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07/09 2009
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ショッピングセンターの各入口にいちいちセキュリティーゲートがある
イスタンブルに来て2週間が経つ。昼間は街を歩き回り夜は読書と執筆・編集だ。テレビがないのもいい。風邪ぎみだった喉もよくなり、健康になった。海外に行くとよいのは、比較して日本を外から感じられるところだ。

■日本は平和だ
 予想外だったのはセキュリティーチェックの厳しさ。空港、ホテル、ショッピングセンターと、入口でいちいちセンサーを通さないといけない。地下鉄でも各駅の入口に1人立ってセンサーを持っている。このコストは莫大だ。

 調べてみると、トルコはつい1年前の7月、イスタンブール西部でゴミ箱に仕掛けられた2発の爆弾によって16人が死亡、100人以上が負傷した。多発するクルド人独立国家の樹立を目指す武装組織「クルド労働者党(Kurdistan Workers' Party、PKK)」によるテロと疑われている。2003年には、英国総領事館と英金融大手HSBCの事務所が自爆テロで爆破され、28人以上が亡くなった。

 このためだろうが、特に飛行機には最大限の注意が払われている。イスタンブルからチャナッカレというトロイ遺跡近くの街へ行くときは最悪だった。「電子機器には特に厳しい」などと言ってPCのカバーまで勝手に外しやがった。変換プラグを床に落とされ、キレそうになった。扱いが雑で、客だとは全く思っていない。犯人だと思ってチェックしやがる。いちいちベルトも外すが引っかかる。どうも自宅のカギが引っかかっていたようだ。両手を上げろ、動くな、と言われ犯人扱いだ。これが空港の入口と、出国時のチェックの2回もある。

 見ていると、メガネや小さいアクセサリーでも引っかかっている。そりゃ、確かに安全かもしれない、政府の威信にかけて飛行機だけは落としたくないのもわかる。だが、国をそんな危険な状態にして、旅行者を不快にさせるような国、2度と来るかよ、という感じである。911以降に米国に行った人もそう感じているはずだ。

 トルコはクルド人の移民に寛容だった。その結果だ、と言うこともできる。移民の受け入れは慎重であるべき、と改めて思った。

 これを見ると、日本でテロをやろうとしたら簡単そのもの、いつでもできることがよくわかる。新幹線でも国内線でも、駅でもホテルでも。それなのに起きないとは、日本はラッキーな国だ(政府が特段なにか手を打ってきた結果でもない)。

 
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アンカラがどうのこうのと表示されてつながらない
■言論規制
 テロと関係があるような気がするが、2か所のホテルで、無線LANからユーチューブにつながらなかった。有線LANでつながったホテルもある。画面表示は右記で、アンカラがどうのこうのと書いてるがトルコ語なのでよくわからない。日本でユーチューブを規制したらさすがに大変なことになるだろう。

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WiiFit。ソフトは日本並みの充実度。
■ソニーと任天堂
 ショッピングセンターを見てまわり、日本製が圧倒的に強いのはソニーと任天堂だ。ソニーはテレビ売り場でも目立っていたが、ゲームでも任天堂の次に強かった。任天堂Wiiは、ゲーム売り場を占有する勢い。トルコ人はNintendoが日本のメーカーだって知ってるのかな。

 約300店が入っている国内最大のショッピングセンターに行ったが、日本発の店はソニーだけで、欧米ブランドばかり。衣料品って世界ブランドが日本にはなかったんだ、と改めて思った。価格帯的に、同じ価格でもユニクロのほうが高品質っぽいので、十分勝てそうだが。やはり日本は、「ゲームと電化製品と車」の国なのだ。(といっても街中を走るのはルノーが一番多いようだ)

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日本では酒のつまみコーナーにあるような干しブドウや干し杏などがバラエティー豊かにおかずとして売られている。ヨーグルトをかけて食べる。朝食ビュッフェでは必ずある。
■日本食は健康だ
 羊肉は苦手なのでどうも馴染めない。この国は、脂っこいものや甘いものが多すぎる。魚はあまり食べないようで、スーパーでも売り場が小さい。貝類や甲殻類になると、ムール貝くらいしかみかけない。

 普段、米・餅・野菜・魚介類中心の私は正反対の環境におかれ、仕方がないのでパンとチーズとヨーグルトと果物でしのいでいる。この時期、スイカとメロンがおいしい。もっと魚介類を食べればあんなに太らないのに。

 特に、遊牧民出身のトルコ人は東方より小アジアに落ち着くまで混血を繰り返してきたため、顔立ちは整っているのに、30代以降の男女の肥満率はすごく、おばさんは全員巨体で歩くのも苦しそうだ。

 日本の基準だとスーパー美少女ぞろいなので、おまえら親子?と言いたくなる母娘連れが目立つ。男性だと30歳くらいから一様にはげてデブっている。日本食にしたらもっと健康な体型を維持できるのに、それでも彼らにとってはトルコ料理がおいしいのだろうか。和食のすばらしさを実感している。

 
16:18 07/09 2009 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(1004)


06/09 2009
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僕が2ちゃんねるを捨てた理由 (扶桑社新書)

 

