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“昭和の化石企業”ニコン②パワハラ&クラッシャー上司が部長や本部長に昇進しちゃう!

「プロジェクトマネジメントの概念がない、恐怖支配の会社でした」

情報提供
【パワハラ】掲載用写真ニコンパワハラクラッシャー上司「一ノ瀬剛」
2023年4月、本部長に昇格した一ノ瀬剛氏。「パワハラで部下を潰した元凶」と元部下は証言。ニコンは360度評価や職場環境調査の類を一切しない昭和の化石企業でクラッシャー上司天国だ。

ニコンの次世代を担う新事業創出を目的とした『次世代プロジェクト本部』(次プロ)では2023年4月、一ノ瀬剛氏*が本部長に昇格、翌2024年1月に佐藤真路氏*が部長に昇格した。本部内でパワハラ著名人だった2人が出世した裏では、サビ残に苦しめられた社員たちが数年のうちに数十人規模で続々と壊され、会社を去った。次プロは2019年に発足し2025年に解体されたが、発足から7年を経ても量産・収益化の目途が立ったと言える事業は生み出せず、2人の昇格以来、ニコンは3期連続で営業損益が悪化し今期は史上最悪の赤字に転落。業績連動方式につき2026年度賞与も最低水準に下がる。

パワハラ、脅し、口止め、鬱、休職、降格、粛清、排除、退職、死亡…社員を殺人的な環境で病ませる組織から新事業が生まれるはずもなかった。〝昭和のブラック企業〟ニコンの開発最前線で、パワハラ・クラッシャー上司のもと起こった数々の事件を、証拠をもとに検証する。

Digest
  • 「キレ散らかす人物」が本部長になっちゃうパワハラカルチャー
  • 課長も、うつ病で数か月休職後に降格
  • 「WBS?そんなの俺は頭の中でやってるよ」
  • 「かつての栄光」昭和なら成立したのかもしれない
  • 「人前で泣かされるくらい詰められてました」
  • 「お前のやっていることは体制批判だ」「このことは誰にも⾔うな」
  • いくら声を挙げてもフィードバックされない、潰される文化
  • 「今日も、明日も、明後日も徹夜でやるしかないやろ」「本部長命令やぞ」
  • メールでは「〇〇部長」と肩書をつけろと研修で教える会社
*一ノ瀬剛=現ビジョンロボティクス本部長(2025年4月~)

*佐藤真路=現ビジョンロボティクス本部 第一開発部長(2025年4月~)

「キレ散らかす人物」が本部長になっちゃうパワハラカルチャー

ニコンの現場組織体制図掲載用
ニコンの現場組織体制(次世代プロジェクト本部)

土日も開発業務を進めなければ終わらないだけの業務量を課され、一方で勤務時間の申告は『36協定』内に収めろ、と命じられた結果、765時間ものサービス残業を強いられた――と主張するAさん(40代)。普通に見積もると6か月~1年かかるものを「3ヶ月でやれ、進捗を報告しろ」と命じられたという。(→ニコン①参照)

本来の業務時間から間引きして申請せざるを得なくなり、その乖離した時間は、不本意ながら、すべて「DMM英会話を自発的にやっていた時間」(自己研鑽)として処理されていった。では、なぜ正直に申告することを許されなかったのか。そこにこの問題の本質がある。

「本部長の一ノ瀬さんが悪いんです。パワハラによる恐怖支配の元凶だから。進捗会議で『できていません』というと、『なんでできてねーんだよ!』とキレ散らかしてきますから、土日もやらざるを得ません。そういう人物が部長になり、本部長に出世していることに、本当に驚きました」(Aさん、以下同)

粉飾決算企業・ニデックの永守重信会長を必要以上に祭り上げてきた日経はじめマスコミの悪影響かもしれないが、いかに部下を詰めて、脅して、キレて、無理やり『できるまで』無限に仕事をさせられるか――が有能な経営者のスキルだと勘違いしている会社は多い。ニコンもこのタイプが出世して権力を握っているので、同じく粉飾の疑いがある。未払い残業代だけに限っても、全社的にカウントすると莫大な会計不正に及んでいる可能性は高い。

2024年2月のサビ残56人分
ファイルがアップロードされた時刻を抜き出したところ、2024年2月だけで56人が土日や深夜にアップしていた。一番多いのは土曜作業。サービス残業の疑いが強い。

