記事一覧
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インバウンド・ツアーガイド「全国通訳案内士」は70代後半でも年収1200万円稼ぐ 《生きがい》と《稼ぎ》の両立①――80歳まで食える仕事医療の進歩で「人生100年時代」が目前に迫るなか、我が国の少子化は政府が想定する以上の速度で進行しており、老後を支える年金・医療の財政は逼迫している。できる限り多くの人たちが国に頼らず80歳くらいまで現役で働き続けねばならない状況は、もはや避けられない。体が元気なうちは生涯現役――が、否応なく求められている。すでに少子化で人手不足が深刻なため、高齢でも求人案件には困らなくなった。たとえば、タクシーやバスの運転士、配送、警備、清掃、外食小売のスタッフ、介護職員などだ。いずれも社会基盤を支える重要なエッセンシャルワークで、もとより職業に貴賤はない。2025/06/08
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オープンハウス設計職の新卒女性はなぜ入社半年で自死したのか 労災不認定取消訴訟から浮かび上がる「安全軽視」の企業風土オープンハウス・ディベロップメント社の設計部門に大学新卒で配属された女性社員が、入社からわずか半年あまりの2020年10月、自死によりこの世を去った。遺族は、女性が生前交際していた先輩男性社員の証言から「長時間の持ち帰り残業」による過労死を疑い、労災を申請。しかし労基署は認定せず、これを不服として見直しを求める訴訟が続いている。訴訟に補助参加したオープン社は、先輩男性社員との人間関係の悩みが自死の原因で会社に責任はないと主張、「長時間労働説」を真っ向から否定する。いったい何があったのか。2025/06/04
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1.組織依存の安定VS組織横断の安定 ♯【雇用安定性にギャップがなく納得性が高い】 ❐雇用―対価軸『いい会社はどこにある?』雇用の安定には、「1つの組織に依存する安定」と、「組織横断的な安定」の2種類がある。前者の典型は東京都庁だ。「地方交付税※」を受け取っておらず、首都の強みで企業も人も集積しているため、独自財源が有り余る。後者の典型が、医師という資格である。37年間も医学部が新設されなかった規制によって医師が供給されず医師不足となっており、組織に関係なく、だいそれた犯罪でもしでかさない限りは、死ぬまで仕事があるのは、ほぼ間違いない。これを図で示したものが、右記「雇用安定マップ」である。2025/06/01
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JT 手厚い福利厚生で実質「総合コンサル会社より高い」初任給、社長は6億円麻薬・ギャンブル・エロ・戦争…欲望に忠実な産業の周辺は、常にカネの臭いがする。「綺麗に稼ぐ」のは難しい。タバコもその範疇に入る特殊な産業だ。「死の商人」「ニコチン中毒患者ビジネス」と後ろ指をさされようが、「戦争支援企業」と批判されようが、国を筆頭株主とする政治力を後ろ盾に、資金力でメディアを黙らせ、冷酷冷徹に任務を遂行し、世界を舞台に稼ぐ。まるでハードボイルド小説から飛び出したような企業だ。その年収水準は、国策独占企業なのに社長が6億円、そして新卒から高く、PWCやベイカレといった人気コンサル会社を実質的に上回る。総じて、隠れた高賃金企業である。2025/05/31
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東インド会社化するJT プーチンに年4千億円「戦争支援」――〝時代に逆らう〟逆張りの国策グローバル企業戦士たち健康・人命への脅威だけでなく、戦争支援という軍事・外交面でも倫理的な問題を抱えるJT。ウクライナへの侵略後、西側企業が続々とロシアから撤退するなか、今も事業を継続しており、ロシアでもっともプーチンに貢献する外資企業となっている。その、国家を後ろ盾にしたハードボイルドなカネ儲け主義経営には、冷酷さとともに清々しさまで漂う。グローバル「タバコ商社」となったJTは、いわば現代の〝新型イギリス東インド会社〟だ。「時代に逆らっている会社なので、ひとクセある社員が多いです」(元社員)。その社風は、旧官業にもかかわらず外資っぽいドライな面を持つ。現場組織やキャリアパスについて実態をレポートする。2025/05/30