なんか書評書けと言わんばかりにこの本貰いましたが、まあ私に書かせてもメリットはないかと。ジャーナリストだからタブーないし。

一言でいうと、ひろゆき氏及び2ちゃんねるについて、知りたいことが全部隠されてる本だった。関係者一堂、空気読みすぎ。いつもイチローにくっついてる義田貴士みたいな“安牌インタビュー”は1冊目で十分かと。多くの読者は「知ってて書かない政治家の番記者」じゃなくて、やっぱり立花隆的なものを求めていると思う。

具体的には何かといえば、まあ以下2点が代表的な「編集者は出したいけど本人がOKしないタイトル」だろう。いずれも、ひろゆき氏の天才的なところなので、再現性ある形で書籍にまとめたらベストセラー間違いなしだ。

①「ひろゆきはなぜ逮捕されないのか」
 一部上場企業(ドワンゴ)子会社の取締役を務めているのに報酬ゼロの理由について本書では「貰っても差し押さえられるだけだから」と不敵なコメントを残している。つまり、国内では正規ルートで給与を貰えない身になっているのが、現在のひろゆき氏だ。まさに「裏街道を生きることに決めた男」。スーパーアウトローだ。

 なぜ給与を差し押さえられるかというと、2ちゃんねるへの書き込みを放置した管理者責任を問う損害賠償請求などの敗訴で賠償を命じられており、その支払いを拒否し続けているから。その額がまた、ハンパでない。

 本人すら全体像を把握していないものを読売が執念深く計算しているのがまた面白いのだが、それによると、2007年3月時点で少なくとも43件で敗訴が確定し、賠償額は計約4億3400万円。さらに1日88万円ずつ「制裁金」が増えているそうだから、2年余り経った現在では、およそ11億円に膨らんでいることになる(これが2ちゃんねるを捨てた理由の筆頭なのは明らかだが、本書では触れていない)。

 →敗訴連続のひろゆき氏 賠償額累計約4億円?

 これら11億円の債務踏み倒しを公言しつつ、役員として「ニコニコ動画」を手掛け、このような本も出し、雑誌に連載もやって、と活発に仕事をする神経の図太さは、なかなかマネできない。本書によると何事もロジカルに考え徹底的に調べるというから、現在の法体系では支払わなくとも問題ないことを確認済みということだろう(新規訴訟で加速度的に額が膨らむのも面白くないから「捨てた」といったところか)。

 今後、法改正があって刑事罰の対象になっても、普通は過去に遡って適用されることはないから問題はない。ただ日本の場合、まともな法治国家ではないため、サラ金の「過払い訴訟」のように、過去を覆してくるウルトラCも時々、起きる。仮にそうなっても、既にそれを上回る資産を海外の安全なところに移管済みだから、払えばいいや、というところだろうか。

 この柔軟な考え方は、様々な示唆を与えてくれる。つまり日本という国は一応、法治国家ということになってはいるが、それはタテマエに過ぎず、法の抜け穴を利用して賢く生きる道もあるのだ、ということ。

 たとえば国民年金にしてもNHK受信料にしても各種税金にしても、真面目に法律どおり払う人ほど損をする仕組みになっているのが実態だ。正直者がバカを見る「払い損国家・ニッポン」。さらには国会議員の政治献金にいたるまで、法の趣旨を守らず抜け道を使う議員ほど資金的に有利になる仕組みになっている。

 ひろゆき氏も、表の所得がないから所得税すら払っていないことになる。それでも上場企業グループ会社の役員でいられる。これは日本のコンプライアンスの相場上は、特に問題ないことを意味している。

 ここに、日本のDNAがはっきりと浮かび上がる。「額に汗する労働者が報われる社会に」などと検察は言うが、それがいかにタテマエであるかは、こうした穴ぼこだらけの法律を見れば一目瞭然。その欺瞞を、ひろゆき氏に指摘してもらいたいのである。

 もしくは、日本は本質的にそういう国なのだから諦めて、法の抜け穴を調査し、ロジカルに徹底研究して、タテマエに縛られずに生きる人生術について、語ってもらえばいい。特に日本は出る杭を打つ、新しいもの(2ちゃんねるもそうだ)を打ち砕く社会なので、その際の対処法としての重要性は高い。

 具体的には、「罰」が与えられる相場観が重要なテーマとなる。現状では賠償金債務11億円は払わず1億円超の年収を公言し(おそらく海外口座)、上場企業子会社の役員として活躍できるので、そこに「罰」は微塵もない。

 自社株で表ガネ140億円キャッシュアウトしたホリエモンは逮捕され懲役という「罰」が確定しそうだが、ひろゆき氏の賠償金無視&年収1億円超(国内の給与所得ではないので実質裏ガネみたいなもの)はOKとされる日本。

 その線引きは一般人には見えないが、ひろゆき氏には見えている、というわけだ。この相場観が、イコール国家権力の及ぶ範囲ということになる。国民は、この見えない線を知らないと安心して生活できないのだから、ぜひ解説していただきたい。

 ほとんどの人が車を運転すれば制限速度オーバーでスピード違反を犯すように、日本人は常にタテマエ上は全員違法状態で、そのなかから誰を逮捕するかは、相場観に基づく国家権力の裁量次第なのだ。

