ユニクロ、「入社3年内離職率」46.2%を開示
週刊東洋経済2013/3/9号 |
- Digest
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- 「第3の矢」だった
- 続報&広告に注目
ユニクロはこれまで「新卒採用者の3年以内離職率」について、『就職四季報』(東洋経済新報社)の取材に対し、2005年を最後に開示を拒んできた。開示するとまともな学生に逃げられるとの後ろめたい思惑から、と考えられる。
ところが今回は、開示しないとネガティブな報道となることは避けられないと考えたのか、2007年入社以降の離職率をはじめて開示した。以下の通りである。
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離職率についての記事部分 |
2007年入社~2010年入社の単純平均では46.2%となる。同社の離職パターンとしては、精神的な病から半年程度の休職期間をへて退職に追い込まれるケースが多いため(実際にそのパターンで辞めることになった社員・元社員を3名取材し証言を得ている)、この46.2%に、離職同然で休職している人数も加えると、ちょうど50%を超えるくらいだ。
「第3の矢」だった
もともと、ユニクロの違法性が高い「疲弊する職場」を報道したパイオニアは、ジャーナリストの横田増生氏だ。『週刊文春』で何度か報じた後、2011年3月に『ユニクロ帝国の光と影』という単行本として発表された。内容は至極まっとうなジャーナリズムの王道とも言えるもので、今回の『週刊東洋経済』記事と同様、長時間のサービス残業などで疲弊する現場実態も指摘されている。
韓国語版も発売されるなど話題となったが、ユニクロ側は日韓で出版差し止め訴訟まで起こし、日本では2億2千万円の損害賠償を求める名誉棄損訴訟を起こした。横田氏は訴訟で莫大な時間を奪われ苦しんでおり、私もユニクロ関係者の紹介などで敗訴とならないよう支援している。
この文春訴訟の効果はてきめんで、同社の『週刊文春』『文藝春秋』はそれまで断続的に浜矩子教授による「ユニクロ型デフレ不況」などのネガティブな記事も掲載していたが、訴訟を期に、完全にユニクロ報道から撤退してしまった。
朝日新聞は『AERA』表紙に柳井社長を登場させ、ユニクロから新聞の全面広告を大量に獲得。朝日新書の『柳井正の希望を持とう』を「6万部刷って4万部はユニクロ買い取り」という、リスクゼロでボロ儲けの好条件で発売させて貰うなど、いいようにユニクロに飼いならされている。出版不況のなか、マスコミはユニクロの広告宣伝費を喉から手が出るほどほしいから、朝日がユニクロの問題を積極的に報道することは、ほぼ無理だ。
労働相談を受けているらしい『POSSE』といったNPOも、ユニクロ社員から現場の実態についての相談を受けているが、公表するリポートや本にはユニクロの「ユ」の字も出さない。客観的に見れば、訴訟に発展するブラックな内容を水際で食い止めて不満をガス抜きしてくれる便利な“ブラック企業支援団体”と言える。社名が出ないならユニクロの評判への影響が皆無なので、労働環境の改善には全くつながらない。
私が書いた記事に対するユニクロからの脅し文書 |
こうして、文春の訴訟後に残されたジャーナリズムはうちだけとなり、『ユニクロ、過重労働社会の闇』という連載企画を展開した。月刊誌でもリポートは発表したが、文春の件で味を占めたユニクロは、訴訟を起こすことをチラつかせ、口封じのための脅し目的とみられる「通告書」を編集部に送ってきた(2012年6月)。
結果、『ZAITEN』誌上で続報を打てなくなった。これは中小出版社としては倒産リスク回避のため致し方ない。ユニクロとは財力が違いすぎるのだ。
つまり、これまで筆者としてユニクロ問題を書いたのは横田さんと渡邉だけだった。よって、今回の記事は「第3の矢」として、貴重なのである。
続報&広告に注目
広告宣伝費による支配と高額嫌がらせ訴訟(SLAPP)によって、企業としてのマスコミが手を出しにくい構造なのは分かるが、ときには職業的使命感からやって貰わないと、言論・報道の自由は守れない。実際、1本で約10万アクセスと記事も読まれ、ニーズはある。
言うまでもなく、ユニクロ問題は「企業側と学生側の情報ギャップ」「名ばかり管理職」「サービス残業」「鬱や過労死を生みだす労使関係」「転職市場の未整備」といった日本の労働環境のアジェンダが凝縮されており、ジャーナリズムが積極的に扱うべきテーマであるが、ウェブメディアの孤軍奮闘には影響力に限界がある。
というわけで、「特集でやれば完売、増刷ですよ」と、元から知っていた編集長と記者にプッシュして、蕎麦屋で情報提供者のかたを引き合わせて取材が始まったのが、今回の東洋経済記事だった。特集にはならなかったものの、9ページの中型企画で、思ったよりも踏み込んだ表現になった。僕も文中でコメント協力している。