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2.管理職の360度評価・顧客評価を実施 ♯【評価基準に納得性が高い】 ❐査定・評価―対価軸『いい会社はどこにある?』人事評価といえば、上司→部下への一方的な評価と思われがちであるが、会社によって多様化が進んでおり、評価にこそ「その会社らしさ」が見られる。ごく一般的な目標管理の場合、上司から一方的にAだのBだのつけられる評価を、気持ちよく受け入れられる人がどれほどいるだろうか。しかも、筆者が経験したのは、目標設定がないまま、裏でこっそり、当人に説明もなくAだのBだのをつけて、ごくわずかな差をボーナスでつける、という極悪非道な評価手法だった。それが90年代の日経新聞で、それまでは何と毎年の人事評価を行っておらず年功序列のみだった。《なんだこりゃ?評価者としての部長の仕事、何もしてないのと同じだろう》――と驚くばかりだったが、どうすることもできず、「経営不在、最悪の組織だな」という不満だけが溜まった。2025/05/30
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〝死の商人〟JT 低・中所得国の人々を依存症にして健康をマネタイズする倫理 「社員の約半数が喫煙者なので…」WHOによると、喫煙による死亡者は世界で毎年800万人以上、うち間接喫煙(副流煙)被害者が130万人と推計され、喫煙者の約8割が低・中所得国の人々。JTは、自社が儲かれば儲かるほど人類は不健康になり人命を失っていく、という倫理的ジレンマを抱え、日本以外の世界の年金ファンドから投資先NG指定を受けている。「ロシアやアフリカなど海外市場への投資でシェアを伸ばし、現地の人たちの健康や命を日本の税収に換えていく仕事――とも言えるのですが、社員の半数くらいが喫煙者ということもあって、そのあたりの違和感や葛藤を社内で聞くことはないですね」。昨年まで在籍した30代元社員に、働く現場の実情を聞いた。2025/05/29
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1.営業数字・施策VSバリュー指標 ♯【評価基準に納得性が高い】 ❐査定・評価―対価軸『いい会社はどこにある?』前回、人事評価マップの全体像を図で示した。図の上半分は、評価で報酬に差をつける以上、評価基準の納得性が、特に重要となる。下半分は年功序列の悪平等で、かつ単年度で決まるわけではない「蓄積評価」だから納得性はさほど問題にならない。なかでも、組織主義であるがゆえに、マニュアルで社員の一挙手一投足を縛る傾向が強い右上の企業群(スーパーアンドロイド集団)に対し、左上の「組織内個人商店」の会社群は、原則として社員を“ニンジンをぶら下げた馬”として扱い、活動の自由度は高めだ。2025/04/04
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熊本県警巡査の過労死裁判が浮き彫りにした「絶望の刑事職」 ❝当直は断続的労働❞隠れみのに月180時間超の殺人的長時間残業が常態化刑事になって社会のために働きたい――小さい頃からの夢を追い熊本県警に入った巡査が、採用されて5年目、念願の刑事課に異動となり、そのわずか半年後に遺書を残して自殺するという事件が2017年に起きた。県警は「原因はわからない」とうそぶいていたが、遺族が地道な調査や訴訟を通じて暴いたのは、殺人的な長時間労働だった。県警が認めた表向きの残業だけで月100~140時間、これに〝裏の勤務時間〟にあたる当直勤務を加えると、実に185時間に達した。事件発生から7年、ひたすら責任逃れを続けた県警の姿に、母親は言う。「不信感しかありません」2025/04/02
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船井総研 粗利の8割を抜かれる個人事業者集団――客に言えない年収水準「正直、やりがい搾取感あります」中小企業向けに、メンバーシップ型で業種特化の「研究会」を毎月のように開き、この生け簀に〝成功しているビジネスモデル〟というエサを撒き、コンサル契約を釣り上げる――そんな独自の手法で成長する船井総研。3~5年、この研究会メンバー相手に泥のように働いて評価してもらえるようになると、社長ともコネができ、「ウチに入社しないか?今いくら貰ってるんだ?」と誘われることもある。「でも、年収を言えないんです。安すぎてナメられるから。自分はそんなとき、『2千万円で雇えるようになったら声かけてください』と返していました」(元社員)2025/04/02