 その論理について、現在収監中の元ライブドア・宮内氏は著書『虚構』のなかでこう述べている。
堀江や私は、違法は論外としても、法の網の目をかいくぐる行為は合法なら許されると信じていた。それに、合法の積み重ねが邪な脱法意識のもとで行われると、国家権力はその脱法を許さないという「国家の論理」を知らなかった。要は未熟だった。

 少なくともひろゆきレベルは全然OK、というのが今の国家権力(検察、警察、国会)が出している答えなのだ。

②「ボランティアに働かせてトップは年収1億稼ぐ仕事術」
 これが2つ目の案。この本が出たら、まず、すべての経営者が買うだろう。これは2ちゃんねるのビジネスモデルの根幹をなす部分である。ボランティアワーカーに金銭ではなく「自分の遊び場」といった“オーナー感”のような対価を与え、削除業務や板の統廃合業務などの仕事をボランティアでやってもらい、自分は広告収入などで、自称年1億3千万円をガッツリ稼ぐという、超・経営論。

 このスタッフの「モチベーション・インセンティブ管理」の手法は、天才的というほかない。NPOの経営にも適用できるのではないか。次期総理予定の鳩山「友愛」由起夫氏がしきりに言う「ボランティア経済」の理念にも通じるものがある。

 具体性や方法論がまったく見えない鳩山氏だが、その点、ひろゆき氏は実績がある。ゲームと睡眠ばかりで「1%のひらめきと99%の他人任せ」によって、「仕事といえばボランティアの人たちの小さな揉め事の仲裁に入るぐらい」だというからすごい。

 その暗黙知を形式知化できれば、教育・介護・医療・子育てといった分野の国家財政への貢献は計り知れないだろう。

 以上、お友達感覚の馴れ合いや対談本はもういいので、ガチで上記に挑戦してもらいたい。

 
21:22 06/09 2009 | 固定リンク | コメント(40) | アクセス数(47614)


05/16 2009
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私は右上です。現在の政治家には誰もいませんが。

 民主党・守旧派が勝ってしまった。つまり、旧社会党系、旧民社党系、羽田グループ、2007年参院選で小沢代表のもとで当選した小沢グループ。これらは、どうみても旧体制の出身者ばかりだ。古い体質の人たちが勝って、長妻、前原、仙谷、福山、野田といった、岡田氏を推した主だった若手改革派が負けた。

 次の総選挙は、世論の支持が高い岡田なら圧勝で単独過半数、鳩山なら「第一党だが単独政権は無理」というレベルだろう。となると政権運営は安定せず、また小沢が「趣味」の離党を始めて、鳩山政権は短く終わり、来年の秋ごろには政界再編に突入する可能性が高まった。

 そのとき核となるのは上げ潮派(この内政マップの右下)しかありえないので、そこに近い岡田・前原といった民主党若手改革派は、「あのときは負けておいてよかった」と振り返ることになるのではないか。

 なぜなら、ごった煮のままの民主党でこの秋に単独政権をとっても、また内部対立で分裂し、政策を遂行できないからだ。

 それにしても昨日の“ディベート”はイマイチだった。次期総理になりそうな人物がいるのに、記者は、どうやって日本の経済社会を活性化するのか、という具体策を聞かない。記者クラブ重鎮の皆さんらしく、どうでもいい政治部仲間内の質問が目立った。どんなアホなのか、質問者の顔と所属もさらさないと不公平だ。

 この前の小沢の辞任会見でも「議員辞職しないのか、離党しないのか」と荒唐無稽な質問をしてバカにされた日テレ記者(七尾藍佳らしい)がいた。あれはテレビとして怒った絵が欲しいといった高等戦術ではなくて、単に無知なだけだと思う。ニュース番組で現場レポーターやってる程度の子をあの場に送る日テレの神経がわからん。

 では、今回のような場で、記者はどういう質問をすべきか。
 本当の改革は、必ず痛みを伴う。必ず既得権を奪われる人がいる。それについてどれだけ質問できたか、そして、候補者はどれだけ応えられたか、が唯一のポイントである。

 今回の会見では、質問もしないし、答えもなかった。まさにゼロ。「官僚」という極めて曖昧な都合のよい言葉だけを敵にしていた。

 仮に具体的に言わせるのは難しくても、間接的に推測できるよう、答えを引き出すことは可能だ。

 たとえば、経済政策の顧問として誰を起用したいか、ということを表明させる。「小泉元首相は構造改革のために竹中平蔵氏を起用した。あなたがたは誰を起用したいか。誰の政策に近く、共感しているのか。もちろん希望でよい。海外の人物でも歴史上の人物でもよいから具体名を述べよ」

 ディベートのなかで、両者は経済政策について以下のように語った。(まず「全治何年ですか?」という子供じみた質問をした記者の顔は映してあげるべきだ)

鳩山「消費者の立場に立って家計を2割アップする戦略を考える」
   ・子供手当て計31万2千円、中学卒業まで、を永続的に。
   ・失業手当が降りない人に対し月10万支給しつつ職業訓練。
   ・農業、漁業の個別補償制度。
   これらが、内需拡大に資する」

