MyNewsJapanとは
書く・読む 記者 登録・変更

記事の出稿

情報提供

読者コメント

ランキング

メルマガ 登録・変更

お知らせ

HOME
会員ID :
パスワード:
会員登録・解除 お気に入り記事
マイニュース
「東進」50億円貸し倒れ事件の全貌 政府系金融も騙された、元野村コンビによる“民事再生まる儲け”劇――債権者は詐欺で告訴
左:「東進衛星予備校」を38校展開した柏木秀信・モアアンドモア社長(当時、自宅タワーマンションにて)
右:「東進」フランチャイザーとしてロイヤリティー収入で稼ぐ永瀬昭幸・ナガセ社長(同社公式サイトより)
2人は野村證券OBで、永瀬が年齢は1歳上であるが、入社年次は1年下。

『東進衛星予備校』38校を神奈川中心にFC展開するモアアンドモア社(柏木秀信社長)が52億円強の債務を残し倒産、民事再生が決定したのが2017年3月16日。その約半分が簿外債務で、粉飾した決算書で財務実態を偽って融資を受けていたが、フランチャイザー側のナガセが即座にスポンサーとなった再生計画では93%超が債権放棄、つまり借金棒引きに。柏木は野村證券時代に13億円詐取の罪で懲役3年の有罪が確定し証券界から追放された有名人。入社1年違いの元同僚である永瀬昭幸・ナガセ社長が、いわくつきの人物を自身のFCに加盟させ、再び詐欺的手法で資金集めを働く舞台を与えた責任は重い。ナガセがこのFCから稼いだロイヤリティ収入は約20億円にのぼるが、その1年分にも満たない3億2千万円という「格安」で38校を実質的に手中に収め、今も稼ぎ続ける“焼け太り”の民事再生劇に、踏み倒された債権者たちの怒りは収まらない。

【Digest】
◇政府系から闇金まで…魑魅魍魎の債権者たち
◇常態化した簿外債務、審査できない銀行、検査できない金融庁
◇踏み倒された43億円、最大の受益者はナガセ
◇債権者「詐欺的なスキームだ!と思いました」
◇フランチャイザーの焼け太りを許した民事再生法
◇未整備な“FC規制法”も影響

当時38歳だった柏木逮捕を報じる朝日新聞(1988年10月5日付)と、当時の名刺
 以下38校(倒産時)の東進衛星予備校に通う生徒や保護者の皆さんは、この詐欺的な大型倒産事件に関係する校舎であるため、関心を持って本記事を読んでいただきたい。

 いずれも、2017年3月まで、倒産したモア社が経営し、現在は「エデュマン」が事業譲渡を受けたが、現社長の竹下由剛氏や取締役の柴崎敏郎氏は、モア社からの横滑りで、実態は同じ。

 竹下社長は、柏木元社長が融資を受ける際の連帯保証人にもなり、会社倒産につながる債務拡大に連帯責任がある人物である。

神奈川地区=上溝校、相模大野校、相模原橋本校、淵野辺校、中央林間駅西口校、長津田駅南口校、宮前平校、あざみ野駅東口校、東急日吉校、鷺沼校、あざみ野校、小田急相武台前校、横浜藤が丘校、宮崎大駅北口校、京王橋本駅校

東京地区=成瀬校、鶴川校、用賀校、旗の台中原街道校、武蔵小山駅前校

名古屋地区=御器所校、一社校、本山校、八事校、平針校、植田校、瑞穂新瑞橋校、勝川校、藤が丘駅南校、杁中校

静岡・岡山・高知地区=沼津学園通り校、倉敷駅前校、岡山大元校、倉敷茶屋校、高知本町校、沼津駅南口校、倉敷駅東校、高知中央公園前校

◇政府系から闇金まで…魑魅魍魎の債権者たち
 債権者リストの一覧は、実に興味深いものだった。地銀・信金がずらりと並び、商工中金、政策金融公庫、神奈川県信用保証協会など公的資金が入る政府系金融機関までが軒並み、「東進」の看板に騙されたのか、この詐欺師が社長を務める会社に億単位の融資を行っていた。うち93%が回収不能となり、踏み倒された。でたらめ融資の実態は、以下の通りだ。

 信用保証協会含む政府系金融機関は公的性格が強く、税も投入されているため、本件の公共性の高さについては改めて言うまでもないが、ナガセは弊社にSLAPPを仕掛けてきた実績があるので、記事の目的をしっかり理解できるよう、冒頭に記しておく。

【主な金融機関と債権額】
 商工中金 4億3,259万円
 八千代銀行 2億9,550万円
 西武信用金庫 2億5,188万円
 神奈川県信用保証協会 1億7,763万円
 大光銀行(※新潟の第二地銀) 1億3,288万円
 四国銀行 1億1,567万円
 日本政策金融公庫 1億2,860万円
 静岡銀行 9,999万円
 東日本銀行 7,748万円

