新聞業界は、再販売価格維持制度の特殊指定(=末端価格の値引き禁止)という規制に守られている。この利権を手離したくないため、新聞業界に都合の悪い情報は流さず、他のイシューでは対立することも多い雑誌も、同じ再販規制に守られていることから、完全にタブーである。
その結果、日本の新聞は世界で最も割高な商品となった。例えば米国で最もポピュラーな全国紙「USA TODAY」は、年契約すれば1ヶ月16.25ドル(=1300円)で購読できる。日本の3分の1だ。定価販売を義務付ける規制がないから、健全な市場競争原理が働いているのである。
日本の新聞が定価販売である理由は、新聞社が不当な利益をあげ、本社正社員の異常に高い賃金と雇用を守るためでしかない。
規制が撤廃され競争が起これば、価格が下がって消費者に利益をもたらすだけでなく、他業界では当り前の新規参入や健全な業界再編も起こる。100年以上前に設立された新聞社だけが横並びで政府や企業の発表モノ記事を流す現状より、明らかに「多様な言論・報道」が保証され、国民の知る権利に応えるようになる。
もし新聞を公共料金と勘違いして定価を支払い続けている人がいたら、割引交渉をするか、必要なときだけコンビニで買うよう、消費行動を切り替えるべきだ。新聞を定価で定期購読することは、すなわち利権を認めたこととなる。
競争原理のない新聞業界は「ゆで蛙」と化し、環境変化に適応できずに滅んでゆく恐竜のごとく、滅亡に向かっている。
本連載では、利権の上にあぐらをかき、国民の知る権利を奪っているマスコミが、自分のことであるがゆえにタブーとしている新聞業界の実態、そして自滅・崩壊の過程を報じていく。
連載が続々、単行本化
→2009年10月
「押し紙」という新聞のタブー
→2009年 2月
新聞販売の闇と戦う―販売店の逆襲
→2007年 9月
崩壊する新聞―新聞狂時代の終わり