岡田「景気がよかったのは小泉改革の結果ではなく輸出が増えただけ。
   内需拡大のため医療、介護、教育を。アジア全体で成長していく。

 何を言わなかったか、がポイントだ。鳩山氏が小沢政策をそのまましゃべったのに対し、岡田氏は一切ふれず、アジアシフトだけに言及。小沢-鳩山体制が打ち出したバラ撒きには反対であることを暗に示した。

 現政権のおかげで国債発行が増え長期金利の上昇を招くのでは、というちょっとまともな質問に対しては、

鳩山「207兆円のなかで議論し、無駄を排除する。官僚の手の内に乗ると財源が足りない、ということになる。仕組みを組み替える」

岡田「207兆の1割、20兆は出てくる。財源なくして政策なし、という立場だ」

鳩山「友愛とはボランタリー経済、コミュニティー経済だ」

 鳩山氏がやりたいことは分かるが、ちょっと浮きすぎな印象。もっと具体的な政策にどんどん言及しないと理解が広まらないだろう。

 岡田氏はバラ撒き派ではないので、前原、仙谷らとともに、自民の上げ潮派と組んで、再来年あたりに構造改革をやる中心メンバーになると私はみている。この内政マップでいうところの、右下(+右上)である。産業保護派(バラ撒き派)が経済を復活させることはありえない。

 以下、5/15会見のなかで政策に言及した部分をピックアップしておく。


■地方分権
鳩山「私は地域主権をやるために民主党を作ってきた。一括交付金(色のついていないカネ)を基礎自治体に配布する」

 地方分権なんて、誰も反対しない。私の学生時代でも、既に古くから議論されている話だった。ずっとみんなやると言って官僚の抵抗でできなかった。いまどき中央集権だ!と言う人なんて誰もいないんだから、「なぜこれまでできなかったのか、どうして自分ならできるのか」について具体策を言わない限り、何も言っていないに等しい。サブ(中身)じゃなくて、ロジ(プロセス)の問題。

■政治献金
 両者が共通して言ったのは「3年以内にパー券を含めた企業団体献金を禁止」。これは政権さえとれれば実現しそうだ。岡田「個人献金を集めやすいよう、控除の仕組みを拡大する」。

■消費税
鳩山「消費税は議論しない。」
岡田「おそらく4年間、消費税は上げないが、消費税の増額分を最低保証年金の財源にするので、議論はセットでやる」

 4年後なんて分からないので、ようは4年間は消費税が上がらない、ということだ。はっきり言ってしまったので、鳩山が突然上げると言い出したらかなり批判されるだろう。

■外交
鳩山「小沢さんは国連至上主義。私は国連中心主義。武力行使には歯止めをかけるべき一線がある。」

岡田「武力行使は国連決議があっても認められない。9条から外れてしまう。ここは小沢さんと違う。武力行使に至らない範囲では、もっと広範に国際貢献したほうがいい」

 
02:33 05/17 2009 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(980)


05/08 2009
 いつも年収ランキングベスト10の常連ながら、キーエンスは5年前から謎な会社だった。このほど取材することができ、かなり納得することができた。

 最大の強みは、社員の過半数を占める営業マンにあるのだが、まず、採用するのは「新卒23歳のピチピチの若い男の子©城繁幸」だけ(申し訳程度に女性もとるがすぐ辞めちゃうから、全社で1人しか女性営業はいないという)。それを親元から隔離し、借り上げマンションに集団で住まわせ、パーソナルコーチ(入社3~4年目)までつけて、純粋培養で洗脳する。

 朝から夜まで14時間、分単位で管理され、監査まで受ける。夕食はカロリーメイトのみで生産性アップ(食事を摂ると脳に血が回らないからだろう)。

 その代償として32歳で1400万円だ。その頃までいる人、つまり9年もやってる人は、“ストレステスト”をかけても、誰も資本注入必要なし、となるくらいストレス耐性が身についている。転職先は沢山ある。

 逆に、「全員が要資本注入」となるのが新日石の営業マン。ガソリンスタンドは場所が命だから、全国各地の「いい場所」にエネオスを配置した時点で勝負は終了。営業マンがSS周りを頑張っても頑張らなくても勝手に売れていく。他社に転職できる人は皆無だ。

■人間は、最初に入った環境には容易に順応する
 こうしてみると、社会人1年目のスタートが決定的に重要だ、ということがよくわかる。キーエンスでは「1日14時間、分単位で管理されるのが営業の常識だ」という空気ができあがるそうだが、このキーエンス式常識をインプットできるチャンスは、新卒1年目だけだろう。人間は、動物の「刷り込み」現象と同じく、最初に入った環境に順応しやすい。

 だから、新卒でいきなり非正規社員になって2年もやってしまったら、もう取り返しがつかない。人事もそこを見ている。IBMの採用マネージャーに話を聞いたことがあるが、年齢よりも、社会人キャリアをどこでスタートしているか、「ファーストキャリアが重要」だ、と言っていた。

 これはその通りだと思う。だから、「28歳まで学生やってた人」のほうが、「23歳で卒業してハケン歴5年の人」よりも、はるかに採用されやすい。

 外資には年齢給などないし、日本企業でも純粋な年齢給は朝日新聞や全日空など一部の規制産業くらいになったから、年長の非正規社員が正社員になれない理由は、年齢給があるからというよりも、むしろ社会人1年目に正社員としての教育を受けられなかったことにある。

