1. コーポレート系 VS 営業系 #【自律的に仕事内容を選択できる】
❐やりがい―仕事軸『いい会社はどこにある?』
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「やりがい」ある仕事の条件として、#【年齢に関係なく仕事を任される】に続く2つめの条件が、#【自律的に仕事内容を選択できる】である。自分の意志で仕事の内容を選択できると、仕事の「やりがい」はアップする。やりたくないことをやらされるよりも、自分がやりたいことをやっているほうが、やりがいを感じやすい――これは当然であろう。仕事内容を選択するためには、まずは、その会社組織内に存在する職種(=おおまかな仕事内容)と、その人数について、可能な限り把握し、中身を理解する必要がある。職種の実態がわからないと、やりたいか否か、判断がつかないからだ。※
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- 「攻め」の営業、「守り」のコーポレート
- 付加価値を生む3つの工程
- それも営業と呼ぶ
「攻め」の営業、「守り」のコーポレート
基本的な「職種」について理解するうえで、もっとも曖昧で難易度が高いのが、「営業」である。それ以外は、だいたい組織や職種名から想像がつく。たとえば経理部なら、決算や資金調達の計算実務だろうと想像できるし、開発部なら商品の設計実務だろうし、研究所なら基礎研究。組織名=職種となっていることが多く、その名の通りだ。だが営業は、そうでもない。
※したがって、『企業ミシュラン』連載記事では、組織図と人員体制について、できる限り載せている。❐やりがい-2,3,4、すなわち「仕事内容の選択しやすさ」「仕事の目的の明確さ」「本来行うべき仕事への注力」を考えるうえでの大前提が、この、職種についての理解となる。
一般的に、文系総合職で採用された新卒社員の配属先として一番多いのは、広い意味の「営業職」である。これは、大半のビジネスにおいて、そこに人間の頭数が大量に必要となる、という「必要悪」ともいえる構造があって※、学生時代、特に学業や研究に目的意識を持たず、サークルや体育会活動とバイト生活に明け暮れていると、半自動的に、この「営業」へと配属になるパターンが多い。
※日本で一番多い職種は「販売店員」(343万人=2015年国勢調査)で、対法人ではなく対一般消費者向けにモノを売る職種を指すが、これも代表的な「営業」職の一つである。AI・ロボット化(=ネット販売・EC化)によって徐々に減っていくとはいえ、少子化で全体の人材供給が細るスピードが速いため、稼ぐ部門としての営業職の重要性は、揺るがない。詳しくは、「仕事をどう選び、シフトするべきか」、「消える仕事、生まれる仕事」参照
「営業」は実に幅広い言葉だ。まず、すべての会社に営業職がいるわけではない。たとえばキヤノンの場合は、キヤノンマーケティングという子会社が営業機能を担っているため、キヤノン本体は技術職や企画職が中心のゴリゴリのメーカーであり、社内も静かなものだという(営業部門がある組織は、接待だ、ノルマだ、目標達成だ、お祝いだ…と雰囲気が賑やかになる)。
その企業が、開発→調達→製造→物流→販売→アフターサービス…といった「バリューチェーン」(付加価値創造の流れ)全体のどこを担っているのかを理解することは、就職・転職活動の第一歩となる。
営業職とは何なのか |
理系出身者だと、大学院で研究していた内容の延長で、機械系、電子系、物理系、化学系、情報系…と、基礎知識を活かせる配属先となり、ほぼ研究か開発か生産技術への配属となるわけだが、文系出身者は学部の延長に直結する仕事が、そもそもない。大学の単位で「営業学」なるものを学んだり、学業として販売実務を経験している人が、まずいないからだ。
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「コーポレート部門」と「営業部門」に大別される商社組織(住友商事)
付加価値を生む3つの工程
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