政策金融公庫、信用保証協会などが、債権者名一覧に並ぶ。学校法人慶応義塾も304万円踏み倒されている
 倒産時の負債総額について、帝国データバンクは2015年12 月期の決算書から12億円余と報じた。翌年度2016年12月期決算書上の貸借対照表に記載された“表”の債務は、約20億円。この2016年12月の時点で実質、経営破綻が決定し、年明け早々、一部の債権者にその旨が伝えられた。3月16日に民事再生の手続きが決定し、民事再生計画案が地裁に提出された2017年8月4日時点では、確定した債権者数は103名、債権総額は計25億6,623万円であった。

 ところが、その間、いわゆる「不芳属性先」(※一般的に、金融犯罪者・闇金・反社系を指す表現)を含む簿外債務が次々と発覚し、最終的に、届け出ベースで計52億5400万円まで、約2倍に膨らんだ。「表」と同額程度の、「裏」帳簿の借金が発覚したのである。それは主に、いわゆる闇金と称される、国や都道府県に貸金業としての登録を行っていない者たち(個人・法人)からの借り入れだった。

 それら個人やオーナー企業からの借り入れの多くが、一方的に「不芳属性先」と分類され、債権者集会における議決権を半分にされた債権者も多かった。「不芳」といえど、この裁判所に出すリストに載せられている時点で、金利15%を超える違法な高利貸し(※裏社会の人物や組織)ではない。ほとんどが、「株を譲渡する」「校舎の経営権を譲渡する」といった、実態のない、虚偽の担保や契約書によってカネを騙しとられた、市井の民間人や企業オーナーである。

主な非金融機関債権者と金額の一覧。整理番号1番2番は、個人である。
 主な非金融機関債権は、右記画像一覧のとおりだ。■■ソリューション(エネルギー関連会社)6億6,000万円、株式会社■■(港区赤坂のコンサル会社)6億4,057万円、■■コーポレーション(医療系コンサル会社)3億800万円、株式会社■■(予備校経営)1億197万円――といった企業のほか、個人で5億円も貸し付けて踏み倒された人もいる。

◇常態化した簿外債務、審査できない銀行、検査できない金融庁
 これだけの資金が、なぜ必要だったのか。

「資金繰りの窮した主な原因は、平成24年以降の急激な校舎の拡大による資金調達の際に高利による資金調達に頼ったことに原因が認められる」――。モア社が地裁に提出した再生計画案では、そう記されている。倒産までの計16年間のうち、2012年以降の最後の5年間で18校も開校させていた。実際には、2010年5校、2011年8校と、その2年前から急拡大が始まっていた。

 1つの校舎を営業開始するには、テナントを借りて多額の保証金を払い、またはローンを組んで建物を購入し、生徒の募集広告を出し、社員を採用し…と、多額の初期開校資金が必要だ。複数の債権者の証言によると、非金融機関からの簿外債務は、まだ校舎数が2校だった2003年には既に始まっており、経営破綻に至るまで、断続的に積み重なっていった。

 モア社が述べるような最後の5年だけの話に限らず、柏木にとって、簿外債務は初期の頃からの日常手段だった。ナガセは何ら有効なFC加盟会社への監査・監督を行っておらず、雪だるま式に、この“簿外債務爆弾”を拡大させていったことになる。

 上記の名だたる金融機関は、巨額の簿外債務で粉飾された決算書と、実績ある詐欺師による虚偽の説明に騙されて貸し付けていた。だが不思議なことに、どの銀行も詐欺罪でモア社や柏木を刑事告訴していない。これが、日本の金融機関のガバナンス不全をよく表している。「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と金融庁は情報システムトラブルの件でみずほ銀行の体質を指摘したが、金融庁自身も「言うべきこと」は何も言わず、金融庁検査で発見できていなかった。

 もし銀行側が実態を知りつつ融資を行っていたなら、『かぼちゃの馬車』事件のスルガ銀行(※行員が与信を通すために借り手の預金通帳を偽造)ケースと同様、ゼロ金利下で、無理やり融資実績を伸ばすために、共犯的に、本来は与信が通らない案件の融資を強行したことになり、さらに罪が重い。どちらにせよ、これら金融機関の乱脈融資が責任を問われることなく現在に至っており、金融庁検査も機能していなかった。

◇踏み倒された43億円、最大の受益者はナガセ
一般再生債権と弁済額の全体計算書。債権総額の93%が消えた。
 担保権(別除権)分など精査の結果、最終的な「一般再生債権額」は総額46億2,480万円と査定され、一般債権者への弁済原資は3億1852万円(6.89%)。差し引き43億円超ものカネは、どこに消えたのか。

 明らかに自転車操業となっていたことから、一般的には、この債権者一覧表には載せられないような、出るところに出て事実を語ったら逮捕されてしまう裏社会のホンモノ闇金業者への違法に高い年15%超の利払い費(100万円以上の貸付は15%が法定上限)に消えていった、家族など別人名義で株やFXなどのハイリスク投資を行い溶かした(本人名義は証券界から追放されており不可能)、高額美術品投資で失敗した(柏木は別会社を作って宝飾美術品売買を行っていた)…など、様々な可能性が推認されるが、真実は柏木のみぞ知る。