 いったんついた“非正規色”を塗り替えるのはもう無理だと人事が見ており、しかもそれは事実として正しいから、やっぱり新卒が欲しい、となるのが企業にとっては合理的な意思決定である。だからキーエンスは営業を中途でとらない。なにしろ、最初の洗脳教育で「分単位14時間管理」を常識化することこそが、キーエンスの競争力の源泉なのだから。

 キーエンスの成功は、いかにピチピチの新卒がコロっと洗脳されやすいかを、雄弁に物語っている。外からみたら非常識なことを常識に変えられるチャンスは、新卒1年目だけなのだ。

 そう考えると、既に発生してしまった年長非正規の人たちは、残念ながら取り返しがつかない。社会全体として傷口を広げないためには、正規と非正規の均等処遇(特に雇用と給与)を義務付け、これから社会人になる人に対し、社会人1年目により多くの人がまともな教育を受けられるように、その絶対数を増やすしかない。

 現状では、使い捨ての非正規に教育費などかける理由がなく、逆に40年も雇用しなきゃいけない正社員には莫大な教育・研修・OJTを施してでも1人前に仕立て上げるしかない。この差が、その人の職業人生に与えるインパクトは決定的なものだ。

 この身分格差を、政府が人為的に作り出している現状は、まさに罪というほかない。雇用法制(=解雇法制)、賃金法制(=企業内同一労働同一賃金)の均等化は、今すぐにでも実行しないと、今こうしている間にも、この不況下で、不幸な非正規社員が量産されつつあるのだ。

 
11:59 05/08 2009 | 固定リンク | コメント(4) | アクセス数(10122)


05/07 2009
連休中、ちょっと油断して外出してしまったところ、ユニクロが30人くらいレジで並んでおり、買い物すらできず後悔。サラリーマンは行動に無駄が多くて大変だなぁと実感した。「フォーエバー21」が並んでてヒットしてるとか報道していたが、単に不況で安い割にまあマシな店に殺到してるだけだと思う。

今はちょうど小渕政権時代。不況でバラマキのカンフル剤を注入→もちろん1年も持たずに失速、森政権で絶望的な状況に陥り支持率1ケタに→小泉政権で根本的な治療、すなわち不良債権処理&構造改革で景気回復。だから、次の次の政権(再来年か)まで不景気は続くね。今回の不良債権は人材の不良債権、つまり貰いすぎの正社員たちだけど。

私は人ごみがダメなので電車にも乗らないようにしているが、休日は人出が最悪なので家に篭り、平日にジムや映画や買い物に行く。というわけで連休は、ひたすら紀行文を書き、寝だめしていた。下記がベトナム紀行文。「旅」カテゴリに、やっとコンテンツが入った。

1:文化帝国主義論ふたたび

2:三井不動産化する世界

3:いわくつきの土地

4:サービスの本質

5:ろうそくがいらなくなった街

学生時代に書いたものが今読んでもなかなか面白いせいか(これは日経の人事部に出す前提で書いたから、というのもある)、あまり進歩してないような気もする。

 
23:38 05/07 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(472)


05/01 2009
内定取消し、過去最悪2083人=自宅待機は1000人超-厚労省調査
 厚生労働省は30日、企業から採用内定を取り消された今年3月卒業の学生数が2083人だったと発表した。山一証券破綻など金融危機の影響を受けた1998年3月卒(1077人)の2倍近くに相当。現行方式で統計を取り始めた98年以降で最悪の水準となった。また、企業が内定者に自宅待機や入社延期を指示した人数を初めて公表、4月23日時点で1023人に上った。世界的な不況の中、厳しさを増す就職の実態が改めて浮き彫りになった。
 内定取り消し人数は4月24日時点の集計結果で、前回調査(3月23日時点、1845人)に比べ238人増えた。内定を取り消した企業(支社、営業所ベースなど含む)は427社。人数の内訳は大学卒などが1703人、高校卒が379人、中学卒が1人。
(4月30日14時55分配信 時事通信)

 まあ、そりゃあ、そうだろう。どんどん内定取り消しができるよう、政府が企業名を隠しているわけだから。企業にとって不名誉な情報は、国民の眼にふれないよう、役人がガッチリ守ってくれる国です、日本は。

 国民の生活よりも企業利益を優先させるという点で、この国は戦後、一貫してやってきた。いまだ戦後体制を維持しているわけです。「国民の生活が第一」と言ってる民主党は、こういう情報を公開させられるかどうかで本音が分かるので、政権交代後はよく見ておきましょう。

 これからも内定取り消しは、どんどん増えます。だれも監視する人、いませんから。この国には、ジャーナリズムが存在しないうえに、逆に、厚労省様の発表モノを各マスコミが無批判に垂れ流してくれるわけで。もう、ビックリですよ。こういう調査報道、ウチしかやらないんだから↓。

厚労省、内定取り消し企業名を全面不開示 「法人の権利害する」

 どうせ隠すのなら、最初から調査もやめちゃって、その分、役人を減らしたほうがよほど国民のためになる。結果を公表しない調査、役人の裁量権を拡大するための調査など、税金の無駄遣いそのものですから。

