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TikTok運営バイトダンスにレイオフされました(下)――理由は「総合的判断」のみ、ヒラ社員を実質的に指名解雇

情報提供
2本目サムネ最終なめらかなやつ
条件提示書(1枚目)とTikTokのロゴ

TikTokで有名なバイトダンス日本法人(本社・渋谷区)に、営業職で中途入社したものの、「ロールがなくなった」とレイオフ対象になった若手社員。なぜ自分が選ばれたのか具体的な説明がないことにも、納得がいかなかった。営業成績が悪いというのならば、まだ理解もできる。目標に対する達成率でも、同僚との相対的な比較でも、具体的な説明があれば反論の仕様もある。ところが、だ。「なぜ自分なのか、いくら聞いても『総合的な判断です』としか言わないのです。その判断の内訳は一切、説明されませんでした。これも定型文句なのだと思いました」(元社員、以下同じ)

Digest
  • 居座るメリットも少ない
  • バイトダンスの年収水準と内訳
  • RSUも選択可
  • 営業組織はほぼ日本人、管理部門は中華系
  • 8割がた広告代理店向けの営業が仕事
  • 代理店は不規則に夜動く
  • 1日8時間では達成できない目標が課される
  • 「家庭生活との両立ができない」職場
  • アカBAN担当「Trust&Safetyチーム」との葛藤
  • 経済安保上の懸念企業
  • ジョブホッピング用企業として
  • レイオフ通告されると争うメリットがない実情
  • デジタルタトゥーが残る下手なレイオフ手法

居座るメリットも少ない

あなたのロール(役割・仕事)がなくなりました、総合的判断であなたが選ばれました、会社に来ることは可能ですが、あなたの仕事は来週にはなくなります――。端的に言えば、これがレイオフの説明だった。皆に同じことを言っている可能性が高い。録音されていることも想定し、法的に不利にならない言い方に気を付けて話しているようだった。

特段、営業成績が悪いというわけでもなかった。上司にとって気に入らない、扱いにくいといった、ふわっとした理由なのかもしれなかったが、とにかく、ヘッドカウントを減らす目標が中国本社からトップダウンで降りてくるなか、自分が選ばれた。インターンあがりの1年目でもなければ、産休中の女性社員や育休中の社員でもないので、積極的に雇用が守られるべき配慮は、確かになかった。

具体的に説明ができない、実質的な解雇通告。となれば、応じないという選択肢もある。「出社してもよいですが、仕事はありません」と言われている以上、勝手に仕事をするのは難しいが、しばらく居座ることは考えなかったのか。

2本目本人写真3
レイオフ通告を受けた元社員

「仕事がない状態で出社しても、年次の査定で最低評価をつけられますから、基本給が下がり続けて、辞めざるを得ない状況に追い込まれるのだろう、と予想できます。半年くらいはいられるでしょうが、結局、いずれ生活できなくなって、転職へと仕向けられるのです。よくある外資系がやる手口だと思います」

なぜこのような事態に陥ったのか。カルチャーフィッティングに問題があり、会社選びに失敗したのかもしれない。入社時点からの話を聞いた。コロナ禍の、中途入社だった。

バイトダンスの年収水準と内訳

「私は前職で営業の実績があり、エージェントを通して紹介してもらったのが、積極採用中だったバイトダンスでした。同じ営業職で、ドライな環境の外資がよかったですし、福利厚生はないですが給与自体は高めで、おおむね希望どおりでした。年齢別の年収など全く開示しないので実際のところは不透明ですが、周囲から話を聞く分には、私の年齢だと(入社当時20代後半)、社内でも平均か少し高めのレンジに入ると思います」

給与明細掲載用
支給明細書(月収)

バイトダンス営業職の年収構成は、最低保障される月収が、基本給+45時間分の固定残業代。45時間を超える残業代はつけにくく、実際、ほぼ貰えていない。深夜残業代は、事前に申請して承認を得る必要があるため、事実上、不可能な仕組みになっているという。食事手当が1万円弱、あとは通勤手当だけ(左記参照)。

オファーレター掲載用統合
バイトダンスの条件提示書(オファーレター)

それ以外は、「営業インセンティブ」がボーナスとして支給される。その金額は、条件提示書(右記参照)でこう記されている。

営業インセンティブの支給の有無、金額及び条件は、当社の業績及び貴殿のパフォーマンスに応じ、当社がその裁量で決定します。(中略)営業インセンティブの支給は2か月毎とし、原則5月、7月、9月、11月、1月及び3月とします。

つまり、すべて裁量次第なので、ゼロ円でも何ら文句は言えない。

「ブレはあるものの、私は社内でも営業成績を上げていた方だった、と自信を持っていました。概ね、条件提示書に記されたくらいのインセンティブは貰えていました。年間で、2~4か月分くらいです」

固定の月収が

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日本法人社長の佐藤陽一氏。バブル期に早大卒、東洋経済新報社入社というレアな経歴。グーグルに11年勤務。

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