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船井総研「月次業態支援」の限界でリモート中心へシフト――粗利稼ぐための出張&長時間拘束で疲弊する社員たち船井総研のコンサルティングは、中小企業に対して、月1日の訪問で20万円~という、「月次の業態支援」型が伝統的な主力事業で、泥臭い昭和のアナログな現場主義に特徴がある。「時にはハローワーク求人の更新作業をやったり、社長の息子の進路相談に乗ったりと、なんでも屋になります」(元社員)。当然、リアル8:リモート2、くらいの比率で、リアルでの対面支援が中心だった。これを2025年から逆転させ、リモートのほうをスタンダードにしていく方針が打ち出されている、という。労基法的にも、ジェンダーバランス的にも、月次の訪問による業態支援ビジネスは曲がり角にきている。2025/04/01
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船井総研 成功事例をパクって横展開するビジネスモデルで急成長――ノウハウと顧客を持って独立するエースたちスピリチュアル・オカルト系作家としても有名だった伝説の経営コンサルタント・舩井幸雄氏が創業し、船井氏が死去して半年後のタイミングであっさり持ち株会社化してギアチェンジ、コンサルブームにも乗って、突然の急成長を続けている“謎の上場企業”船井総研。大手の「〇〇総研」とは異なり、シンクタンク(政府の下請け)でもなければ、SIerでもない。過去10年で、売上高・営業利益とも約3倍に急成長し、コンサル数も2024年に1018人と大台を突破。中小向けコンサルでトップを走る。その仕掛けは、船井氏の精神論とは真逆で、より実利的な成果を重視する「月次支援」である。2025/03/31
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「社内接待を盛り上げなかった反省文を書け」中小企業『上司ガチャ』リスク(続) パワハラ被害エピソード5(加賀電子)――解説:50代元社員「筧専務にも責任があるのでは…」加賀電子EMS事業部で、長年にわたって常態化しているパワハラ。情報提供者が続々と現れることからも事態の深刻さはわかる。Eさん(現30代)は、20代の若手社員時代、「叩く、蹴る」「正座で反省」「月100時間超の残業」「約20万円の経費自腹」「毎週の反省文」…と、おもちゃのように扱われ、その職場は、人権無視なパワハラのオンパレードだった。「間違えさせて、怒って、覚えさせる」という犬猫のような扱いだ。人事部長ら管理本部に改善を訴えたが、何も動かなかったという。2025/03/14
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2.組織主義VS個人主義 ♯【評価のされ方が自分に合っている】 ❐査定・評価―対価軸『いい会社はどこにある?』「年功序列VS成果主義」に加え、もう1つの視点として、20代から大きく評価によって個人の報酬に差をつけるのだったら、そもそもチャンスが平等に与えられているのか――という大問題がある。たとえば新聞記者なら、地方支社に配属される人と、本社の主要部署(社会部・経済部・政治部)に配属される人では、スクープをとれるチャンスに、天と地ほどの違いがある。どんなに頑張ったところで、田舎には全国ニュースのタネがない。筆者も、入社1~2年目のころ、社会部に配属された同期の記者が局長賞だか社長賞をとっていたのを覚えているが、そりゃそうだろうよ、としか思わなかった。これで給料に差をつけられたらやってられない。だから新聞社が40代半ばまで年功序列なのは理解できる面もある。2025/03/09
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TikTok運営バイトダンスにレイオフされました(下)――理由は「総合的判断」のみ、ヒラ社員を実質的に指名解雇TikTokで有名なバイトダンス日本法人(本社・渋谷区)に、営業職で中途入社したものの、「ロールがなくなった」とレイオフ対象になった若手社員。なぜ自分が選ばれたのか具体的な説明がないことにも、納得がいかなかった。営業成績が悪いというのならば、まだ理解もできる。目標に対する達成率でも、同僚との相対的な比較でも、具体的な説明があれば反論の仕様もある。ところが、だ。「なぜ自分なのか、いくら聞いても『総合的な判断です』としか言わないのです。その判断の内訳は一切、説明されませんでした。これも定型文句なのだと思いました」(元社員、以下同じ)2025/03/06