 
03:39 05/01 2009 | 固定リンク | コメント(3) | アクセス数(532)


04/28 2009
ヨセミテという会社を去年始めたお2人に会って話を聞いた。「ITを公共政策に」というコンセプトでやってる志の高いベンチャーだ。それだけなら思いつく人もいるかもしれないが、ポイントは、やる人間が技術も実績もカネもある、という点。

楽天IPOと「フォートラベル」のカカクコムバイアウトでダブル成功を収めた津田全泰氏と、ミクシィ創業メンバーIPOの塚田寛一氏が経営している。既に2人ともミリオネアだから、短期的な利益などおかまいなしに、ビジョナリーカンパニーを目指せる。しかも技術も経験もあるから失敗の確率も低い。

2人とも普通の会社に入らず「いきなりベンチャーに就職」という奇特組だ。塚田氏など東大法学部だから、気が狂ったと思われても仕方がない状況だったろう。

津田氏は楽天三木谷氏のもとで、塚田氏はミクシィ笠原氏のもとで、社員10人未満のスタートアップ時代から成長を支えてきた超ハードワーカーだったのに、その面影を微塵も感じさせない。

通常のビジネスマンや不況で汲々とするベンチャー経営者と違って、もう全身から余裕たっぷりオーラ。だから成功できたのか、成功したからそうなったのかは今となっては分からない。もう少しプレッシャーがないと事業は進まないんじゃないか、と不安に感じたくらいだ。

成功するベンチャーというのは、こういう優秀な学生を惹きつけ、最大限、使い倒すのだな、と実感した。そして、2人ともタイプが似ていて、実に運の良さそうな、上司にかわいがられそうな顔をしている、と思った。

いろいろ興味深いプランを聞いたが、発表前は差し障りがありそうなので、私のほうからお話したことを書きとめておく。


私も「公共政策にITを活用する」との理念に賛同する。現在の日本は、人間の善意が生かされにくい残念な社会だ。寄付の税額控除すらろくにできないし、政治献金の税額控除もできない。生活者よりも財務官僚の裁量が優先される官僚主権国家だ。これをITの力で変え、民主国家らしくしていく余地はいくらでもある。

たとえば私はコンビニで釣り銭をユニセフなどの募金箱に入れる。小銭はうざいし、募金したほうが気分がいいからだ。最近、iDやエディで決済するようになり、小銭が出なくなったから、募金額が減った。だが私の善意が減ったわけでは全くない。善意を活かす仕組みが、日々の生活から1つ消えただけだ。

人々が持つ善意を、最大限いかせる社会というのは、すばらしい社会である。だが、コンビニ募金の例でいえば、募金額はIT化によって減ってしまったことになる。ヨセミテがやるべきなのは、この逆のことだ。IT化によって善意が活きる仕組みづくりである。

たとえば、EDYで決済した額の1%をプールする仕組みを作る。それをどの団体に寄付するかは、自分で決めることができるようにする。環境でも教育でも人権でも、その人が興味を持つ分野の、具体的なNGO名(ユニセフなど)も指定できるようにする。

その、募金→プール→募金先指定→団体の情報公開(どう活かされているのかが分かる)のウェブ上のプラットフォームを、ヨセミテが作って運営する。楽天のように、人気NGOランキングなど、CGMで培ったノウハウを適用。ミクシィのようなSNSも組み込み盛り上げていく。

ここで決定的に重要なのは、運営会社だ。こういう話は、たいてい週刊金曜日などから連想される、ちょっとあやしげで間違いなく貧乏な市民団体系の人たちが考えるので、一般社会人からの信用を得られにくい。

だが、ヨセミテの最大の強みは、経営者2人が、「もう私たちは億万長者だから、これ以上悪いことをしてリスクを冒して稼ぐモチベーションが、何もないんです」と言い切れることだ。

そして第2の強みは、楽天とミクシィという2大CGMを成長させたというITブランドをまとっており、優秀なウェブシステムを運営してくれるだろう、という信頼感である。さらに学歴も含め、信用を担保する条件は、すべては揃っている。

経団連の「1%クラブ」には嫌悪感を示す若者も、ヨセミテの2人になら運営を任せるだろう。経営情報を開示すれば誰も文句はいわないだろう。経団連のような、政治力にモノを言わせてカネ儲けをしているイメージは2人にはない。起業によるカネ儲けはリスペクトされるべき存在なのだから、堂々と運営に乗り出してほしいのである。

日本では2ちゃんねるのように、負のエネルギーを増幅するITは盛んだが、善意を増幅させるITプラットフォームがない。だから、それをやるんです!と宣言してほしいのである。

 
03:32 04/28 2009 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(575)


04/26 2009
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 「若者は社内で正社員のポジションにしがみつき、できれば一生いまの会社に勤めて、社内出世を目指したい。そのためには良心に反する手段でも指示通りの仕事をするしかない。起業なんてしたくない。」

 生産性本部が新入社員に対して継続的に行っている調査で、上記のような傾向を示す指標が出ている(有効回答数2348通)。はっきりいって、絶望的である。

 サラリーマン(=正社員)というのは将来、自分でやりがいのある仕事で独り立ちするための、20代のキャリアステップ、研修期間にすぎない、というのが私の持論なので、間違った意識を持っていることに非常に残念だ。