土日も業務を行うのが当り前、という点もニデックと同じだ(→「土曜に出社しないなんて、それでもニデックマンですか?」)。Aさんが、本部内で業務週報がアップされた時刻を調べたところ、2024年2月の1か月だけで56人が土日深夜にファイルをアップしていた(右記)。最も多かったのは土曜日だった。

これら作成・アップロードの時間は、Aさんがそうであったように、虚偽の労務申告を強いられることによって「自己研鑽」「休憩」などの時間として処理され、会社が調査しても「自己研鑽していました」と社員は嘘を答えるほかない。

そうしないと、会議や呼び出しで脅され、人事で飛ばされたり、降格されるからだ。恐怖支配である。

Aさんが体調を崩して辞めた2024年6月の、同本部で業務週報をアップした時刻(以下)を見ると、少なくとも土曜に仕事をすることは常態化していたことがわかる。もちろん、アップする直前まで10ページ程度に及ぶ週報の作成に相当な時間が費やされている。

2024年6月の業務週報をアップした時刻

右記は、Eさん(50代エンジニア)が、自身が受けた労務管理上の問題(パワハラ、長時間労働、報復人事等)についてニコン倫理ホットライン外部窓口に通報する目的で作成し、提出された文書である。

韮沢さんの公益通報文書
Eさんが自らパワハラ体験等を記した文書

その後、Eさんは当該記載内容について、担当の早川皓太郎弁護士およびニコン人事部から直接ヒアリングを受けているという。

この資料は会社側が既に把握している資料で、関係者は公益通報者保護法上の保護対象となる(ホットラインが一号通報、外部メディアが三号通報、順序は問われない)。

そこには、ニコンにとって『不都合な真実』ともいえるリアルな職場実態が数々、報告されている。

自分以外でも怒号や罵声のケースは多数見てきた。文春の報道も事実。あれがきっかけで休職となった人がいる。私もメンタルをやられ、徐々に休暇が増え、業務の効率も明らかに悪化し、やる気もダダ下がり。

(中略)

「もうP5(筆者注:非管理職の一番上の給与グレードで、Aさんと同じランク)を守るのは厳しい。どうする?このまま頑張るか?」どうするって、降格しろといっているのと同じ。I氏(注:一ノ瀬本部長)、S氏(注:佐藤部長)が降格しろと言っているのが手に取るように感じ、明らかなパワハラ。

メンタルが限界に達し、業務中に突然自然と涙が出るようになった。自宅でも出勤前に涙が止まらないことが増え、N氏(注:内藤課長)に「もう精神的に厳しいので、リーダー業務とか、人前で発表や報告など、ストレスのかかる仕事は無理なので業務を変えて欲しい」と直訴。

その時のN氏は表面上は親身に対応しているものの、顔から笑みが出ており、私がやっと言ってきたことの安堵感がにじみ出ていた。背後にI氏、S氏がいることは見え見え。「P4に降格になるけどいいか?そんなに給料は下がらないと思う」と聞いてきた。もう精神的に無理だったので「はい」。降格となり給与が年収で100万円ほど下がった。

開発予算の削減で残業代カットどころか、降格(※2023年度)人事によって基本給の削減にも成功し、2024年1月、部長に昇格した佐藤真路氏はさっそく成果をあげた。このような佐藤部長―一ノ瀬本部長ラインが支配するパワハラ恐怖支配の職場環境では、逆らうことが難しい。

課長も、うつ病で数か月休職後に降格

より上層部に近い課長クラスも、もちろんパワハラの被害に遭っている。REプロジェクト(→囲み参照)でハードウェア領域を担当していた第一開発部第二開発課の内藤課長は、業務週報に以下の書き込みをしていた。

うつ病になった内藤課長の業務週報。一ノ瀬本部長からのパワハラ。
「途中で諸々の限界を超えてうつ病になり、医師からは即刻業務を停止するよう指示をうけ」とある。一ノ瀬本部長から詰められた内藤課長の業務週報(2024年)。

「どうせ何も考えていないんだろう」「やるべきことをやっていない」といったことを言われながらも、多くの人のご協力とご尽力をいただき進んできたが、途中で諸々の限界を超えてうつ病になり、医師からは即刻業務を停止するよう指示をうけ、突然抜けて関係者に丸投げしてしまっていた。

