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オープンハウス新卒1年目社員が夏休み最終日に自殺しました ④――会社は隠ぺい工作を徹底 「遺族と接触するな」「墓参りも禁止」…弁護士の名刺まで回収

情報提供
さしかえ1枚目
遺族と面会する部屋とは別に、監視部屋が用意されていた

自殺発生後の会社側の遺族対応や隠ぺい工作は、実に手慣れたものだった。2020年10月にも同じく新卒社員が入社半年で自殺、2019年6月にも新卒3年目社員が死亡。オープンハウスがパワハラ的な過重労働で“若き兵員”を失うことはルーティン化しており、株主・メディア・国も黙認を続ける。新卒で入社してまだ4か月余りだったタカシさんが2022年8月に亡くなっても再発防止の動きは一切みられず、むしろ会社側は、事後処理ノウハウの蓄積を思わせる手際のよさをみせた。同僚社員に遺族面談の練習をさせ、わざわざ中継システムを設置した秘密の監視部屋まで用意したのである。

Digest
  • 遺族に無許可で別室で中継監視
  • 事前に「遺族と面会する練習」をさせられる
  • 「罪悪感、いまでも残る」
  • 1周忌の墓参りすら禁止され…
  • そして、職場ではタブーとなった
  • マグナカルタ研修「他の会社はゴミ、オープンハウスが一番」

遺族に無許可で別室で中継監視

「亡くなった1か月後くらいに、タカシの母親が、会社を通して、同僚だった私に会いたい、と言ってきました。直属の上司には会いたくない、という意向でした。これは、母親が上司に対する愚痴を、タカシから生前に聞いていたからだと思います」(元同僚、以下同)

過去の過重労働事案2名死亡
2019年以降で、新卒入社の若者が入社3年目までに死亡した例は、少なくとも3人目。
■活かされなかった1年前の「3号通報」
 自殺発生1年前の2021年8月には、社内から「深刻事案一覧」とともに、「労働局・労働基準監督署方面課・報道関係者」宛に、「告発」と題した公益通報(3号通報)があった。多くのメディア関係者に通報されたと考えられる。
 死亡日まで明記されたその内容は、具体的で信憑性が高く、MyNewsJapanはその裏付け取材を行い、報道した(→「死亡者続出のオープンハウス」「オープンハウス大卒新入社員が3年目に急死、元同僚らが証言」)。
 だがスポンサー企業を忖度するマスメディアは報道せず、ちょうどその1年後に、「次の被害者」つまり本件タカシさんの自死を発生させる結果となった。同社は上場企業ながらコンプライアンス&ガバナンスが機能しておらず、行政機関・投資家・マスコミといった外部からの監視がなければ自主的な改善は不可能である。
※公益通報者保護法により、「告発者探し」「告発者の不利益扱い」は明確な違法行為となります。

遺族としては、生前の息子の様子を少しでも知りたいのは当然の気持ちだろう。

亡くなってから2ヶ月ほど経った10月、遺族と1:1の面談がセットされた。場所は、『大阪梅田ツインタワーズ・ノース』23階のオープンハウスデベロップメント大阪事務所内にある会議室だった。

「当日は、面談は13時からでしたが、集合は午前9時に設定されました。午前中に何があったのかというと、東京からやってきた法務部長や課長らによる、『監視体制の説明』と『面談の練習』でした」

24階。
大阪事務所は大阪梅田ツインタワーズ・ノーズ23階。梅田駅に直結。

何を監視するのかというと、遺族と同僚社員との面談の様子を、生中継で監視する、ということだった。それを示したものが、記事冒頭の図である。

「会議室エリアに行くと、午後から面談する部屋とは別に、監視部屋が設置されていました。モニターがあり、面談部屋の映像が生中継されて映っていました。遺族に無断で、ぜんぶこちらから見ているぞ、というわけです」

これを世間では、盗撮・盗聴・無断録画と呼ぶ。会社のオフィス内なら何をしてもよい、というわけではない。

事前に「遺族と面会する練習」をさせられる

「仕事上のことは、何を聞かれても、いっさい言うな、と命令されました。『ここから映像を生中継を見ているから』という監視つきでした」

遺族には、1:1で、同僚が自由に話しているように見せかけておきながら、裏では監視までしながら発言内容を規制し、業務命令で脅す。もちろん、会社にとって不利な話をされないように、である。

従わなかったら、人事で何をされるかわからない。上司と部下、人事権を持つ会社と従業員、という明確な上下関係をバックに、何を話すかという「内心の自由」を侵害している。

そして、面談の練習として、質疑応答の〝模擬面接〟が行われた。ここまで徹底して対策をする企業も、なかなかない。

「模擬面接は、会社の業務について聞かれたら、すべて『それは答えられません』と答える練習でした

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「同僚だった私が墓参りまで禁じられる理由がわかりません」

「感動」など精神論が大好きな荒井正昭社長。『サービスが感動に変わる時』という著書があるワタミの渡邉美樹社長と共通点がある。(公式採用ページより)

精神論が中心の内定者合宿。不動産業界や学生の間では、オープンハウスの内定者合宿の奇特さは有名。その様子は、X上でも多数、流通している。

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