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「良心に反する手段でも指示通りの仕事をする」が過去20回で最高となった(40.6%)

 

 

 これでは、個人も国も不幸になるばかりだ。日本のサラリーマンなど、独立した大人でさえない。自分で住むところも選べず、仕事内容も選べず、2週間連続で休むのもほぼ無理。自分の頭で正しいと思ったことを押し殺し、ストレスを溜めてでも良心に反する仕事をさせられる。その代償として、毎月一定額の小遣い(給与)を貰う。

 ようは、それまで親の扶養下に置かれていた学生が、会社の扶養下に移るだけであって、本質的には子供だ。自分の頭で考えず、親の命令だから、と良心に反する指示にも従う。そういう“子供人間”でいいや、と若者に思わせているのだから深刻である。

 その先に何があるかというと、まず個人のモラルは崩壊する。仮に人事部に配属されたとして、悪質なリストラや偽物の成果主義を推し進める担当になっても、会社の指示だから、と大人しく従う。「エノラゲイに乗って原爆落してこい」と言われたら躊躇なく従う。告発本を書いたり、私のようにウェブで会社を批判するなど、もってのほか。つまり、言論の自由がない社会になるということだ。

 国についていえば、新規産業が生まれないわけだから、日本の経済社会は、長期縮小・停滞へと、ただただ向かう。グーグル、アマゾン、マイクロソフトといったIT産業は日本では起きず、日本人はそのプラットフォームに組み込まれて搾取され続けるのみである。

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 なぜこうなるのかといえば、政府が「正社員になって会社に人生を預けるのが一番のお得だよ」というメッセージを発し続けているからだ。

 正社員を過剰保護し、非正規との格差をこれだけ見せ付けられれば、正社員のイスをエグジットしたアウトサイダーになろうと思う人が減って当然。退職金優遇税制を残している限り、リアルタイムに実力で稼ぐよりも会社に定年までしがみついたほうがいい、と思って当然。

 あらゆる政策が、正社員としてひとつの会社にしがみつく人間が一番有利になるようにできてしまっていて、それを政府が全く改めようとしない。秋に生まれる民主党中心の新政権では、日本で新産業を起こし育てる、という確固とした理念を打ち出し、ゼロベースで政策を作り直してほしい。

 
02:14 04/26 2009 | 固定リンク | コメント(4) | アクセス数(736)


04/23 2009
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 「おくりびと」は悪い評判をまったく聞かない。ホリエモンは「これでもか、これでもかー、と涙、涙の連続です」と書いていた。これはハズさないと思い昨日観に行ったら、確かにそのとおりで、中盤から最後まで涙が止まらない展開であった。

 私は目覚まし時計を持っていない。午前中に1回しか上映してないのでケータイのアラーム機能まで使って起きて観に行ったかいはあった。あっという間に終わった感があり、ひとつも分かりにくいところもなく、鑑賞後感がとてもよい。

 このテの、宗教、科学、生死といった人類共通のテーマをジャーナリスティックに描いた社会派映画は私が一番好きなタイプだからツボにハマった。「コンタクト」や「もののけ姫」と同じ部類に入る映画だと思う。深淵なテーマには久石譲の音楽がまたよくハマる。

 アイドルグループ「しぶがき隊」のモッくんが白髪が交じる歳になり、立派な俳優になっていてビックリ。しかも、このテーマの企画立案者が13年前のモッくん自身だということで、2度ビックリ。

 かなり現場の情報収集や確認を重ねたと思われ、まさに宮崎駿なみのジャーナリズム活動だ。そして自分で主演してしまうのだから、日本では類のない、日本版ジョディ・フォスターのような男だ、と思った。滝田洋二郎がいちおう監督だが、この映画の本質を伝えているのは滝田ではなく本木なのだ。

 映画の中身はネタバレ自重であまり書かないが、まあ映画だから、それはないでしょ(夫の職業を何ヶ月も知らない…)とか、ちょっと出来すぎなプロットで予想できてしまう展開(失踪親父の最期…)になっていたりするのだが、予想を越える部分の重さが感動させるのだろう。

 今調べて分かったのだが、クライマックスの父親役が峰岸徹だったとは。私の記憶にあった昔の峰岸徹ではなかった。そして現実の峰岸氏も昨年10月に亡くなってしまう。既に撮影の時点で癌が進行していただろうから、演技だけではなかったわけだ。

 この映画の示唆はいくつもあるのだが、この峰岸氏の役が象徴していた。まず、親子関係は長さではなく、深さ・瞬間・密度だよね、と。

 そして、命ははかない、死を意識して生きよ、と。納棺の場面はいくつも出てくるわけだが、そこで遺族や友人、後輩たちからどう送られたいのか。それを考えると日々が変わるし、職業観も変わるだろう。このテーマはキャリア形成にも深く関わり、私の興味分野だ。以下に、いくつか紹介しよう。

スティーブンRコビー「7つの習慣」(キングベアー出版) 
 葬儀で述べてほしい弔辞を注意深く見つめれば、あなた自身の本当の成功の定義を見つけることができるだろう。それは今まで考えていた成功とはかけ離れたものかもしれない。名声、業績、お金などは、あなたが本当に考えている成功と何ら関係がないかもしれない。