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TikTok運営バイトダンスにレイオフされました(上)――「あなたの役割は来週なくなる」 3対1で一方的に不利な退職合意書にサイン迫る2024年のある日、TikTokを運営する中国企業として有名なBytedance(バイトダンス)の若手社員が突然、日本法人本社を置く『渋谷ヒカリエ』のミーティングに呼び出された。出席者は、直属の上司と、その上の本部長クラス、そして社内でHRBPと呼ばれる人事部長で、1:3だという。内容は、告げられなかった。「何か、怒られるのかな?」。あまり深く考えずに会議室に行くと、レイオフの通告だった。「標準パッケージは月収3ヶ月分の退職金ですが、1週間以内に退職合意書にサインすることを条件に、5か月分を出します。退職日は来月の〇〇日で…」。前触れがなかったので、驚いたという。2025/03/04
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セブンイレブンの外国人バイト、「週28時間を超えて働くのが当り前」なカラクリ1日あたりの総来客数が約2千万人と日本一を誇り、国民の6人に1人が利用するセブンイレブン。店舗では、全国平均で約2名、計4.4万人の外国人が働き、大都市の夜勤は特に多く見かける。そのほとんどは、留学生のパート労働だ。「外国人は必須の労働力ですが、闇があります。週28時間までという上限規制を超えて働くのは当り前で、それが同一店舗でも行われています」――。元社員に、様々な意味で〝危うい〟留学生バイトの労働実態を聞いた。2025/02/26
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1.年功序列VS成果主義 ♯【評価のされ方が自分に合っている】 ❐査定・評価―対価軸『いい会社はどこにある?』年功序列賃金で終身雇用の日本企業では、40歳くらいまで差がつかないので、毎年の人事評価に一喜一憂する必要はなかった。ワンショットではなく、周囲の評判や、上司からの評価が積み重なって、段々と、課長に昇進する人が決まり、そこでの成果や上層部との人脈で、部長、事業部長と出世する人が決まっていく。複数の目による蓄積評価だから、諦めもつきやすい。2025/02/10
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〝麻雀初心者狩り〟「違法賭博を強要され疲弊して転職しました」中小企業『上司ガチャ』リスク(下) パワハラ被害エピソード4――加賀電子EMS事業部4人の告発サラリーマンは上司を選べない。たまたま配属となった部署の上司がパワハラ気質で、会社のガバナンスも機能しないと、詰んでしまう。半導体商社2位の加賀電子(東証プライム上場)もそんな会社の1つで、社内では違法賭博が常態化していた。「プライベートな時間を奪われた上に、貯金も全くできませんでした」――。上司だった岡部剛男(当時は営業部長)によって徹夜の賭け麻雀に約30回も強制参加させられて約50万円を失い、金銭的にも体力的にも疲弊したDさん(現40代)は、そう振り返る。転職の予定はなかったが、ヘッドハンターの誘いに乗る形で、他社へと逃げるように移籍した。2025/02/05
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PwC「現場は〝やさしい、コンサル。〟でもないです」――社員が語る『採用』『儲け方』『働き方』の実情売上優先で〝地雷マネージャー〟が昇格してしまう現実、機能しない「マネージャー評価」、みんな無視する「みまもりメール」(PC稼働が長すぎる人向けの注意喚起)。多忙な現場では有休消化もできず長時間労働が当り前だ。「自分は未消化の有休が40日たまっていますし、残業75時間つけた月もあります。同僚は月120時間、残業申請していました。対外的には休みをとれるようなことを言っていたり、『やさしいコンサル。』を打ち出して採用しようとしてますが、現場はそうでもなくて、パワハラ対策など心理的安全性も低いです」――。現役社員に、採用プロセスから、プロジェクト体制、他社と変わらぬハードな現場実態等についてじっくり聞いた。2025/01/20