 確実に言えるのは、38校にまで急拡大するために使った、テナント契約手数料、生徒集めの広告費、人件費やその教育研修費、そして何より、ナガセへのロイヤリティ(上納金)に充てられ続けた、ということだ。

 モア社が公表している最後5年の売上高と、そのロイヤリティ率、金額は、以下の通りだ。

2011年度:売上9.1億円×22.64%=約2.1億円
2012年度:売上12億円×20.49%=約2.4億円
2013年度:売上14.3億円×19.3%=約2.8億円
2014年度:売上15億円×19.3%=約2.9億円
2015年度:売上19.6億円×18.51%=約3.6億円

売上額に応じて変動する「東進FC」のロイヤリティ率
 校舎数を急拡大した過去5年間だけで、計13億8千万円にもなる。モア社が東進に加盟したのは2000年なので、それ以前の10年間も含めれば、20億円超にはなる計算だ。FC会社が税金(政府系金融や保証協会)や闇金(不芳属性先)から得た資金をぐるぐる回すなかで、ナガセは、これだけの上納金を自身の売上に計上していたことになる。それだけでも十分、上場企業のナガセにとって、コンプライアンス上の疑義がある。

 そのうえ、43億円もの債務が免除された事業の譲渡を受けるのならば、少なくともこの13億8千万円のほうも返上し、様々な手口で騙され踏み倒された、政府系金融含む債権者たちに返さなければ、モラルハザードとなり、納税者から見てもバランスが悪すぎる。

モア社が人材募集時広告に公開していた売上推移
 エデュマンに譲渡された後も、売上高は、2019年3月期19億1千万円、2020年3月期20億7千万円、2021年3月期も同程度を維持しており、校舎数は41へと増やしている。ナガセは毎年、少なくともこの2015年度の3.6億円と同程度のロイヤリティ収入を得ている計算だ。

 38校も持つFC会社は、全国でも数えるほどしかない。その、全国有数の「カネの成る木」である有力FC会社を、1年分のロイヤリティ収入よりも安い、わずか3.2億円で手中に収めることを、「民事再生法」が、合法的に許してしまった。その間、ナガセにフランチャイザーとしての責任をとらせることは、一切なかった。まさに「焼け太り」という表現がふさわしい。

 譲渡を受けたエデュマンの決算書によれば、「商品仕入れ高」という全く同じ名称の科目が4つも売上原価に計上されており(実にずさんである)、直近2021年3月期決算ではこの合計が計5億5,054万円にもなっている。ロイヤリティや教材費など内訳は不明であるが、FCなので、仕入れる先はもちろんナガセグループということになる。そして、モア社破綻の責任がある竹下、柴崎が、役員報酬3千万円(合計)をとりつつ、最終利益6,612万円も出している。43億円超の借金返済を棒引きさせられた債権者たちにとっては、やりきれないだろう。

◇債権者「詐欺的なスキームだ!と思いました」
 この疑義の多い民事再生スキームについて、債権者説明会では、問題にならなかったのか。これだけ債権者が多ければ、怒号が飛び交いそうなものである。

 「東進」倒産事件の債権者説明会は、四谷・市ヶ谷・神保町界隈の集会所や東京地裁にて、4回、5回と重ねられていった。司会は、申立代理人弁護士(野嶋真世、市野澤要治)が務め、裁判所が選任した監督委員である福田弁護士、モア社からは、社長の柏木と、その息子(息子が経営する会社も連鎖倒産し、本人も自己破産)、ナンバー2だった竹下らが、必要に応じて出席した。財産の処分経過を説明したり、再生計画の進捗などについて、説明文を読み上げ、最後に質問を受け付ける、という流れだ。

 債権者側は103名いたが、出席した者は、代理人含め当初30人ほどで、最後は20人程度だったという。質問する者は毎回、数人にとどまり、早ければ全体で30分ほどで終わったくらいあっさりしたもので、出席者のほとんどが、ネクタイをしたスーツ姿の人たちであった。

 毎回、出席していたという債権者の1人が、取材に答えた。

 「譲渡価格が安すぎるという話は、債権者の代理人として出席していた辻恵弁護士が毎回、厳しく質問していましたが、ほかは、静かなものでした。ぜんぶ裏で話がついていたのではないか、と感じたほどです。ナガセがスポンサーになって3億2千万円で譲渡なんて、私も安すぎると感じましたし、詐欺的なスキームだ!と思いましたよ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



関連記事
記者コメント
本文:全約7700字のうち約2700字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)

企画「CMリテラシー」トップページへ
企画「生活の安全」トップページへ
企画「税金無駄遣いの現場から」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい

アクセス数 1039 続報望むポイント
9
→ランキングを見る
続報望む
この記事について続報を望むかたは、以下の評価をお願いいたします。
続報を強く望む(100point〜) 強く望む(20point) 望む(3point)
(※今後の調査報道テーマ設定の優先順位付けにおいて重要な参考値となります)
読者による追加情報
お名前:
(会員の方はログインして書き込んで下さい)
コメント:
  注意事項