スティーブ・ジョブズ「スタンフォード大卒業式での伝説のスピーチ」(YouTube)
 毎朝、鏡をみて自問自答しました。「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか。」「NO」という答えが幾日も続いたら、私は何か変える必要があると知るのです。

PFドラッカー『プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)
 何年か前に、かかりつけの腕のいい歯医者に聞いたことがある。「あなたは、何にょって憶えられたいか」。答えは「あなたを死体解剖する医者が、この人は一流の歯医者にかかっていたといってくれること」だった。この人と、食べていくだけの仕事しかしていない歯科医との差の何と大きなことか。

 いろいろな人が、同じことを言っているが、その通りだと思う。
 というわけで、この映画は、20代のあるべきキャリア形成にも役立つだろう。

 私は以上のような感想だった。みんな、何を考えて観ているのだろうか?(特に、死を意識する年齢の人たち)

 平日午前なのに、レディースディだとかで込んでおり、爺さん婆さんやおばちゃんグループが多かったが、観察していると、私のように眼を赤くしている人はほとんど見かけず、サバサバしたものだった。達観しているというか、年とともに感受性は鈍り、涙も枯れていくのかもしれない、と思った。とにかく1万円くらいの価値はあったのでオススメしておく。

 
05:16 04/23 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(2802)


04/17 2009
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週刊誌というのは本当に「買って読むところがないメディア(中吊りと立ち読み1分で十分)」なのだが、また嘘がバレたそうなので、ケーススタディとしては貴重と思い、半年ぶりくらいに『週刊新潮』を買って読んでみた。だが、どうにも消化不良な内容であった。

自分でスクープと題してデカデカと誤報を4回も連載し、その誤報の過程を再びスクープ扱いでトップ記事として載せるというマッチポンプ状態。もはや末期的であることは誰の眼にも明らかである。

ただでさえ週刊誌は信憑性が低く、もっともネットに食われている媒体なのに、とどめをさされたかな、という印象。既に広告費ではWEBに抜かれて4位転落しているが、これまでは、かろうじてニュース媒体としての価値は残っていたと思う。だが、少なくとも私のなかでは、これで週刊誌は完全に終わったな、という感覚を強く持った。

アサヒコムより
週刊新潮は1月下旬から4回にわたって、島村氏の手記を掲載した。16日発売の「おわび記事」は物証が見つからない中で、「実名での告白を重く見過ぎた」「証言が詳細だった」ことを挙げ、取材した関係者があいまいな対応をしたことで「状況証拠が積み重なったように錯覚した」などと説明。一方で「架空手記」でも「捏造(ねつぞう)」でもないとし、「報道機関が誤報から100%逃れることは不可能」と抗弁した。

島村氏はカネ目当てで朝日の記者を襲撃したと言っているのに、依頼したというアメリカ大使館職員からいくら振込まれたのか、といった基本的な数字が出てこないのにビックリ。ずっと疑問に思いながら読み進めても、ついぞ触れず。取材でそんなことも聞いていないんだろうか。書けないならば、その理由を記すべきだろう。

ぜんぶ読んでも、結局、「島田氏が真犯人でない根拠」が何ひとつ伝わってこない。それどころか、これだけ読むと、いかにも、まだ島村氏が犯人である可能性がかなり高いと読めてしまうのに、本人が否定し始めたからといって、早川編集長は「誤報でした」と謝罪している。意味不明だ。本人による否定と犯行の事実関係は別の問題である。

これで、あとから証拠が見つかってやっぱり島田氏が犯人だった、となったら恥の上塗りではないか。ということは、おそらく、とても外には恥ずかしくて言えないような決定的なミスが編集部内にあって、100%誤報である根拠が別にあるのだと思う。それを書いていないから消化不良なのだ。はっきりしないお詫び記事である。これで検証記事かよ、と思った。

教訓としては、頭の中で空想、捏造することは簡単で、世の中に詐欺師はたくさんいるのだから、証拠がない状態でこんな大事件を記事化してはいけない、ということだ。当り前のことだし、私もMyNewsJapanでは証拠を重視している。


一方、日テレの「バンキシャ!」は岐阜県庁の裏金についての捏造証言を垂れ流したわけだが、取材した制作会社の人間(もちろんプロとしての訓練を受けていないアマチュア記者だ)と証言者がグルでやった可能性が高い。薄々ウソだと思っていても、アウトプットを出さないと制作費を貰えないから、流してしまえ、という話になる。日テレの社員プロデューサーは取材に立ち会わないのだから、チェックしようがない。

ただ、テレビが雑誌よりましなのは、映像から判断できることだ。たとえば日テレが流したような、顔も声もボカした証言ならば、全部ウソに違いない、と推測できる。だが雑誌の場合、文字だけだと、映像が不要な分、捏造が簡単で、見抜くことも難しくなる。

「経験豊富なプロの記者が証言者と向き合い、重要事項については物証を押さえる」。新潮も日テレも、こういう基本ができていなかったというだけの、極めてレベルの低い話なのだった。

 
08:58 04/17 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1057)



ココで働け! “企業ミシュラン”

渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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