海外比率と必要な英語力は関係ない
  • 2つの軸「対社内」と「対取引先」
  • ①ネイティブイングリッシュ
  • 文化理解を含めた語学力
  • ②ビジネスイングリッシュ
  • 海外チャンス多いメーカー
  • ③インバウンドイングリッシュ
  • ④コミュニケーションイングリッシュ
  • 中国・韓国企業の日本法人で求められる対社内英語レベル
  • 「英語力よりも営業力」な初期ステージ
  • 「TOEICいらなくね?」楽天エンジニア
  • 英語公用語化に「失敗」、海外展開に「成功」したユニクロ

「留学」という武器

驚いたのが、超ドメドメで有名な新聞社である日経新聞が、国際派で有名な国際基督教大学(ICU)※から、2018年に4人も採用していたことだ。これは2015年に英『FT』(フィナンシャル・タイムズ)を、1600億円も投じて買収したからである。筆者の同期(1996年入社)には、東京外語大卒が1人いたくらいで、海外大出身者はおろかICUもゼロだった。国際教養大学(秋田県)※も公式サイトで、過去3年の卒業生進路として、NHK、朝日新聞社、日本経済新聞社を記載している※。

※ICU公式サイトによると、在学中に学生の58.9%が留学する(2020年度)。

※国際教養大学(AIU=Akita International University)は、教員64名のうち外国人が36名を占め、英語とグローバル人材教育に力を入れている。「過去3年」は時期が明記されていないが、2018~2020年度を指している模様。

※日経は『就職四季報』のアンケートで海外勤務者107人と2年前に公表していたが、コロナ禍を経た2023年版では「70人」となっており、35%も急激にリストラした。海外駐在はコストが高い。メディア最大規模は、やはり資金が潤沢なNHKで、84人となっている。

英語力目次
『「いい会社」はどこにある?』元原稿連載一覧

これまでドメドメだった日本企業が国内市場縮小→貯め込んでいた財力に任せてグローバルM&Aしたものの社員はドメしかおらず買収先企業との協業はおろか、コミュニケーションすらままならないが、一方で新卒一括採用&終身雇用だから中途で採っても社風に馴染めず辞めてしまう→新卒から語学と海外経験のあるグローバル人材に大胆にシフト、というわかりやすい流れである。日本国内は半永久的に緩やかな衰退が続くため※、この「新卒からグローバルシフト」は逆流しない。

※米国のように移民を受け入れれば反転するが、あらゆる世論調査結果から、日本国民のほとんどがそれを望んでいないことが分かっている。全政党が移民受け入れに反対の立場だ。そうかといって日本人の人口を増やす政策も全く実行されておらず、「子ども家庭庁」創設の議論が、のんびりと繰り返されているのみ。人口を減らしながらGDPを成長させていった国は、人類の歴史上、存在していない。

メンバーシップ型雇用では、既存の社員は切れないので、中堅以上を入れ替えられないという決定的な問題がある。だから、新卒から時間をかけてグローバル対応していくことになり、新卒に求められる要件が「グローバル人材」で、はっきりする。これは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を目的としてIT人材を別枠で採るのと同じ理屈で、今後、数十年にわたる長期トレンドと考えてよい。

実際、日本企業の目下の課題として、海外進出の時間をショートカットするために現地企業を買収するも、もともとの見通しが甘かったり、買収後にハンドリングできずに撤退する事例が相次いでいる。

・日本郵政 2015年、豪の物流大手「トール」を6200億円で買収。2年後に業績悪化で4000億円超の減損。2021年、674億円の特別損失を計上し7億円で売却、撤退。

・キリン 2011年、ブラジルでシェア2位だったビール大手「スキンカリオール」を3000億円で買収。2015年、業績不振で1140億円の特損を計上。2017年、ハイネケンに770億円で売却して撤退。

・東芝 2006年、米の原発大手「ウエスチングハウス」を6000億円超で買収し子会社化。原発事故の影響で2016年に2500億円の減損を計上。2017年、建設の遅れで同社が破産。2018年、関連資産を売却。計1・4兆円の巨額損失に。東芝解体の原因の1つとなった。

・NTTドコモ 2000年前後に米英蘭の通信会社に出資し海外進出。2004~2005年に撤退し、計1兆円超の売却損。

・IT企業はインディード買収で大成功を収めたリクルートをのぞいて軒並み、米国進出に失敗。ネット通販の楽天(2020年撤退)、ゲーム開発のグリー(2017年撤退)、DeNA(2016年撤退)、ニュースメディア運営のユーザベース(2020年『クオーツ』を売却し撤退)。メルカリも2022年時点で米国事業はずっと赤字である。

資産リッチな日本企業が、海外でカモられている。それでも、企業としては行くしかない。2008年の1億2808万人をピークに人口が減少に転じ、成長余力に乏しい下り坂の日本にいるよりも、市場全体が成長している米・EU・新興国のほうが、大きなリターンを見込めるからだ。それが利益を追究する宿命を負った株式会社の必然である。

サムスンの地域専門家制度

海外で成功するには、事前の現地マーケット調査が欠かせない。

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