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本当に経歴不問だった

離職率が高い理由としては、もともと、かなり間口を広げて即席で集めるために、学歴不問だけでなく「職種経験、業界経験、社会人経験すべて不問」「未経験でも安心です」と甘い言葉で募集をかけた結果、必然的に、人材の質が総じて低くなったことが挙げられる。

面接2回で採用、月収25～27万円を3～5か月保証、YG健保や厚生年金など社会保障完備、10:00～18:45勤務（休憩1時間）は、初期の入り口条件としては悪くないため、頭数は集まった。

だが、「やる気重視・実力主義・人物本位」といった意味での学歴・経験不問というよりは、単純に「誰でもＯＫ」という意味に近いのが実態だった。

「募集要項の『学歴・経験不問』は確かに本当で、年齢も、60代の人までいました。全体では20代後半が中央値だと思います。前職としては、ウォーターサーバー営業、クレジットカード営業、整体師、リクルート社員、風俗店従業員など、様々。銀行員出身の人は、4か月で1件だけしか契約をとれていませんでした。風俗店出身の人もそれくらいの成績で、怒鳴られて辞めていきました」

ある月（1ヵ月間トータル）の成績下位。ゼロ件、１件が、これだけいる。

営業実績データを見ると、確かに下位のほうの成績は、さすがにひどい。

「月10件いかない人がたくさんいて、ASV（※バイトリーダー的なポジション）と同行必須になっていました。ある拠点では、キャンペーン開始前の昨年9月と10月は、月7件くらいが中央値で、9月はゼロが4人、1件だけが8人。10月は、ゼロが7人もいました」

60～70人の営業組織で、その1割が成果ゼロだったら、さすがに持たない。法定福利や交通費含めれば、総人件費は月50万円にはなる。その投資に対する効果が、0件や1件なのだ。

毎日、店をまわって、月20日以上動いて、商材も１つだけ。営業トークも複雑ではない。それで1件も成約しないとなると、そもそもやる気がなく、パチンコでもやって時間を潰している可能性が高い。PayPay人事が、どれだけいい加減な人材採用をしているかを物語るとともに、GPS管理したくなるのも理解できるところである。

数字が悪いSC（ショップコンサルタント＝一番下っ端の契約社員）は、拠点長から詰められる。SV（正社員転換を果たした人）からも詰められ、ASVが同行するようになるが、改善しないと、雇止めとなって去っていく。

雇止め基準が引き上げられ…

契約社員の雇止めは、初回3か月、それ以降は6か月ごとに行われる。その基準は、「獲得件数が月平均5件未満の場合」だったが、2018年12月からは「月10件未満」「下位20％未満」と基準を引き上げ、クビにしやすくした。クビになる基準がコロコロ変わるのもソフトバンクらしい。

契約更新基準

こうして3か月、6か月で雇止めしていく。証券会社がどんどん顧客に株を売買させて資金を回し手数料を稼ぐことを回転営業(回転売買)というが、PayPayの場合、人間（営業職自身）がどんどん回転して入れ替わっていく。これが本当の回転営業である。

インセンティブのルール変更も同様だが、途中でゲームのルールがどんどん労働者側にとって不利な方向に変更されていくのが、実にソフトバンクらしい。労組(従業員代表)との協議は存在せず、人を人とも思わない手法で人材を使い捨てていく。

握りつぶされるパワハラ、続出する不祥事

従業員の質が低いのは確かなようで、不祥事も多発している。

「足がつくような、すぐバレそうなことをやっちゃう人が多いのが、特徴だと思います。勤務時間中に飲酒、虚偽の契約実績申告、同僚間で金銭の貸し借りを行い返済せず、セクハラ多数…。特に、パワハラは握りつぶされます。相談窓口は一応あるのですが、加害者側の上司に情報が筒抜けとなるために解決するはずもなく、報復されて、さらに状況が悪化する、という悪循環です」

実名で営業先の店を批判してクレームを受けたコンプラ違反事例。店側としても、PayPay営業には要注意だ。

各種コンプラ違反のなかでも、特にレベルの低いものが、グーグルマップ上への書き込みだ(左記)。自分の営業先の店の対応に不満があったため、実名でその店のグーグルマップ上の口コミコーナーに批判する内容を書き込んだ結果、当然のようにクレームを受け、「当社の信用も失墜しました」(コンプライアンス担当)とアナウンスされている。当り前である。

賃金が安いため、実家通いの人が多いのも特徴だという。「私の知る限り、いわゆる子供部屋おじさん＆おばさんが３分の１くらいを占め