これまでのユニクロの姿勢から判断すると、おそらく通告書が東洋経済の編集部に来るだろう。ユニクロは、それで続報をストップできると考えている。
したがって、続報を打てるか、がポイントとなる。また、巨額の宣伝広告を東洋経済に投入して懐柔に入る可能性もある。続報と広告。この2点をウォッチしていただきたい。なお、弊社は何のしがらみもないジャーナリズムメディアなので、そこに問題がある限り、引き続き淡々と報道を続ける。関係者からの情報提供をお待ちしている。
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ユニクロなんて規模はでかいけどアパレルってカテゴリで見れば誰の憧れにもならないようなトコだし、とりあえずユニクロで経験してそれから各々の目指す店舗や企業に向かう、ってとこなのかしら(適当)
やるならとことん、か。石の上にも3年はたかが3年。
うーん、どうなんだろうね。
『ユニクロ「離職率3年で5割、5年で8割超」の人材“排出”企業。同社の離職パターンとしては、精神的な病から半年程度の休職期間をへて退職に追い込まれるケースが多い』
さすが「東洋経済」経済紙としては3流と言われるからこそできる所業。
やはり東洋経済に協力していたんだね
財力があるって怖いですね。
訴訟と札束をちらつかせるとはあまりにも「典型的」。個人的には、この1年くらいはユニクロの売り上げに貢献していないが、それくらいしかできないんだよな・・・。
ユニクロの新卒社員と、ユニクロで売ってる商品と、どっちの方が耐用年数が短いのやら。
出版社も体力落ちてるからつらいわな
SLAPPやったらマスコミ全体で全力悪者扱いするくらいの慣習が必要ではないか。この手のは事実でない名誉毀損であればきちんと説明すればそれほどイメージ落ちないはずなので。
採用とか就職活動という奴だデタラメだから仕方がない。IT系も似たようなもんじゃないかな。でも、5・6年前の話だけどユニクロのシステム部門は意外と普通だったりするので面白い(新卒採用はなかったと思う)
これだけの数が全員円満退社であるはずもない。そして、これだけの大企業でありながら未だに組合がない、という事実をあらためて指摘しておきたい。ワタミもそう。
お、おう…(言葉にならない)
これが世の皆様がおっしゃるグローバル化ってやつですか。
母数が大きくてこの数字は衝撃的。
人材使い捨て企業としてのユニクロ。
無数の人柱のうえに、今の帝国ができたという感じか。
貴重な新卒というカードの約半分をドブに捨てさせるユニクロと、多額の広告費と訴訟という”アメとムチ”に飼いならされて問題を報じないメディアの共犯関係、という構図。
店舗系の現場と本社系で違いは大きいのだろうか。本社系は時間管理が強そうに見えるが。
『週刊東洋経済』(2013年3月9日号) / 特集『ネット炎上の処方箋』もある意味皮肉やな。
2009年入社が53%...!?
まじっすか?数字が凄すぎで、ちょっと信じられませんが。これ魚拓した方がいいのかな?//そして、柳井氏は133億ドルで世界66位の大富豪w
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読者コメント
“食い倒れのまち”大阪の台所として、約300年の歴史を持ち、民間の巨大卸売市場として独立を保ち続けた独自の気風と心意気が、他の市場と比べて断然に違います。
お客さんを心から楽しませ、喜ばせようという気持ちが大阪独自の風土と混ざりあい、大阪人ならではのアツいパフォーマンスが感じられるのが、木津市場のたまらない魅力です。
文春さんでユニクロの記事が出るようですね。
「通告書が東洋経済の編集部に来るだろう。ユニクロは、それで続報をストップできると考えている。
したがって、続報を打てるか、がポイントとなる。また、巨額の宣伝広告を東洋経済に投入して懐柔に入る可能性もある。続報と広告。この2点をウォッチしていただきたい。」→文章が、簡潔明瞭、感心します。まるで化学の実験、「リトマス試験紙」でサンセイ、アルカリが判別できる。…渡邊さん、ありがとね。
『給料に見合わないような働かせ方』が『給料に見合った帰属意識(離職率)』を生じさせたという事例だといえる。『こんな働かせ方』や『こんな経営者』が生み出した商品やサービスは買わない・使わないという美意識を持つ消費者や株主は離れていくことになるのだろう。
大和ハウス工業も離職率はユニクロと同じぐらいでした(1990年代後半)。労働時間は大和ハウス工業が上でしょう。なぜ、ユニクロばかり叩かれるのか、理解できません。他にも、ブラック企業はたくさんあるのに。
ずっと不買中!
とんでもない時代に生命を繋いだ事を若者達に詫びなければいけないのか?
職場コミュニティがいたるところで確実に人を殺す。働いていると、殺される。しかし、生活保護や刑務所、路上ホームレスに避難しても、また容赦なく殺される。身の置き場がない!!
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