内藤課長とは、上記Eさん(50代)作成の文書に出てくる、Eさんの上司にあたるライン課長で、佐藤部長・一ノ瀬本部長のパペット役として汚れ仕事をさせられた、と少なくともEさんから見られていた人物である(次プロ本部・第一開発部・第二開発課の課長)。

REプロジェクトに所属していたが、2024年1月頃からうつ病で数ヶ月休職し、課長職から降格となったという。つまり、メンタルをやられた部下であるEさんに降格を言い渡し、自らも追うように、うつ病を患って降格となってしまった。病み切った職場である。

それら部下たちを踏み台にして、佐藤は部長に昇格し、一ノ瀬は本部長として君臨を続けている。パワハラクラッシャー上司が評価されて出世する、絶望的なブラック企業体質というほかない。驚くべきコンプライアンス意識の低さで、なぜ職場を病気だらけにする会社が上場維持できているのか、経営陣が責任を問われないのか、不思議というほかない。

「WBS?そんなの俺は頭の中でやってるよ」

こうした異常なプロジェクトに所属していたAさんは、課長や部長を飛び越え、たびたび一ノ瀬本部長とも衝突した。これは、AさんがREプロジェクトにおけるソフトウェア開発リーダーであり、一ノ瀬氏がREプロジェクト出身で、同プロジェクトの責任者も務めていたため、プロジェクト上の接点が多かったからである。

「自分も、一ノ瀬さんのパワハラ被害者の1人です。技術開発のテクニカルな問題を報告して、『それはロジックがおかしいですよね』と議論していたら、『あなたの言っていることはぜんぜんリーズナブルじゃないよね!』と、いきなりキレられて、議論ができなくなりました。大声を出して罵倒するタイプで、ロジカルな議論ができません。それ以降、私に対する風当たりが強くなりました」

どういう人物が出世するかを見ることで、その会社のカルチャーはよくわかる。会社の未来を託した『次世代プロジェクト本部』の責任者としてニコンが選んだのが、この人物であった。

Aさんがニコンに転職して感じたのは、開発プロセスにロジックがなかったことだった。

「前職のソニー時代と比べて本当に驚いたのは、プロジェクトマネジメントの概念がまったく存在しない会社だったことです。通常、ソフトウェア開発は、タスクを分解して積み上げることで、納期を見積もっていきます。1日あたり5の作業量が出来る人、10の作業量出来る人、と実績ベースで能力をデータ化する。一方で、タスクのほうもデータ化した『チケット』(作業カード)を作る。両者を、前後関係・依存関係を考えながらスケジュールに落とし込んでいく。こうした『チケットドリブン開発』が一般的ですが、ニコンでは、一切、そんなことしません」

では、ニコン式の開発手法とは、どのようなものなのか。

「タスク分割や、WBS(Work Breakdown Structure=開発構造図)を起こして、っていう話をこちらが言い出すと、一ノ瀬さんから、『そんなの俺は頭の中でやってるよ』と笑いながら言われました。こちらが『本人が頭の中で整理しているかどうかではなく、プロジェクト全体のタスクを見える形で可視化し、関係者間で共有しなければ意味がないですよ』と言っても、まったく理解しようとしません。プロジェクトマネジメントの基本のキなのに、バカなんじゃないかと思いました」

にわかには信じがたいが、このような精神論でタスク管理する本部長のもとで働きたい開発者が、どのくらいいるだろうか。ニコンは“技術は強いが事業化が弱い会社”と言われてきたが、

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「(30代エンジニアのFさんは)人前で泣かされるくらいには詰められてましたから」

2022年3月「お前のやっていることは体制批判だ」と佐藤課長に締め付けられた際のTeamsチャットのGさん発言(スクリーンショット)

「誰にも言うな」と口止めされた。AさんとGさん(第一開発部第二開発課)のTeams記録より(2024年5月)

課長に会議の場で、大声で抗議したことも(2024年12月12日、同僚とのLINEやり取り)。7号館7階(熊谷製作所)=次世代プロジェクト本部の居室。

「今日の会議は半分パワハラの実態として残しておく方がええな」(2023年12月8日Teams記録より)

「熊谷の食堂、売店、下足室の臭いは冗談なしに離職につながると思う」(総合職女性社員の2022、2023年『業務週報』)。フィードバックの仕組みがないため職場環境の悪さは各所に及ぶ。実際に、この女性は退職した。

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